メールマガジン「蝸牛のつぶやき」バックナンバー
               
(vol.22  2005年5月、6月)

6月26日(日)号

 中国残留孤児による国家賠償請求訴訟の大阪地裁判決が、7月6日にあります。

 国策として中国大陸に送り出され、混乱のなかに置き去りにされた人々。終戦後も、国家によって、死亡者として戸籍から抹消され、日中友好条約締結後も、速やかに帰国の手が差し伸べられなかったなど、「何度も棄てられた」人々です。そんな人たちに日本政府は、「戦争による被害は、すべての人が受容しなければならないものだ」と冷徹な姿勢に終始してきました。

 判決では、「国は早期に帰国できるように、また帰国後の生活自立策も十分に講じるべきであった」との判断が示されると期待されます。そして立法府に対応が求められると想定されます。

 平成5年の「中国残留婦人の成田強行帰国」を契機に、田中真紀子代議士が提出し成立した「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永往帰国後の自立の支援に関する法律」の第4条では、「国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等の地域社会における早期の自立の促進及び生活の安定をはかるため、必要な施策を講ずるものとする」と定められています。同法は、その制定時にいまだ中国に残る邦人を対象として立法されたため、同法制定以前に帰国した人々を対象として特別な支援策を講じるならば、新たに「支援法」を制定する必要があると思われます。

 その際に問題となるのは、どのような趣旨で給付金を支給するのか、対象者は誰か(帰国年月日との関連)、金額はどの程度とするかです。

 多くの帰国者が生活保護を受けていますので、給付金と生活保護費との関連(給付金を収入と認定して生活保護費を減額しない措置)も問題となります。「生活保護費が想定していない特別の経費を、中国残留邦人の帰国者は必要としている」と考えられるかどうかがポイントです。

 原告団が国会議員に陳情して回った結果、民主党内や、自民党の野田毅代議士からも「いっしょにやろう」との連絡をいただきました。いづれにしても、政治的判断でしか解決しません。

 同じような国会賠償請求で国が負けたハンセン病患者の場合は、厚労大臣による控訴断念の政治判断もありましたが、私は、ハンセン病患者の隔離政策に関与した大谷藤郎・厚生省元局長が「隔離は間違いだった」と自己批判していたことが政治判断を容易にしたと理解しています。その点において、中国残留邦人の件では、残念ながら厚労省の頑な姿勢は変わりません。尾辻厚労大臣の、より高度な政治判断が求められます。

△▼△ 今週の「コツコツと!」 △▼△

* 自殺予防総合対策: 6月30日の参院厚労委の定例日に、年金合同会議がセットされ、厚労委の開会は見送りとなりました。したがって、自殺予防の決議も日程を再調整します。24日の帰阪途上、山崎官房副長官に会いました。「自殺予防に政府全体で取り組むべきだとの考えに同意している」とのことでしたので、官房長官の厚労委出席を重ねてお願いしました。

* 臓器移植法: 金田案提出者が久しぶりに集まって、改正の動きへの対応を協議。「脳死は、死ではない」とした金田案の再提出の可能性や、小児の臓器移植への対応、生体移植や組織摘出のルール化なども法律に盛り込むべきだなど、活発な意見交換がなされました。

* 買い物で立ち寄ったスーパーで、顔見知りの国会図書館職員に出会い、「英国では、税金と保険料を一緒に徴収することになった」との情報をゲット。資料をお願いしました。

◆◇◆ 今週の「なんでやねん!?」 ◆◇◆

* 6月20日の日韓首脳会談は、寒々としたものでした。そもそも、事務当局が調整した言葉以外には語らないというのでは、首脳会談の意味がありません。やる気のない会談は、成果ゼロどころか、マイナス効果だけが残ったのではないでしょうか。「侵略戦争ではない、自衛戦争だった」と日本側が言っても、軍靴で踏みにじられた側は、痛みを忘れない。謙虚に両国の歴史を検証する作業の進展を求めます。

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6月20日(月)号

 郵政民営化法案成立のための会期延長を巡って、17日の衆院本会議で混乱。阿部知子・社民党政調会長が「酒気帯び議員がいる」と発言。「誰だ」となって、自民・民主両党間で、関係議員の懲罰を求めて泥仕合に発展。

 議場入口では衛視が、議員バッチをつけていない議員を見つけると、手で行く手を遮って入場を阻止します。今後はアルコール検知器も使うのでしょうか。

■ 郵政「民営化」を巡る混乱

 19日、上京の途上で、塩川前財務相にお会いしました。「8月13日まで国会やるんやなぁ。もう(法案の成立は)決まってることやのになぁ。このままに郵政はほっとかれへんのに(放置してはおけないのに)」と塩川さん。

 郵政事業を放置できないのは同意ですが、小泉流では解決にはなりません。税金が投入されていない郵政事業は、すでに民営化の途上にあります。このうえになすべきことは、郵貯や簡保の規模を縮小して適正化すること(小口の庶民金融と保険事業のみ存続)、郵政資金の出口となっている財投の改革(無駄遣いを続ける道路公団等の特殊法人の事業の洗い直し)と、国債が積みあがった国家財政の立て直しです。

 肝心の点には触れずに、何でも「看板の書き換え」に奔走する小泉総理。その間にも、国債は増え続け、原油高は止まりません。超インフレの足音が聞こえてきます。

■ 介護保険法改正案を可決

 施行から5年が経過した介護保険を全面的に見直して、「団塊の世代の引退による高齢者人口(すなわち介護保険利用者)の急増期に備える」のが今回の法案の狙いです。

 必然的に、改革の的は、限られた介護資源を重度者に集約できないか(軽度者への給付は適正な内容となっているか)、利用者に追加的な負担をお願いできないか(施設入所者からの居住費や食費の徴収)、介護保険の利用者を減らせないか(介護予防事業の展開によって、利用開始時期を遅らせ、結果的に利用量を圧縮できないか)といった点に絞られます。

 民主党の主張で、新たに創設される「地域支援事業」は3年後に全面的な検証がなされます。利用者に不安が高まった「生活援助の一律カット」は行わないこと、筋肉向上トレーニングは強要されるものではないことを厚労大臣が確約しました。このほかに、介護労働者の労働環境の改善、専門性を重視した人材育成と資質の確保、サービスの質の向上に向けての情報開示の強化、制度運営への保険者や被保険者の参画の拡充なども、民主党の確認答弁を通じて、一定の前進が見られました。市町村による権利擁護事業の必須化も法案修正で盛り込まれました。

 今回の法案は、残念ですが、利用者には負担増となり、受けは良くありません。事業運営に外部チェックが入ることを嫌う介護事業者も反対の大合唱です。そんななかで、「真の声」を聞き分けつつ、未だ発展途上にある介護保険を、丈夫に育てていくこと、すべての介護を要する人への普遍的な介護保険制度とすることが、民主党の使命だと受け止めています。

△▼△ 「今週の「コツコツと!」 △▼△

* 自殺予防総合対策: 武見敬三理事と6月30日か、7月早々に、細田官房長官を厚生労働委に招いて、自殺予防策の推進を求める決議を手渡す方向で日程を調整することで概ね合意。「細田長官は、政府全体にまたがる事項を取り扱うことには極めて消極的」との情報もありますが、そこは武見理事の「強力な切り札」に期待しましょう。

* 在外被爆者援護: 20日の日韓首脳会議での協議内容に注目。厚労省は「外務省に事務の一部をお願いする」と言っていましたが、そうした事務形態と、被爆者援護法が「都道府県知事」を事務の主体と定めていることの整合性について、外務・厚労省間で決着がついたのか。こちらにも注目。

* 交通事故の賠償金: 計算に用いる利息は、低金利時代にも係わらず5%とすることは妥当との最高裁判断が示されました。かつて遺失利益に男女間格差があるのは時代にあわないと追及し、是正に向かわせたことがあります。今度の件も、見過ごせません。

◆◇◆ 「今週の「なんでやねん!?」 ◆◇◆

* 先ごろの衆院補選で返り咲いた山崎拓・郵政特別委与党筆頭理事は、12日に放送されたNHKの討論番組で、会期延長に反対する野党は「レールの上に置き石するようなもの。投身自殺なら男らしいが」と発言。JR宝塚線事故被害者の心情や年間3万人を超える自殺者の実態をどう考えているのでしょうか。自殺者の多い福井県東尋坊では元警察官が自殺企図者の相談を続け、7千人を超えるボランティアが「いのちの電話」で悩みを聞き続けるなど、多くの人が「ひとつの命」を救うため頑張っています。そういうことに思いが至らないのでしょうか。

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6月12日(日)号

■ 自殺予防対策で大きな進展がありました

 6月9日の参議院厚生労働委員会で、介護保険法に関する質問に先立って、5月30日の国会内での自殺シンポに大臣が長時間ご出席くださったお礼を述べ、さらに、「自殺予防のために、厚労省は省内の連絡会議を設置したが、政府全体で取り組む問題だから、ぜひとも官房長官に政府全体で取り組むよう求めてほしい」とお願いしました。

 尾辻大臣は「政府全体で取り組まなきゃいけないことだと考えておりまして、官房長官にも必ず伝えまして、私ども政府全体で取り組むべく努力をさせていただきます」と答弁されました。

 翌10日の金曜日の定例閣議で、尾辻大臣が官房長官に対して、次のような発言をしたとの連絡を受けました。

 「先月末、自殺対策の支援に取り組む民間団体主催の自殺対策シンポジウムに出席し、自殺予防等に向けて緊急に対応する必要があるとの思いを強くした。

 厚生労働省としては、昨日(6月9日)、省内に、関係部局の幹部から成る『自殺対策の推進に関する省内連絡会議』を設置し、その第1回会合を開いたところである。

 その中で話題になった『自殺関連うつ対策の戦略研究』は、非常に重要な取組みであるので、省を挙げて支援していく必要があると強く感じた。この点については、官房長官に是非ご説明したいので、後日事務方を伺わせる。

 自殺予防対策の推進は、厚生労働省1省の問題ではなく、社会全体の問題であり、長期的な視点に立った施策への取組みが必要な問題である。

 立法府においても政府の積極的な取組みを求める動きがあるので、官房長官にあっては、総合的な施策の推進が図られるよう、是非とも政府全体で取り組むことをご検討いただくよう切にお願いする。」

 尾辻厚労相の迅速な対応に感謝します。

 藤井基之厚労政務官には、先般、フィンランドへの公務出張と聞いたので、「フィンランドは自殺対策の先進国です。いろいろと情報を仕入れてきてください」と依頼しましたところ、たくさんの資料を持ち帰ってくれました。

 武見敬三・参院厚労委与党筆頭理事と相談し、厚労委と内閣委の合同審査会を開催して「自殺予防策の推進に関する決議」を行なうことや、厚労委に官房長官の出席を求めて決議を行うことなどの実現に向けて、お互いに努力することを確認しています。

 厚労省は、「政府全体の取り組みを求める決議をされても、厚労省は十分な対応はできません」とつれない姿勢です。その一方で、省内の連絡会議を設けて、権益の確保に走っています。

 自殺対策は警察庁や文科省、総務省など、関連する省庁が連携しない限り前進はありません。

 そこに強力な援軍が現れました。総務省行政評価局が、厚生省が「健康日本21」で設定した2010年までに2万2千人以下に自殺者を減少させるとの目標到達への政府の取り組み状況のチェックに入ったのです。7月まで調査し、来年度早々には報告書が出る予定です。

 数値目標を設定することの「威力」を感じるとともに、動かぬ役所や政治に対して、「外堀」が埋まってきたように感じます。

■ 雲行きが怪しくなった在外被爆者援護問題 

 日韓外相会談で、健康管理手当の申請について在外公館を活用することが議題となったことから、在外被爆者問題に、一定の前進が見られるのではないかと期待していましたが、雲行きが怪しくなってきました。

 私は、「在外公館の活用」とは、被爆者援護法を所管する厚労省の職員が、在外公館に出向いて書類の受理や、診療行為を行なうことと考えていましたが、厚労省は、外務省職員が事務を行なう方向で外務省と協議しているというのです。外務省も、「何ができるのか検討中」とかで、今月下旬とされる日韓首脳会議には間に合いそうもありません。

 外務省職員が代行するとしても、それに対応するような規程は被爆者援護法にはありません。法律では、どの条項でも、事務を行なうのは都道府県知事とされているからです。

 外務省職員は、都道府県知事からの委任を受けるのでしょうか。厚労大臣に代わって事務を行なうのでしょうか。どちらにしても、法律改正が必要だと思います。

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6月5日(日)号

■ 止まらない少子化傾向

 6月1日、厚労省は平成16年の人口動態統計を発表しました。
昨年の年金国会で、強行採決後に1.29の数字が「後出し」で発表されたことが昨日のことのようで、「1年は早いなぁ」と思いますが、感慨にふけっている場合ではありません。

 焦点の合計特殊出生率は「前年と同じ1.29」と発表されました。しかし、発表された世代別の特殊出生率の下4桁までの数字を足し算すると、平成15年は1.2905で四捨五入して1.29。昨年は、1.2888で、四捨五入すると、これも1.29となり、少子化は進んでいます。

 尾辻厚労相が記者会見で述べたように、「下げ止まりつつある」のかもしれません。先行指標といわれる東京都で、平成15年の1.00が昨年は1.01に上昇。千葉県も1.20から1.22と回復を見せているからです。

 また、日本一住みやすいといわれる富山県が1.35から1.37、日本一景気が良い愛知県が1.32から1.34と上昇し、多産県である香川県が1.42から1.43、長崎県が1.45から1.46、宮崎県が1.49から1.52となっていることからも、景気の回復が出生率に強く影響していることが判ります。

 しかし、全国的には、晩婚化・晩産化は続いています。児童手当の大幅な増額も必要かもしれませんが、経済的支援は二次的な支援策であり、本命は、仕事と家庭が両立できる職場環境を整えることです。短時間正社員制度や男女の雇用均等の実現が絶対に必要です。


■ 自殺者は7年連続で3万人を突破

 6月2日に警察庁が発表した平成16年の自殺者数は3万2325人で、過去最悪だった15年より2102人減りましたが、依然として3万人を超えています。

 遺書から判断した自殺の動機では、健康問題が最多ですが、働き盛りの男性世代では、経済・生活問題が最も多くなっています。借金苦や過労から死に追い込まれている姿が見えます。

 国会の正常化を受けて開催した1日の参議院厚生労働委員会理事懇談会で、各党の理事に、「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」の案文を渡して、検討をお願いしました。
また、自民党の武見理事や国井理事からは、「委員会で自殺問題を審議する機会を作って、その後に決議するのが良いのではないか」との提案もなされました。

 自殺総合対策に関する関係閣僚会議の開催に向けて、各方面への働きかけを強めます。

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6月1日(水)号

 5月30日、国を挙げての自殺予防対策の実施を求めるNPO法人ライフリンク(代表・清水康之さん)主催による「第2回自殺予防シンポジウム」が参議院議員会館会議室で開催されました。定員の100名の会場は、150名を超える出席者の熱気で暑いぐらいでした。

 参議院厚生労働委員会では、今年2月に各党の理事が合意して特別に委員会を開き、自殺問題に取り組む大学教授の方たちから自殺の現状と、その予防策について意見を伺いました。その第二段階として、今回の自殺予防活動に取り組む団体の代表者たちをパネリストに迎えてのシンポジウムの開催となりました。

 シンポジウムでは、倒産に追い込まれて自殺を企てたこともある秋田県の中小企業経営者と、自殺で夫を亡くした奈良県の女性が「体験談」を語りました。中小企業経営者は、「倒産がらみの自殺では、倒産に至るまでの6ヵ月の間に7割、倒産後に3割の人が自殺している」とのデータを示しました。また、奈良県の女性も「自殺のサインは出ていた。気づかなかった私が、主人を殺したようなもの」と涙し、ともに「自殺は防げる」と訴えました。

 シンポジウムのパネリストは、中学3年生の時に父親を自殺で亡くし、今は大阪で「自死遺児が語り合う会」を開いている佐藤まどかさん、「東京自殺予防センター」創設者の西原由記子さん、多重債務や経営の行き詰まりから自殺に追い込まれる人々の相談に応じている佐賀県の団野克己弁護士、秋田県で地域ぐるみの自殺予防策の展開に取り組んでいる本橋豊・秋田大助教授、自死遺児への奨学金貸与と遺児の語り合う会を主宰する「あしなが育英会」の西田正弘さん、そしてライフリンクの清水康之さんの6人。遠方からの参加者も含めて、皆さん手弁当での参加でした。

 参議院厚労委の与野党理事が呼びかけ人として国会議員や秘書にも参加を呼びかけたところ、11名の議員を含む30名以上の議員関係者の参加が得られました。尾辻厚労相も、午前中の千鳥が淵戦没者墓苑での納骨式典、午後の献血推進本部の会議、さらには官邸での閣議という慌しい公務の合間を縫って、予定をはるかにオーバーする45分間もの間、会場にとどまり、体験発表やパネリストの意見発表に耳を傾けられました。

 参加者の総意として取りまとめられた「国への5つの提言」では、国として「自殺対策に取り組む意志」を明確に示すことや、効果的な予防策のために「自殺の実態」を調査し把握することなどの自殺総合対策の実現が求められましたが、尾辻厚労相は「何ができるか考えてみたい。できることから取り組んで行きたい」と、前向きに受け止められました。

 自殺総合対策の推進のためには、国会の動きも重要だと考えています。今後は、(1)参議院厚労委での「自殺総合対策の実現」を求める決議の採択、(2)自殺総合対策議員連盟の結成、(3)細田官房長官への「国を挙げての取組み」を求めての要望活動などに取り組みたいと思います。

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5月22日(月)号

■ 郵政民営化を巡って、国会混乱

 小泉首相は、「シャル・ウイ・ダンス」のように軽快なステップで国会を意のままにしたいようですが、そうはいきません。20日の金曜日、与党が郵政民営化特別委員会の設置を本会議で強行採決したため、審議が全面的にストップしました。

 衆議院で揉め事があって「不正常な状態」になった時も、参議院は「院が違う」との理由で、これまでは同調しないことが多かったのですが、今回は、参議院側も「審議見合わせ」で一致するという、極めて異常な事態です。参議院自民党の執行部が、参議院の自民党内にもいる郵政民営化反対勢力に配慮した結果です。

 そのとばっちりで、参議院厚労委が介護保険の審議に資するために予定していた24日(火)の名古屋市での「地方公聴会」も、「延期」となりました。参考人として出席を予定してくださっていた皆様に、多大のご迷惑をお掛けすることなり、お詫び申しあげます。

 いま求められているのは「郵政正常化」であり、小泉流「郵政民営化」は混乱を招くだけです。さらには、与野党内に存在する「政局化志向勢力」によって、国民不在の政治状況となりました。このことにもお詫びしなければなりません。

■ 介護保険で質問 参院厚労委で

 参院厚労委での介護保険法審議が17日(火)から始まり、私も19日(木)に質問に立ちました。

 利用者の懸念の種になっている筋肉向上トレーニングについては、衆議院での審議での民主党への答弁で、筋トレマシーンを使っての「介護予防」は選択性であり、無理強いされないものであることが確認されています。機器の購入費も介護保険からは支弁しないとも厚労省は答弁しています。これで筋トレについては、一定の歯止めがかかりました。しかし、筋トレに関する資格も規定しないことになったため、却って無資格者・未経験者による事故の発生を心配します。

 効果的な筋肉向上トレーニングの仕組みが確定していないことが問題です。あわせて、理学療法士や作業療法士の育成配置が求められます。

 軽度者に対する生活援助については、大臣が訪問した東京都品川区の2家庭は、ともに要支援の独居女性で、生活援助を週1回2時間あるいは週2回4時間受けておられます。「このケアプランは適切か」との質問に、大臣・老健局長ともに「適切である」と答弁しましたので、要支援判定者に対する生活援助の一方的な打ち切りはありません。

 利用者と専門家が一緒になって、望ましいケアの姿を求めていく。そのためには、ケアプランの具体例について、市町村が中心となった関係者会議で検証することが必要です。今回の介護保険の改正で、市町村の責任が極めて重くなっています。いよいよ、地域住民によるサービスの提供や評価など、主体的な取り組みが求められる様になります。

◆ 高齢社会をよくする女性の会

 社会保障の見直しは、つねに「給付減・負担増」となるため、高齢社会をよくする女性の会のような意識の高い人たちの間でも、厚労省の改正案は正しく理解されていないようです。一方、厚労省も利用者の声を十分に聞き取っていません。この両者を結ぶのが国会議員と考える私は、21日に開催された同会の集会「介護保険、こっち向けホイ!」に出席しました。

 認知症の認定の難しさ、的確な診断・治療体制の不足を指摘する意見が多く聞かれました。また、ホテルコスト(居室料・光熱水費)が特養入所者やショートスティ利用者から徴収されることは、夫婦のどちらかが入所した時に発生する「二重生活費」問題や、負担増がサービス利用を遠ざける方向に働いて、却って要介護度を上げる恐れはないのか。介護職員の待遇改善や施設内での虐待防止を求める意見も出されました。

 要介護度5の重度者を在宅で介護するには介護保険の上限額が低すぎるのではないかとの指摘もありました。

 次回以降の国会審議で、こうした疑問にお答えしていきます。また、高齢者の住まいのあり方についても、検証したいと準備しています。


△▼△ 今週の「コツコツと!」 △▼△

◎ アメリカ在住の被爆者が、広島市が保健手当などの申請を却下したのは違法だ訴えていた裁判で、広島地裁が被爆者側の主張を認める判決を出したことを受けて、対厚労省交渉が行なわれました。席上、私が検討してきた被爆者援護法の改正案について説明し、出席者には、被爆者手帳の取得には法改正が必要であるとの認識を共有していただきました。各種手当については、「法改正によって支給されることは良いことだが、支給できないとしてきた厚労省のこれまでの姿勢が変わらないままでは、厚労省を免責することになる」との意見もありました。被爆者援護法を在外被爆者にも適用する議員連盟での意見集約をめざして、議連事務局長の斉藤鉄夫さん(広島選出の衆議院議員・公明党)にお願いして、議論を進めたいと考えています。


◆◇◆ 今週の「なんでやねん!?」 ◆◇◆

* あしなが学生募金の関西担当者会議が開かれました。毎年春秋の2回開催し、今春で70回を数える学生募金。その第1回募金に参加した私も、それから35年の年齢を重ねました。参加者は20歳前後の学生さんですから、その年齢の2倍近い時間が流れたことになります。積み重ねられた運動の重みを感じますが、参加者からは、「街頭で募金を呼びかけていると、ニセ募金と疑われることが多くなった」との嘆きが聞かれました。世の中が、せち辛くなっているのか、「信頼」はもはや死語なのか。NPO活動やボランティア活動にとって、難しい難題が生じてきているように感じます。

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5月16日(月)号

 15日夜のNHK衛星放送「世界の潮流2005」は、高齢者介護、特にリハビリを巡って、示唆に富んだ番組でした(再放送が、22日朝に予定されているようです)。

 落合恵子さんの司会での、生活リハビリ研究所の三好春樹さん、東大教授の武藤芳照さんの指摘に「なるほど」「へぇー」を連発しました。

 「リハビリは、無理なく楽しく30年」
 「筋トレは意欲のある人が対象。楽しくはない」
 「片足を上げての"フラミンゴ体操"が効果的」
 「検査入院で寝たきりになる人もいる」
 「すべて同じ高さの椅子しかない施設は要注意」
 「施設での入浴での、"分業"は止めよう」
 「ハードも大切、ハートはもっと大切」

 15日は、終日、「第3回21世紀の福祉社会を創る市民エキスポ2005」に参加 (「考・動・人 山本たかしです」をご覧ください)。シンポジウムの発言者や、多彩な参加者から、たくさんの示唆と、ご注文をいただきました。

 さて、参議院での介護保険の審議が、17日から始まります。衆院での議事録を読み返していて、筋トレ効果の証明(エビデンス)を巡る議論が重ねられていますが、最終的には、特別な介護報酬は付けない、筋トレのための新たな資格制度は創設しないなどの大臣答弁がなされていますので、参院の審議では、筋トレの議論は少なくしたいと思います。

 15日の一日は、介護保険が頭のなかを駆け巡っていました。寝る前に、ふと思ったことがあります。
「介護保険法の審議だから、介護保険の財政や、介護保険サービスのあり方を議論する。それは大事だけれど、もっと大事なのは、"よりよい高齢社会をどう創るか"ではないか。」 老いるとは何か? そんな根源的な問いかけを持って、国会での議論に臨みたい。

 今日も日付が変わって、午前2時です。おやすみなさい。


◆ 参院少子高齢社会に関する調査会で、激論

 5月11日の参院少子高齢社会に関する調査会は、性行動、中絶、性教育を巡って、赤枝恒雄・赤坂六本木診療所長、遠藤順子・NPO法人円ブリオ基金センター理事長、北村邦夫・日本家族計画協会常務理事の3氏が意見陳述。

 この問題となると、過激な性教育を、これまた激しく追及する自民党の山谷えり子議員の発言が楽しみ。ところが、いつもは必ず発言する山谷委員が、妙に静か。「あれ、変だなぁ」と思っていると、閉会予定時刻が近づいた時、ようやく発言。北村参考人と、性教育やピルの解禁を巡って「激論」を交わしてきた仲とのことでした。

 赤枝氏と北村氏の間で、若年者の性行動の現状や、性感染症の拡がりが無視できない事態となっていることについて、程度の差はあれ、一致しています。ただ、三者(山谷委員を含めて四者)の間では、性教育のあり方についての認識は、かなり異なりました。しかし、その原因は、性教育という言葉を巡る混乱にあるように感じました。「いのち、避妊・中絶、性感染症」など、関心領域や、その強弱によって、性教育のイメージが大きく異なります。統計データや世界的な動向など、前提となる事象を確認し、認識を共有しあったうえでの議論が求められていると感じました。

 北村氏は「セックスレス」についても報告されましたが、話を聞いていて思ったことは、「コミュニケーション能力の欠如」ということです。若い夫婦間でセックスがない、逆に、温もりを求めて少女が性行動に走る。どちらも、コミュニケーションの欠如が根幹にあるのではないでしょうか。

 国会審議で混乱した時も、質問者と答弁者の間での、コミュニケーション能力の欠如を感じます。相手の発言がどこからきているのかを推察する、いわば行間を読み取る能力が、現代人(特に国会議員)には欠けているのではないでしょうか。

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5月8日(日)号

 ◆ 在外被爆者への援護法適用に前向きの発言

在外被爆者への被爆者援護法の適用問題が、新たな局面に入っています。

 4月7日に開かれた日韓外相会談の席上、町村外務大臣は在韓被爆者への健康管理手当の支給について言及。「在外公館の活用を検討したい」と述べました。

 被爆者援護法には各種の手当があるなかで、健康管理手当だけを取り上げたのは、裁判で争点になっていることからなのでしょうか。その詳細は不明ですが、「なぜ健康管理手当だけなのか」との議論が出てくるのは必至ですので、やがては、他の手当も支給する方向に広がっていくのは確実です。

 また、裁判所の「被爆者は、どこにいても被爆者」との指摘を受けて考えれば、いくら手当が支給されても、被爆者手帳を交付しない限り、「被爆者としては認めない。しかし、人道的立場から国内被爆者と同レベルの援護を行なう」ということになり、在外被爆者からは批判を浴びるでしょう。在外被爆者は手当などの金銭給付だけでなく、「被爆者として認めてほしい」との思いが強いのです。

 5月には、在米被爆者が訴えた裁判の判決があり、新たに裁判所の判断が加わります(この間一貫して、国は敗訴しています)。また、6月下旬以降には、日韓首脳会談が開催され、再度、在韓被爆者への援護法適用が議題となりそうです。外務省としては、こじれている日韓関係を修復するカードの一つとして、在韓被爆者への援護法適用を打ち出したい考えのようです。
 そして、今年は被爆60年目の年です。

 外務省は、いわばフライング気味ですが、この流れをしっかりと受け止めて、在外被爆者の援護問題に一定の決着を見たいと考えています。
 そこで、4月28日の参議院厚生労働委員会での一般質疑の折、尾辻厚労大臣に、質問しました。
以下、大臣の答弁(要旨)です。

  「在外被爆者の皆さんの高齢化が進んでいる。支援の在り方をどうするかを考えることは、極めて重要な課題であると認識している。やれることから一つずつ、やれるようにしていくことが、肝心だと思っている。
 従来、先程の局長答弁でもそうだが、私どもは、被爆者援護法の立法の経緯や立法時の議論などの経緯もあると言ってきた。今このことを言い出すと冒頭で言ったことがすまなくなるのでこれは率直に申し上げて、ちょっと横に置きたい。そうでなければ話が進まない。そうした中で、やれることを一つでもというと、外務省が踏み込んだことを、この間から言って頂いていることを、極めて歓迎している。事務方には外務省に言って頂いたのだから、厚労省も積極的にそのことを外務省と相談するように、詰めていくようにと指示した。
 聞くところに拠ると、今日も(具体的な言及はないが)、とにかく詰めると言っている。外務省の方も局がまたがって対応されるなど、それぞれ省内の詰めもあるが、そうしたことを、ひとつずつ詰めていきたい。その上で、場合によっては法律(改正)をと言うところも出てくるかもしれない。整備して行って、この問題を一つでも解決させたい」。


◆ 厚労相、自殺予防対策でも積極的な発言

 なお、4月28日の委員会では、自殺予防対策の推進についても質問しました。
 尾辻厚労相は「(自殺防止対策の推進は)緊急に対応しなければならない問題と認識している。是非、提案をふまえながら検討もし、対応もしたい。委員の先生方と頑張れるものは頑張って一緒に、改めて厚労省内でやれること、政府の関係閣僚会議で関係省庁と相談しながら努力を続けていく」と、積極的な発言がありました。
 この問題でも、国会側での動きが重要になってきています。

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