メールマガジン「蝸牛のつぶやき」バックナンバー
               
(vol.26  2006年1月、2月)

2月26日(日)号

昔々、永田町というところに、大きな竹やぶがあった。ある日のこと、「そのなかの一本の竹に、何か大事なものが隠されているぞ」との話を耳にした永田爺さんは、村のみんなに、「一緒に探そう!」と呼びかけた。でも、自分たちが隠したもっともっと大事なものが見つかることを恐れた一部の村人は、「全部の竹を切るのかい? そりゃ、無茶じゃ。そんなに大事なものなら、自分で探せ!」と言って、一緒に探すのを断ったんだとさ。おしまい。 


■ 国政調査権と国会議員の「権力」

 「国会議員は、なんでもできるのでしょう」と聞かれたり、「国政調査権を使って、徹底的に調査すべきだ」と叱られたりすることがあります。

 ちょっとした誤解があるのは、憲法第62条には「国政調査権」が規定されていますが、それは、あくまでも国会に対してであって、国会議員個人に与えられているのではないということです。議員個人には、捜査権のような権力は与えられていません。

 そこで、永田議員らは、国政調査権を使って、メールの真偽も含めて調査して欲しい。その場であれば、情報提供者を明らかにすることもできる。そして「ライブドア事件」の一端を解明したい。そんな思いで国会論戦に臨んだのでしょう。

 しかし、自民党幹事長に関連するような案件について、国政調査権の発動に与党が同意するはずがないことは自明の理。与党が同意を拒んだ時点で、「社内メール」ルートでの登頂を一旦断念し、また別のルートから登山を試みますと宣言した。そうした展開だと思います。

永田議員は、勢いに弾みがつきすぎたし、その後の大騒動のなかで茫然自失し、責任感から進退を口にした心境は良く理解できます。少し落ち着くまで、時間が必要だと思います。


■ 薬害エイズでの「疑惑」解明を想起

 今回のメール問題での推移を見ながら、私は、薬害エイズを国会で追及した時のことを思い出していました。

 製薬会社と医師と厚生省という3つの大きな峯が並び立ち、いずれも難攻不落と思われました。しかし、被害者や支援者らの粘り強い取り組みがなされていました。国会でも取り上げるべきだという声が強くなりました。当時、私は衆院厚生委員会の野党側理事のひとりでした。

 先ずは被害者や関係者に国会に来てもらって、意見を伺おうと提案しました。当初、自民党は消極的でした。この件に踏み込むと、必ず厚生省の責任問題に波及することを懸念していました。その姿勢を変えさせたのは、自民党理事のひとりだった衛藤晟一さんでした。衛藤さんは被害者の方と懇意だったようです。

 こうして、厚生委員会での参考人質疑、証人喚問へと繋がったのですが、国会議員のなかで真剣に真相解明に実務的に取り組んでいたのは、ほんの数人ではなかったでしょうか。
国政調査権(厚生委員会における合意を経て、厚生委員長が発動)を使って厚生省から資料を提出させました。黒塗り箇所が多いものでしたが、丹念に追いかけていくと、まだ厚生省が公表していない資料があると気付きました。例の「隠されたファイル」です。

 私が国会で薬害エイズについての質問を重ねることができたのは、個人的努力にあわせて、委員会で取りあげようと自民党も同意したこと、私の事務所に、被害者や弁護団、時には新聞社の担当記者の方からも、質問材料となる「物証」が届けられたからです。

 国政の重大案件について、必要とされる真相の解明を追究するのは国会議員の責務ですが、野党議員にとって壁は厚く、政治家と金といった類の問題は、さらに難しくなります。今回も、もっと緻密な攻撃作戦の組み立てが必要だったのではないでしょうか。


◆◇◆ 今週の「なんでやねん?!」 ◆◇◆

■ アエラ掲載の「たばこ」広告に関して

 江川紹子さんの堀江インタービュー、秋田県の高い自殺率と有機燐系農薬の関連を論じた記事に惹かれて、アエラ2月13日号を買った。それらの内容は期待に違わないものだったが、表紙をめくってすぐ目に飛び込むJTの両面広告に、胸が痛くなった。

 広告文曰く「たばこの気になる"におい"を抑えたD−specシリーズ。まわりの人にやさしいから、気兼ねから解放され、一服をリラックスして楽しめる。その上、たばこ本来の良い"香り"も満喫できる。さあ、一歩進んだスモーキングライフへ」。

 しかも、左ページにたばこを手にした男性、右ページには、向き合うように口を開けて笑っている女性の写真です。

 そもそも「まわりの人にやさしい」たばこなど、ない。「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなり」という文章も変だ。喫煙は、周囲の者の健康も害するのだから、「喫煙は、あなたや周囲の人にとって肺がんの原因となり」とすべきではないのか。

 紙面全体の6分の1の面積を使ってたばこの有害性を告知しつつ、たばこを広める広告をするJTには、こうした広告の自粛を願いたい。またアエラ編集部(あるいは営業部)には、儲けに走って、どんな広告でも載せるのはやめてほしい。

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2月5日(日)号

 先週のメルマガでは、年金改革の見通しを展望しましたが、熱心な読者から、「硬すぎるよ」とお叱りを受け、マンガ本も貸してくださいました。今週も、肩に力が入っています。ご容赦を。

■ 与党議員、本会議場で陳情の破廉恥行為

 2月3日、参院本会議でのことです。

 平成17年度補正予算案等が採決されました。重要法案に反対する場合、野党は、採決に先立って「反対討論」を行ないます。今回は、小林正夫議員が行ないました。

 「野党に言わせ放題で良いのか」と、与党側は賛成討論を行ないました。でもねぇ、自分たち与党が出した法案に、何で、いまさら賛成討論なんかするんですか。時間の無駄。

 しかも賛成討論者は、「法案には、昨今話題の耐震偽装事件や鳥インフルエンザの感染対策など、十分な対策と費用が盛り込まれている」と自画自賛した後、こう言ったのです。

 「豪雪で、年寄りは雪下ろしに難儀している。自治体は、除雪費用が足りずに困っている。政府には、十分な対応をお願いしたい」。

 それならば、もっと補正予算を付ければ良いことで、補正予算は欠陥予算ですと自ら認めてどうするのですか?そもそも、与党議員が本会議場で「予算要望」するなんて、マンガです。それは、政府・与党内ですることで、本会議の演壇でしてはいけません。

■ 質問主意書への虚偽答弁書は許されない

 骨付き牛肉の輸入で小泉総理は、「責められるべきは(危険部位をつけたまま輸出した)アメリカで、なぜ私が責められないといけないのか」と開き直りました。小泉さんは屁理屈の神様です。

 水際作戦で危険な牛肉の輸入は辛うじて食い止めたけれど、その前に、きちんとした検査体制があるべきで、その整備はアメリカ側の責任であっても、その体制を確認してから輸入を許可するのが当然のあり方。そうした観点に立った厚労省や農水省の考え方を踏まえて答弁書を閣議決定したのに、その後、小泉内閣は、「事前の査察は必要ない」と方針変更。

 「まぁ、その時点での考え方をお示ししただけです」と、小泉総理は言い訳していますが、輸入再開前に現地査察をする意思が最初からないのに、答弁書では「輸入再開以前に、現地調査が必要である」と答える。世間では、こうした行為を「ウソをつく」と言います。質問主意書への答弁書は閣議決定を経て提出されることから、今回の事態は、小泉総理が「国民に対してウソをついた」ことになります。

 なぜ査察実施時期について、日本側は考え方を変えたのか。アメリカからの圧力だったのか。一刻も早く輸入を再開したい外食産業の要望に応えたのか。あるいは、日本側が査察したにもかかわらず問題が起きた時は、政府の責任が厳しく問われる。そのことを避けたかったのか。もし、最後の答えが正解ならば、現地での検査体制は、実にお粗末だということです。

◆◇◆ 今週の「なんでやねん?!」 ◆◇◆

* 東横インの完了検査後改造は、どこのビジネスホテルでも行なわれているのではないかと思わせる手口です。建築確認制度は、完全に有名無実化しています。ところで、駐車場を改造した客室なんて、寒々とした感じですが、料金は他の部屋と同じなのですか?

* 「日本社会の格差是正を!」と、ポスト小泉候補者が訴えています。しかし、その内容は「都市と地方の格差是正」。要するに、地方での公共事業を増やしたいということのようです。なぁ〜んだ。

* 竹やぶで金色に光る竹を見つけ、切ると男の子ではなく、女の子がいた。川上から大きな桃が流れてきて、切ると女の子ではなく、男の子が出てきた。男の子と女の子が生れる確率は半々。竹から生れた男の子、桃から生れた女の子というお話は、ないのでしょうか。

<無手勝流川柳 お題は「背骨」>

マンションの背骨を抜いた小嶋さん

堂々と背骨を付けたアメリカ産

背骨など元からなかった堀江さん

骨太の背骨を操る竹中さん

背骨役これも競争小泉さん

◆◇◆ 今週の「早ょ、やってや!」 ◆◇◆

* ようやく国交省と厚労省が「大阪タクシー戦争」の沈静化に乗り出すようですが、小泉規制改革の暴走にストップをかけられるか、疑問です。交通事故をなくす国会議員の会でも取り上げましたが、空車が道路に溢れ、運転手の収入は最低賃金に届かない。稼ぎを求めて長時間労働となる悪循環。早急に台数を制限し、タクシー乗り場も整備すべきです。空車が減れば、交通渋滞も解消します。

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1月29日(日)号

 今通常国会は医療制度改革が主題ですが、年金改革議論も進めなければなりません。

 しかしながら、年金改革の与野党合同会議での議論を振り返るとともに、必読の書と薦められた新川敏光ら編著の『年金改革の比較政治学』(ミネルヴァ書房、2004年10月)を再読して得た結論は、「年金改革は棚上げとなる。真の年金改革は、さらに先送りされる」でした。

■ 年金改革合同会議は頓挫する?

 国会に設置された「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」は、平成17年4月8日の顔合わせ以降、同年7月29日まで、8回開催されました。

 その間、私は5回発言し、論点を明示し、いくつかの改善案を示しました。最終日には、「今日までの話し合いを整理し、一定の合意がある事項について整理すべきだ」とも提案しました。しかし、残念ながら今日までそのような動きは見られません。

 与党にとっては、基礎年金の財源としての消費税引き上げに、野党の同意を得るために開いているような会議です。「どうせ野党は消費税引き上げの赤信号を一緒に渡ることはないだろう」と考える与党議員にとって、会議の開催はまったく意味がないのかもしれません。

 おまけに、与党は04年改正案が唯一、最善の案だと主張して譲りません。自ら厚労大臣を出し、年金法案を強行採決で通した公明党に至っては、これ以上の「修正や改正」が加えられることは絶対に許されないのでしょう。

 結局のところ、合同会議には与党側から推進力を与えられておらず、形式的なものにならざるを得ない状況です。

■ 年金改革合同会議での私の提案

 今回の与党主導の年金改正の中味は(1)基礎年金保険料について、定額制度を維持したまま16,900円まで引き上げる。(2)基礎年金にもマクロ経済スライドを適用して実質価値を減額する。(3)段階保険料制度を導入する。というものでした。

 これらの措置は、無年金あるいは低年金者を構造的に発生させることになります。そもそも、基礎年金の「基礎」の意味が不明確になってしまっています。年金改革とは基礎年金改革に尽きるはずです。

 合同会議で、私は、「年金改革とは、基礎年金改革に尽きる」との観点に立って、幾つかの提案をしました。以下、整理してみます。

 最低保証年金として基礎年金を位置づけ、財源は保険料ではなく、税方式に切替える(無拠出。居住要件で給付する)。財源には、消費税だけでなく、相続税や企業が負担する社会保障税なども検討する。政府・与党は、社会保険料のほうが安定的に収入を確保できるから社会保険方式を維持するという考え方に拠っているが、それでは若年者の未納・未加入率を改善するのは困難だ。

 現行制度を前提にするのであれば、(1)基礎年金と報酬比例年金の保険料を分離し、それぞれの保険料であることを明確にして徴収する。(2)基礎年金保険料を国民健康保険や介護保険と同様に、所得に応じた段階保険料に改める。(3)納付できない場合は、申出によって保険料を納めたとみなす(この措置によって、当該期間については満額の年金が保障される。要するに、現在は給付時に行なっている国庫負担を、保険料納付時に減免を受けている者の保険料として納付する納付時負担に改める)。

 いずれの場合も、徴収は社会保険庁と国税庁を統合した「歳入庁」が行い、年金給付は「年金事業庁」が行なう。所得捕捉率を高め、給与所得者と自営業者との間での税負担の公平さを高める一環として、納税者番号制度の導入を急ぐ。

 若年者の年金不信に対応するには、税方式の基礎年金(最低保証年金)と見かけ上の積立方式の報酬比例年金を組み合わせた年金制度を新たに発足させ、ある時点から、新制度への加入に切替えることが必要だと思います。

■ 老後に経済的不安のない自民党議員

 真の年金改革を拒んでいる要因は、与党の面子(めんつ)以外にもないのでしょうか。

 ひとつは、自民党のなかで、そもそも、自らの老後に経済的不安を感じる国会議員がどの程度いるのでしょうか。世襲議員や大企業のバックがある自民党議員が、低所得者の年金問題を熱心に考えるはずがないのではないか。これは言い過ぎでしょうか。

 そんな自民党議員と違って、連立与党内で低所得者の代弁者だと期待されている公明党が、残念ながら、その役割を果たしていないのです。このことも年金改革を妨げている要因です。

■ 厳然たる山口新一郎年金局長の影

 厚労官僚のなかにも現行の年金制度を前提にしている限り、真の年金改革はできないと考える人もいます。しかしながら、死してなお威光を放っている山口新一郎年金局長の存在が無視できないのではないでしょうか。

 周知のように、基礎年金制度が創設された昭和60年の年金改革は、当時の山口年金局長の壮絶な戦死と引き換えに実現しました。その山口局長と仕事をともにした厚生省OBが天下り先の厚労省所管団体にいて、現職官僚にもまだ残っているという状況では、山口局長遺作の「基礎年金」の改革に、手を出す厚労官僚はいないのではないかと思います。

■ より大きな危機を回避するために

 新川の指摘する「非難回避戦略」を政府・与党が採ってきたため、数次にわたって、年金保険料の引き上げと給付額の減額が繰り替えされてきました。厚労省も、人口等の予測を誤ったのではなく、本当のところは、一気の改革が政治的に受け入れられないため、「逃げ水」と批判されるような年金改革をしてきたのではないでしょうか。

 今後、人口減や経済の低成長によって、年金額の所得代替率はさらに低下します(政府与党は認めようとはしませんが)。しかし、「ものすごい改革案だ」とされるマクロ経済スライドによる年金縮減の影響は、現時点での受給者にはほとんど及ぶことはなく、引退間際の中年層でも影響は少ないのです。一番割を食うのは、現在の若年層です。これからは、老後生活の糧となるような退職金を当てにすることはできません。完全雇用すらおぼつかない状況下で、若年層の年金離れは一層加速されるでしょう。

 彼らには、定額のミニマム年金と、公的関与のある拠出制所得比例年金を組み合わせた新年金制度を提示し、さらなる保証は自助努力に委ねられるというのが、抜本的な解決策だと再度主張します。

 新川が著書で指摘するように、問題の先送りは、より大きな危機を醸成します。年金改革を棚上げにする訳にはいかないのですが、年金合同会議が再開される見通しはないようです。

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1月22日(日)号

■ 小泉内閣「最後の国会」が開幕

 1月20日、第164回国会が開会されました。小泉内閣にとって、最後の国会です。通常国会は総理の施政方針演説、外務大臣の外交演説、財務大臣の財政演説、経済財政担当大臣の経済演説から始まります。

 小泉総理の施政方針演説は、これまでの成果を強調しつつ、今年の課題を列挙するというトーンです。各省庁が、自らの政策課題のうち、今通常国会で解決を図りたい課題や、予算に盛り込んだ重点事項を並べ立てるので、面白みはありません。役所としては、「ここで小泉総理に発言していただくことが、今後の省益を確保するために重要だ」と判断した事項が並んでいるということです。

 その点では、農政では、リンゴやアワビなどの高級食材の輸出増加を謳い上げ、「攻めの農政」を進めると言いますが、国内自給率の向上という最大課題には、まったく触れていません。また、交通事故死者を5千人以下にすることを目指すとしていますが、3万人を超える自殺者の問題には触れられていません。不十分です。

 演説の最後は、吉田松陰や、イチロー、松井などを引き合いに、「皆、志を持って挑戦し、懸命に努力し、様々な試練を克服して、夢と希望を実現している」と、国民に努力を求めるという、いつものパターンでした。

 衆議院では小泉チルドレンが拍車喝采したようですが、参院では、自民党や公明党席からの拍手はなし。「たまには拍手ぐらいしてやれよ」と野党席から野次が飛び、小泉演説にぱらぱらの拍手が起こりました。参議院での小泉さんは全く人気がありません。

■ 麻生は出遅れ、福田が本命か

 官僚作文のため制約が多い4演説ですが、次を狙う谷垣財務相は財政演説の「結び」に、独自色を盛り込み、総裁選への意欲を示したように感じました。

 谷垣財務相は「構造改革の先にあるのは、弱肉強食の社会ではない。家族や地域社会の絆を強め、国民と国家の絆を再構築したい」と語りました。もっとも、国民一人一人が自ら「公」を担うことによってとのくだりには、財政再建には増税が必要との想いが滲み出ていました。

 麻生外相には、そのような部分はありません。むしろ、中国には「過去の問題にこだわりすぎることなく、冷静に大局を見すえる」ことを求めました。韓国には「韓国の人々の過去を巡る心情を重く受け止め、人道的観点から、過去に起因する諸問題に真摯に対応していきたい」と述べました。わざわざ、「人道的観点から」と入れるところに、外務省の姿勢が読み取れます。いずれにしろ、この外交演説では、日本のアジア外交の行き詰まり状態は今後も続くと思われます。

総裁選は、麻生は出遅れ、安倍は叩かれっぱなしで、攻撃圏外にいる福田が本命なのでしょうか。

■ 米国の圧力に屈した責任は重大

 小泉総理は施政方針演説で「昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります」と述べたのに、夕方には、米国産牛肉に危険部位が混入していたことが公表されました。お粗末なアメリカの監視体制を過大評価し、米国の圧力に屈してアメリカ産牛肉の輸入を再開した小泉政権の責任は大です。

◆◇◆ 今週の「なんでやねん?!」 ◆◇◆

* 小泉さんが絶賛し、自民党の候補者にまで引き出したホリエモンは、「拝金主義」の権化だった。奥田経団連会長は、ライブドアの経団連への入会を認めたことを「ミスった」と発言。大混乱した東証の西室社長は、お粗末に過ぎたシステムの責任を隠蔽するかのように、ライブドアを攻撃。通常国会では、「金がすべて」のホリエモンを擁立した小泉さんの姿勢が問われるだろう。「貧富の二極分化は進んでいない」と公表した内閣府にも、納得できる説明を求めたい。

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1月15日(日)号

■ 「安全国会」にするためには

 前原代表が、1月20日から始まる通常国会を「安全国会」にしたいと語りました。1月12日の民主党常任幹事会で、前原代表は「政府・与党は行革国会で削減中心。民主党は、官や公の責任を重視したい」と、自民党との違いを強調しました。

 耐震偽装問題で民主党が鋭く追及していることや、豪雪対策、羽越線での脱線事故など、国民の不安が高まっていることを受けて、ここは攻め所ということでしょう。必要なことではありますが、責任追及と同時に、再発防止策や現に被害を受けている人たちへの充分な対応策なども論じて欲しいと願います。


■ 医療制度の「安心」も大問題

 医療制度における「安心・安全」も大問題です。
医師の地域間や診療科間での偏在が問題視されています。「全県に医師養成大学を」との掛け声で、全都道府県に医学部や医科大学が設置されましたが、地方に限らず、ほぼすべての医療機関で医師不足が生じています。

 医師数と医療費には相関関係がある。すなわち、医師が多い地域では医療費が高いとの理屈から、医師の養成数を抑制してきました。しかし、医師がいなければ、あるいは医師が多忙であれば、満足のいく医療は期待できません。

 効率や医療費抑制だけを考えていると、医療水準は低下するだけです。NHKの「がんキャンペーン」で東大阪市民病院が取り上げられました。外科医を7人から13人に増強し、担当する外科手術を専門化したところ、治療成績が格段に向上したそうです。病院長は「地域の中核病院である市民病院で、恥ずかしい治療成績だった。市当局の支援もあって、医師の増員が実現できた」と率直に語っていました。

 病院の医師や看護師を増やさなければ、バーンアウト(燃え尽き)で離職する事態となります。患者が満足なインフォームドコンセント(説明)を受けたいと願っても、「お一人30分や1時間はお話ししたいのですが、診療報酬には反映されないので大変です」とある医師は嘆きました。そして、午後6時近くまで外来診療を続けておられました。

 病院の診療報酬を上げないと、医療の荒廃は進みます。
全国の自治体病院のうち、補助金などに頼らず実質的な営業黒字を確保しているのは、全体の8%程度しかないことが、日本政策投資銀行の分析でわかったとの記事もありました。
地元の市長さんたちの集まりで、「市民病院の看護体制を、2交代制にしないと経営は改善されない」との声が続きました。患者1.5人に看護師1人は多いように見えますが、外来勤務や病棟での夜勤などを考慮すると、手薄な人員体制だと思います。

 もっと医療関係者の層を厚くすること。そのためには、公費の増額や、保険料のアップも必要ではないかと思います。


■ グループホームの再点検を

 長崎県大村市の高齢者グループホームで火災が発生し、7人が焼死しました。夜間の当直者は1人だけで、消火設備も充分でなかったそうです。消火設備の設置義務付けや、建物の耐火構造化などは、消防庁や国土交通省の所管事項かも知れません。しかし、高齢者入居施設における、夜の当直体制の手薄さや、入居者の特性などを考慮しながら、安全な入居環境を整えるのは、やはり厚労省の仕事です。

 縦割り行政の狭間で、高齢者が犠牲になる事態は避けなければなりません。また、介護保険料に跳ね返るからと、手薄な人員体制を放置すれば、同様の事態が続くことは避けられません。7人の犠牲を、無駄にしてはならないと思います。


■ 病院の有料老人ホーム経営解禁

 厚労省は、病院が有料老人ホームを経営することを認める方向だと報じられました。

 平成12年に介護保険が導入された時、医療費は大幅に減るはずでした(医療保険から介護保険に、財源が移るはずでした)。しかし、介護保険での介護報酬より、医療保険の診療報酬の方が高く設定されたため、医療施設運営者は介護療養型病院からの転換を渋りました。

 今回、病院に有料老人ホームの経営を認めれば、病院における「社会的入院」者が、介護保険適用施設に移り、医療保険財政の軽減を図ることができる。そんな厚労省の意図が読み取れます。

 これまでも医療法人は、別途に社会福祉法人を設立して、高齢者施設を運営してきました。高齢者は、どうしても医療と切り離せないので、医療施設と密接に繋がった入居施設を望みます。

 今回の措置によって、有料老人ホームがますます増えることになります。施設設置の権限は市町村ですが、介護保険料の高騰を嫌う市町村にとっては、頭の痛い問題が増えることになります。

 自己負担1割、公費半分、保険料で半分(高齢者と若年者で按分)という介護保険の財源構成を見直して、公費の投入割合を高める必要があると思います。


◆◇◆ 今週の「もっと早ょやってや!!」 ◆◇◆

* 来年の参院選から、海外に住む日本人に衆院小選挙区と参院選挙区の選挙でも投票を認めることになるとの新聞報道があった。最高裁での違憲判決を受けて、総務省が「できません」と言い張っていた姿勢を180度転換することになるが、最高裁の判決を得なければ姿勢を転換しない行政には、猛省を求める。在外被爆者や中国残留邦人などへの冷たい対応も、早期に改めて欲しい。

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1月8日(日)号

■ 年賀状の一筆から考えること

 「民主党に頑張って欲しいが、憲法9条を変えることは反対です!」「戦争への足音の高まりに、命を懸けても阻むべしと決意する年頭です」「外交の方も、自民党との違いを左側に見せてください」。いつか来た道とならないか。そんな懸念が高まっています。

 「初めに医療費抑制ありきの医療制度改革は、制度の抜本改革にはほど遠いものがある」「食糧自給率が20%かそこらの現状をそのままにして、改憲だのと踊る政治家が多いのは困ったものです」。本当の「安心・安全」に繋がる政策が求められています。

 「小泉政治は危なっかしい」「小泉劇場はもうタクサンです」。しかし、世論調査で小泉政治は依然として高支持率。この落差は何なんでしょう。

■ 藤原正彦著『国家の品格』

 この点に関して、数学者、藤原正彦氏の『国家の品格』は示唆に富んでいます。

 藤原氏は、民主主義の根幹は国民主権、主権在民で、その大前提は、「国民が成熟した判断をすることができる」こと。しかし、国民は一体、成熟した判断ができるものなのかと問いかけます。

 マスコミが世論を形成し、国民は流される。民主主義からヒットラーが生まれ、民主国家の日本も、戦争に突入した。主権在民が戦争を起こすのだと藤原氏は指摘し、それを防ぐには、エリートが絶対必要だ。エリートとは、何の役にも立たないような教養をたっぷり身につけ、いざという時は国家、国民のために喜んで命を捨てる者を言い、官僚は真のエリートにあらずとも述べています。

 役に立たないものや精神性を尊ぶ土壌、美の存在、跪く(ひざまずく)心が大切だ。しかし、市場原理主義は、これらすべてをずたずたにする。たかが経済ではないか。英語より国語。読書を復活させ、日本の歴史や伝統文化を教え込むこと。西欧が押し付ける「自由、平等、民主主義」を疑ってみること。武士道精神からくる行動基準は論理では説明できないので、親や先生が幼いうちから押し付けないといけない等の主張は、説得力に富んでいます。

◆◇◆ 今週の「なんでやねん!?」 ◆◇◆

* 社会福祉士養成大学の学校差拡大を驚くとの声があった。福祉や医療分野は、優秀な人材の確保が課題だが、単に肩書きを与えるだけの「養成」では困る。各養成機関における社会福祉士合格率(対定員)など、実態を探ってみたい。

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1月1日(日)号

■ 明確な対抗軸の提示が先決

昨年9月の総選挙以降、民主党の全員が敗因を考えてきました。私の結論は、「民主党の慢心」です。

民主党は03年の総選挙、04年の参院選で、ともに躍進しました。しかし、その勝因は何だったのでしょうか。03年総選挙は、自由党との合併によって、頼れる政党が生れるとの「国民の期待感」が民主党を躍進させました。04年参院選は、年金が争点となり、小泉総理の不真面目発言に国民が怒り、民主党に投票が集まりました。

その結果、「政権が近づいたと」誤信したことが、民主党大敗北となったと私は考えます。何かと言えば「政権交代」を口にする。しかし、政権交代は、国民のための政治を実現する手段であって、目的ではありません。どんな社会を創るのかの明確なビジョンを提示し、国民と共有する作業を怠っていたのではないでしょうか。

マニフェスト(政権構想)は、政権が取れなかったから、もはや意味を持たないという意見があります。私は、そんな薄っぺらな政権構想ではなく、しっかりとした理念(与党との対抗軸)を定め、そこから導き出される政策を、愚直に訴えることが、民主党への信頼を高めると考えます。

■ 小泉政権の暴走を止めよう!

巨大与党となった自民党は、小泉総理の号令のもと、今後とも米国の対日要求に沿って政策決定をし、効率第一の競争至上主義を掲げて暴走します。

その代償として、「安心・安全」や「公平さ」は二の次となります。個々人の経済的格差や、都市と地方との地域間格差など、社会のあらゆる局面で二極分化が進み、企業や職業倫理の崩壊も加わって、日本社会はさらに不安定になります。

■ 民主党と一緒に活動ください
 
民主党は、「公平な負担と分配」「透明な決定」を標榜しつつ、国民の皆様とともに「ほんまもんの改革」を進めます。そして、心豊かに暮らせる社会、働きがい・生きがいのある社会、「新たな市民社会の創造」に向けて、着実に進んで行きたいと思います。皆さんもどうぞ忌憚のないご意見をお寄せください。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


◆◇◆ 今週の「なんでやねん!?」 ◆◇◆

* 羽越線の特急電車をかつて運転していたという人が、「あそこは風が強く、車輌が煽られることもあった」とテレビで話している。泥湯温泉での事件も、同様の事態が5年前に起きていた。こうした、ヒヤリ・ハット事故が見逃されている限り、悲劇は繰り返される。これまでのヒヤリ・ハット事故をすべて掘り起こす「職場の安全点検運動」を、国民運動として展開してはどうだろうか。

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