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がん対策基本法案に対する附帯決議

 平成十八年六月十五日

参議院厚生労働委員会

 

がんが日本人の死亡原因の三十一パーセントに上り、年間三十万人以上もの患者が命を失っている現状にかんがみ、国を挙げて「がんとの闘い」に取り組むとの意志を明確にするとともに、がん対策基本法の制定をもって、我が国のがん医療を改善する契機とするため、政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。

 

一、本法により創設される「がん対策推進協議会」については、政府の策定する「がん対策推進基本計画」の立案に積極的に関与する機関であるとの位置づけにのっとり、その機能が十分に発揮できるよう配慮すること。その際、がん医療に関連する他の検討会等との役割分担や連携の強化にも努めること。

 

二、「がん対策推進基本計画」については、「健康フロンティア戦略」及び「がん対策推進アクションプラン二〇〇五」において、平成二十六年までの十年間に「五年生存率を二十パーセント改善する」との目標が確認されていることを踏まえ、関係府省との連携の下、速やかに策定すること。

 

三、「がん対策推進協議会」の委員構成については、がん患者が初めてがん医療の政策立案過程に参画できるようになったことの意義を重く受け止め、がん患者の意向が十分に反映されるよう配慮すること。

 

四、がん医療に関する情報提供については、がん患者が医療機関を選択する際に役立つよう、各がん専門医療機関の専門分野、専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の数や設備の状況などの医療機能情報が、患者の視点に立って適切に提供される体制を整えること。

 

五、がんの治療法に関する情報については、手術療法、放射線療法、化学療法その他のがんの治療法についての最新の情報を、できる限り平易な言葉で国民に提供する体制を整えること。

 

六、病状、治療方法等について、患者が医師等の説明を理解し、納得した上で治療法の選択ができるよう、正確かつ適切な情報提供の推進、セカンドオピニオン外来・医療相談室の拡充に努めること。あわせて、セカンドオピニオンを受けるために必要な診療状況を示す文書やデータ等の提供について、患者の求めに応じて迅速かつ適切に対応するよう、医療機関に周知徹底を図ること。

 

七、がん専門医等の養成と配置については、がん治療の水準向上のために確保すべき外科医、放射線腫瘍医、腫瘍内科医、病理医、麻酔医などの医師その他の医療従事者の養成や常勤での配置、並びに新たな診断機器や治療機器等の開発、配備等の諸課題を検討するため、厚生労働省、文部科学省等の関係府省による連絡調整を随時行い、その協議内容を「がん対策推進協議会」に報告すること。

 

八、放射線療法及び化学療法については、がん医療における重要性が高まってきていることを踏まえ、卒前教育、卒後の臨床研修の各段階において、適切な教育、研修が行われるよう、必要な措置を講ずるとともに、これらの分野に関する人材の育成と専門的な教育研究体制の充実を図ること。また、放射線療法の品質管理が十分に行われるよう、適切な措置を講ずるとともに、あわせて、専門的な人材の育成に努めること。

 

九、がん専門医の研修については、国立がんセンター等におけるがん専門医育成のための研修コースを拡充するとともに、効果的な研修を可能とするための方策を検討し、必要な措置を講ずること。

 

十、がん医療においてもチーム医療による対応の必要性が増していることにかんがみ、看護師、薬剤師、診療放射線技師等のコメディカル・スタッフの専門的知識、技術の習得が促進されるよう、必要な措置を講ずること。

 

十一、地域におけるがん医療の充実については、医療計画におけるがん診療体制の整備に関して、地域の医療機関が、それぞれの診療レベルに応じて機能分担し、連携を強化することによって、質の高いがん医療を適切に提供できる体制を整えること。

 

十二、緩和ケアについては、がん患者の生活の質を確保するため、緩和ケアに関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成に努めるとともに、自宅や施設においても、適切な医療や緩和ケアを受けることができる体制の整備を進めること。

 

十三、がん治療に係る新薬及び新規医療機器の承認については、海外で使用されながら日本国内では未承認のために使用できない抗がん剤等の医薬品及び医療機器について、早期に使用できるよう、多施設共同研究の推進や、有効性・安全性に関する審査の迅速化など、なお一層の促進策を講ずること。

 

十四、抗がん剤の保険適用について、認められている効能以外のがんにも有用性が認められ、薬事法上の承認を得た場合は直ちに保険適用とすること。

 

十五、DPC(診断群分類別包括評価)対象病院の拡大に伴って、最善の医療を提供できなくなることがないよう、診療内容を検証するとともに、適正な診療報酬の設定に努めること。

 

十六、がん登録については、がん罹患者数・罹患率などの疫学的研究、がん検診の評価、がん医療の評価に不可欠の制度であり、院内がん登録制度、地域がん登録制度の更なる推進と登録精度の向上並びに個人情報の保護を徹底するための措置について、本法成立後、検討を行い、所要の措置を講ずること。

 

十七、予防・早期発見体制の充実については、がんの早期発見のための知識や予防法の普及を図ること。また、最新の知見に基づき有効性が高いと認められるがん検診を地域における検診の項目に位置づけること。

 

十八、がん検診については、最新の診断機器の効率的利用や撮影技師の技能向上等により、早期発見率を向上させるとともに、がん検診の事後評価を推進すること。

 

十九、がんをはじめとする生活習慣病の予防を推進するため、革新的ながんの予防についての研究の促進及びその成果の活用、喫煙が健康に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及を図るほか、喫煙者数の減少に向け、たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に実施すること。

 右決議する。


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