5月17日(月)号
国会議員となって、これほど悲しく、腹立たしい思いをしたことはありません。国民年金未納・未加入問題への、国会議員と厚労省幹部職員の姿勢についてです。
年金制度は確かに複雑ですし、長期に加入する制度ですから、国会議員といえども、未納・未加入が生じたのも仕方のないことです。問題は、未納・未加入が判った時に、どのように対応するかです。即座に公表し、謝罪すべきと思います。そのような対応をせずに、本会議場で政府案に賛成投票をすることは、国会議員として許されるのでしょうか。未納・未加入を隠したまま、賛成票を投じた国会議員は、良心の呵責を感じないのでしょうか。
年金法案は、これまで5年に一度、国会で審議されてきました。その採決の際も、未納・未加入議員が多数存在していたわけですが、今回の改正法案の審議では、ことのほか年金の未納・未加入問題が焦点になっているのです。当然、自らの加入状況を調べるべきではないでしょうか。
公明党の代表、幹事長、政調会長の「未納三役」や、自民党の橋本龍太郎元首相や丹羽雄哉議員ら厚生大臣経験者も、衆院通過後に未納・未加入を発表しています。国会でのこの有様では、国民に「政治を信用せよ」と言っても無理な話です。この際、衆議院も解散して出直すしか途はないと考えます。
私が腹立たしい思いを募らせているのは、森、谷畑の両厚生労働副大臣が、自らも未納と知りつつ衆院の委員会で答弁を行い、本会議で賛成票を投じ、そのあとに、森副大臣によれば、「タイミングを見計らって」公表したことです。この行為は、国会審議を侮辱するものであり、国民を愚弄する行為です。即刻、議員を辞職すべきです。
副大臣は、「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」(平成11年7月30日)によって、「その機関の長である大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長である大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行するものとする」とされ、任免は「その機関の長である大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証するものとする」とされています。
この規定に従えば、両大臣の言動は、坂口大臣の言動でもあるのです。坂口大臣が、両副大臣にも未納期間があることを採決後まで知らなかったとは、私には信じられません。知っていなかったとすれば、監督不行き届きであり、その責任を坂口大臣は取るべきです。もし知っていたままに答弁をさせていたのであれば、坂口大臣の罷免を要求します。
厚生労働省の官僚も問題です。3月22日に、江角さんの未納問題が指摘された時、あるいは遅くとも、閣僚や国会議員の未納問題が問題化し、4月23日に3大臣(石破防衛庁長官、麻生総務大臣、中川経済産業大臣)が未納を公表した時までには、少なくとも現職の厚労大臣と副大臣、さらには、それらの経験者に未納・未加入が発生していないかどうか、チェックしたはずです。
「個人情報だから、チェックはしていません」と釈明するでしょうが、事務方と大臣や副大臣との間で、「私はどうなっていますか」とか「大臣の納入記録を確認しましょうか」といった会話があったはずです。なかったというのであれば、それも職務怠慢ですが、官僚も、大臣らの未納・未加入を知りつつ、黙っていたとすれば、これもまた国民を愚弄する行為ではありませんか。
私は国会議員となって、10年近く厚生委員会で活動してきました。年金法案も、今回で3回目です。
「給付を下げない。保険料を引き上げない」という両方の要望を同時に満たすことは困難です。民主党は、解決策として、税金の投入割合を増やすこと、一律の給付カットをやめ、高額年金者には、年金額をより減額することに理解してもらうこと、最低保証年金は絶対に維持することなどを、提言してきました。
そして、年金問題は与野党で協議して取り組むしかないと超党派勉強会を立ち上げ、その運営上の反省に立って、理解されていないので不評ですが、「3党合意」を推進し、冷静に年金問題を与野党で議論することを提案しました。
森、谷畑厚労副大臣の未納問題を早期に措置することを進言しなかった厚労省職員の不誠実な対応は、国会審議の混乱を期待し、こうした私たちの取り組みを否定したと同然です。「年金問題は、素人の国会議員には任せられない。優秀な官僚が取り扱う問題だ」との意思表示と受け止めています。
「厚労省、しっかりしろよ」と言ったときに、薄ら笑いを浮かべた厚労省幹部の顔を、私は一生忘れないでしょう。
◆ 今週の「何でやねん!?」
* 総理は「40年前のことなど覚えていない」と仰いますが、ならば、なぜ社会保険庁で国民年金の加入や納入状況を調べないのですか。40年間の年金加入で、初めて満額となることをご存知ですか。40年前が大切なのですよ。
* 総理は「払うべき時は払っている」と主張しますが、その「払うべき」期間に、20歳になった浪人時代の3ヶ月は確実に含まれます。ロンドン留学から帰国された直後の数ヶ月は、議論が分かれるでしょうが、選挙に出るための帰国であったならば、現住所、すなわち住民票は、日本にあったと考えるのが自然です。とすれば、この間も未加入で、法律違反です。未加入、未納期間があったことが問題なのではありません。事実確認を拒み、公表しないことで、国民に結果的にウソをついていることが問題なのです。
* 国会議員は配偶者と年金や健康保険の話はしないのかな。それも不思議です。
* 田原総一郎氏が、自らも年金未納だったと発表。「他人を追及する前に自分のことを調べなかった。今後もがんばることで責任を果たしたい」と釈明。先週の番組で菅代表に、「人を厳しく責めた人が未納だった。代表を辞めるべきだ」と激しく迫った人が、公明党の未納三役の方々と同程度の釈明で、幕引きを狙う。それでいいのですか、田原さん!
* 年金「未加入」問題から視線をそらせるため、小泉総理は、北朝鮮訪問を突如発表。準備は十分ではないようです。手ぶらで帰っては来られないでしょうから、北朝鮮に足元を見られたような交渉になるのではと心配します。小泉さんは相変わらず、国益より、選挙での勝利や、個人的利益を優先しています。
* ブッシュ大統領は、イラク人による民間のアメリカ人の殺害を「残虐」と非難し、「正当化する理由はない」と述べましたが、アメリカ軍によるイラク民間人の殺害、劣化ウラン弾の使用は正当化できるのでしょうか。戦争を早期に終結させるべきです。そうでなければ、6月30日の政権移譲は難しいと思います。委譲後も米英軍主体では、イラク人は納得しないでしょう。
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