朝日新聞(07/05/07)

窓 論説委員室から

傍聴席から身を乗り出して

 4月からがん対策基本法が施行され、国の基本計画を作る「がん対策推進協議会」(会長・垣添前国立がんセンター総長)が動き出した。

  「患者や遺族の代表もメンバーとなり、あれこれ注文できる新しいタイプの協議会です。これでひと安心。今までとは違ったがん対策ができるでしょう」

  民主党参院議員の山本孝史さん(57)はこの協議会に毎回顔を出し、傍聴席から身を乗り出して見守っている。

  山本さんは昨年5月の参院本会議で自らがん患者であることを公表し、基本法の制定を訴えた。その熱意が各党を動かし、超党派の賛成で成立した。

  「ただ窮状を訴えるだけではダメ。具体的に何をすべきなのか、提案しないと」。交通遺児を支える運動から国会議員に転じた山本さんは、4人の患者代表の相談役となっている。

  協議会では、がんによる死亡率を10年間で20〜25%減らすことを目標とすることで合意した。しかし、例えば喫煙率の引き下げを数値で示すことには自民党が消極的。具体策を盛り込むのは簡単ではない。

  「一気に実現できなければ、専門委員会を作って協議を続ける手もある」。山本さんはそうメンバーを激励している。

  胸から肝臓に転移したがんの病状は一進一退を続ける。「だんだん、抑え込まれていく感じもする」。しかし、山本さんは自ら手がけた法律がどう動いていくのか、最後まで見守りたいという。  <梶本章>

 

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