朝日新聞(07/06/02)

窓 論説委員室から

がん患者の出馬

 「『先生は希望の星だ』といってくれる患者さんもいると、自分の意思ではやめられない。やれるところまでやろう。命を見つめ大切にする、という仕事をやるチャンスがあるのなら……」

  民主党の参院議員でがんと闘病中の山本孝史さん(57)が、7月の参院選挙で、大阪選挙区から比例区にくら替えして再選をめざすことになった。

  山本さんは1年前の参院本会議で自分ががん患者であることを公表。その呼びかけに応えて各党の議員が動き、がん対策基本法などが、議員立法で誕生した。

  山本さんは交通遺児家庭を助ける市民運動から国会議員に転身した。大きな組織をバックにした政治家ではない。

  そんな山本さんの背中を押したのが、同じがん患者や、自殺防止で走り回るボランティア、社会人となった交通遺児たちだ。

  勝手連をつくり「命がないがしろにされやすい時代だからこそ、命を守れる政治家が必要だ」と呼びかけた。

  医者からがんと宣告され、もう治すのは難しいといわれたら、残された期間をどう過ごしたらいいのだろうか。山本さんも悩んだに違いない。

  国会議員として最後まで命を大切にする活動をやることで、人生を全うしよう、山本さんはそう考えたのだろう。

  とはいっても、抗がん剤治療をつづけながらの選挙だ。かつてのように動き回ることもできない。金もない。どんな選挙になるのだろうか。        〈梶本章〉


 

トップページへ戻る 目次へ戻る