産経新聞(大阪版) (07/07/07)

がん闘病 命見つめ

マイク握る妻と「二人三脚」

民主・山本孝史議員

 昨年、自ら末期がん患者であることを公表し、がん対策基本法の必要性を訴え、法案成立に尽くした民主党の現職、山本孝史議員(58)が、病と闘いながら比例代表候補として参院選に臨む。1カ月前には体力が限界に近づき、出馬辞退も考えたというが、再び国政を目指す原動力は「患者だからこそできる仕事がある」とう思いと妻、ゆきさん(56)の支えだった。


  「今回、山本は外に出てマイクを握ることはできませんが、国会で命を守る政策としてくれると思います」。今月1日、大阪市内で開かれた山本議員の支援者の集会であいさつに立ったゆきさんは、こう話して会場に設置された七夕飾りに短冊を結びつけた。

  集会に参加したのは山本議員がかつて勤務していたあしなが育英会が運営する「神戸レインボーハウス」のボランティア学生や、市民団体代表ら約150人。東京で治療しながら活動している山本議員は、インターネット回線を使った声だけの出席になった。

  山本議員は国の医療費抑制政策のため新薬や新療法が使われなかった実体験を語り、「治らない病気になっても、普通の生活をしたいという願いを支えるのが社会や政治の責任。自分にしかできない仕事が残る中で、この命を見つめたい」と訴えた。

  山本議員は大阪選挙区選出だが、今回は比例代表に回る。本来の地盤の大阪で活動を展開したい意向は強かったが、毎週末、都内で抗がん剤治療を続けており、東京ー大阪間の異動でさえ体力を消耗する。

  ゆきさんは昨年5月のがん公表からこれまでの山本議員の姿について、「がん対策基本法を中心に国会での仕事に明け暮れ、患者会の相談相手になったり、何かに取りつかれて生き急いでいるかのようだった」と振り返った。

  1カ月前、体力が低下し、主治医から抗がん剤治療ができないと宣告された。山本議員はゆきさんに「選挙をやめよう。体が持たない」と話し、出馬断念を口にした。このとき、「山本は初めて病気と向き合い、どん底を味わった」。ゆきさん自身も同じ思いだったが、山本議員を支援してきた患者団体の関係者から激励の声が寄せられ、最終的に山本議員は、「出馬断念」を撤回し選挙で戦うことに決めた。現在は一時に比べて体力が回復し、抗がん剤治療も再開した。

  山本議員は闘病と選挙の間で何度も心が揺れたと話すゆきさんは、「(山本議員は)葛藤の末、自分だからこそ、やらなくてはいけないことがいっぱいあると前向きに考えられるようになった」としてその決断を受け入れた。

  公示を直前にした七夕の七日、山本議員は58歳の誕生日を迎えた。選挙戦が始まれば夫婦「二人三脚」でサポートをするというゆきさんは、山本議員の思いを有権者に伝えるためにマイクを握る決意だ。

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