12月16(日)号
先週、臨時国会は最終週を迎えた。だが、参院厚生労働委員会は、国立病院の独立行政法人化法案と、5日に法案採決を見送った医薬品医療機器総合機構法案の審議が残っている。他の委員会は早々と店じまいしているなかでの「奮闘」は、参議院議員総会で評価される。
■菅代表、岡田幹事長らの新執行部発足
10日の両院議員総会で、両院の全国会議員183名による投票が行われ、菅代表、岡田幹事長らの新執行部を選出した。
菅104票、岡田79票の票差を意外視する人がいるが、私は至極当然の結果と感じる。最大の要因は、選挙を前にした衆議院議員が、岡田さんと菅さんのどちらが選挙に有利かと考えたからだと思う。
菅さんが早々と「菅代表―岡田幹事長」の人事構想を明らかにしたことも、勝因かも知れない。「岡田代表―菅幹事長」より、「座りが良い」と考えた人もいるだろう。岡田さんは、代表になったら誰を幹事長にするか、投票前に明らかにしても良かったのではないか。アメリカで大統領選挙候補者が、副大統領候補と一緒に戦うのが好例に思える。
枝野さんが政調会長に就任。枝野さんは、菅さん、岡田さんの両名を政調で補佐されたことがあるから、民主党の政策をまとめ上げるには最適の人事と思う。
「攻めが生ぬるい」と批判された後の菅執行部だし、菅さんの個人的な性格もある。さらに、衆院解散総選挙の日程が迫ってくるとなれば、国会での小泉政権との対決姿勢は、相当に激しいものとなるだろう。ましてや、小泉内閣の支持率が低下傾向を示している。ただし、「何でも反対」になったのでは、国民の支持が広がらない。この辺、難しい舵取りが求められる。私も与えられた持ち場で、全力で頑張ります。
■医薬品医療機器総合法案で「委員会決議」
厚生省案の問題点は2点ある。第一点は、新機構「医薬品医療機器総合機構」に、研究振興、救済、安全対策、審査の4つの業務が併置されること。第二点は、その運営を製薬企業からの手数料や拠出金に依存し、職員も製薬企業から採用することである。
私は、厚生省は薬害エイズの反省から、薬務局(当時)を解体し、研究開発業務と安全対策業務を分離したのに、その教訓が今回まったく活かされていない。原案のままでは、安全性が後回しになって、薬害が多発しかねないと指摘。しっかりとした審議を求めた。
12月5日の質疑では、私の質問に、坂口大臣が「私の考えを年内に整理したい」と答弁したことから、私は「それまで、法案審議は控えるべき」と主張し、審議が2時間ストップ。当日に予定された採決を見送ったことは、先週の本メルマガでも書いた通りだ。
結局、1週間を経た12月12日の委員会審議の冒頭、約10分の長さで、大臣が「考え」を表明。委員席から、「これじゃ、法案の趣旨説明をやり直しているようなもの」と批判の声があがるほどの異例の展開となった。
さらに、私が質問で示した案を中心とした「委員会決議」を採択した。内容は、(1)製薬企業との癒着が生じないよう、人材の採用は慎重に行う、(2)研究開発業務は、新機構発足までに分離する、?薬害被害者など薬害防止のNPO代表などを加えた審議会を機構内に設置するなど。法案の「実質修正」である。
委員会で法案が採択された後、審議での重要な指摘事項をまとめて「附帯決議」にする。委員会での決議を受けて、大臣は「決議のご趣旨を尊重して、取り組んでまいります」と発言するのが普通。だが、今回の「委員会決議」は、政府に実現を約束させるものだから、もっと重い。大臣の「発言」も、しっかりしたものにして欲しいと注文。
それを受けて大臣は「新しい法人が、国民に信頼され、また、国民に安全と安心を提供することができる組織となるようにするため、決議のご趣旨を十分に受け止め、決議の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいる所存でございます」と、これまた異例の発言内容となった。
参議院段階での法案審議で、ここまで押し返したが、法案には反対。「こんな内容の法案を出すことは許されない。本来なら出し直すべきだ」というのが理由。自民党席からは、「ここまで譲ったのに、反対か」と野次が飛んだ。
衆議院での審議段階で「法案内容が問題」と批判を繰り返していたマスコミは、極めて異例の展開となった参議院でのこうした経緯を、「法案が成立」としか報じないので、少し長めになったが、経緯を書き残した。
****国会活動ミニ報告****
◆ 在外被爆者の大阪高裁判決を受けて、国に上告断念を求めた。判決内容から判断して、私は、上告は困難と思う。問題は、被爆者援護法をどのように改正するかだろう。私は、極力、現行法が在外被爆者にも適用される方向で法制局とも検討し、試案にまとめている。
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