<サンケイビジネスアイ> 2006年9月16日

がん告白の山本議員「若者よ勇気出し好機つかめ」

 


君たちへ】 

 5月下旬の参院本会議でがんを告白し、がん対策基本法案の成立を訴えた民主党の山本孝史参院議員の登場です。政治家が自分の病状を公表することはタブー。しかし、公表により党派を超えて国会議員が歩みより、見事6月末に成立しました。若者に「チャンスの前髪をつかめ」と説きます。

――政治生命を失うかもしれない危険を冒してまで、法案を通そうと考えた理由は

  「がん医療が進歩すれば救える命があるからです。自らの病名に触れずに、国会審議の場に立つことも考えました。でも、触れて話したほうが、必要性がより感じられると判断しました。支持者にも伝えていなかったので、迷いはしましたが。公表しなかったので(がん対策基本法が)成立しなかったと、後悔したくはなかった。がんの話題で盛り上がっている今でなければ、通らないとの思いもありました」

――国内がん医療の現状は

  「専門の先生が少ないという現状があります。さらにいえば、抗がん剤の薬物をうまく使える先生はもっと少ない。つまり、治療水準が極めて低いのです。研修もままならずに、がん医療のレベルも上がらないという悪循環に陥っている。現在、がんによる死亡者数は年間約30万人。高齢化社会になるにつれて、2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなる世の中になります」
  「そもそもがん治療法が向上すれば、いい人生をまっとうできるはず。延命治療に対して無理に引き延ばしてどうする、といった議論も確かにあります。しかし、わずか2、3カ月でも家族、本人に貴重な時間を与えることになる」

――死に直面するまで、命の大切さに気づかない人は多い

  「身近で死に直面したときは気づきますが、すぐにそれも忘れてしまいます。実は、その日その日が大切。朝元気で夜もそうであるという保証はどこにもありません。不確実で前が見えない、楽しみがないといって自殺する人も後を絶ちませんが、どこかに絶対喜びを感じる場所があるはずです。じっとしているのではなく、体を動かしてみようといいたいですね」

――貧富の差が広がり、貧困層は頑張る意欲すら薄れていませんか

  「『チャンスの前髪』という話があります。それは、『チャンス』という神様がいて、その神様は前髪しかありません。前からきたときに勇気を持ってつかめば、捕まえることができます。でも、後で、つかもうとしても髪がないので捕まえることができません。下を向いていたり、背中を丸めていると見ることもできないのです。だから、前を見て歩きましょう。そうしたら、誰でもチャンスをつかめますよ、という話で、まさしくそうだと思います。前を見て歩けば、きっといいことがあるはずですよ。僕は、最後まで議員でいようと決めました。『わたしもがんですが、勇気づけられた』というメールや、最後までやってほしいという声を胸に、来年の参院選にも出馬するつもりです」(飯田耕司)



【プロフィル】山本孝史
  やまもと・たかし 米ミシガン州立大大学院修士課程修了。交通遺児育英会事務局長を経て、1993年に日本新党から衆院議員に初当選。2000年の総選挙で落選。01年の参院選で当選。民主党「次の内閣」厚生労働相、参院幹事長などを歴任。当選衆院2回、参院1回。参院大阪選挙区。57歳。大阪市出身。

 

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