3月26日(日)号
■ 中古電器製品販売問題 経産省の変身に異議あり
中古電器製品の販売問題で、経産省は、検査済のPSEマークが付いていなくとも、後日に漏電検査をすることを前提に、「レンタル」の形で販売できることを認めました。法律施行の先送り、というより屁理屈を考え出して(さすが優秀な官僚です)、法案の本質を骨抜きにしました。
坂本龍一さんなど著名人が動き出したことで、総理官邸が政治的判断をしたのだと思います。この一件、小泉政治の本質と、官僚機構の問題点を浮き彫りにしています。
今回の騒動の発端は、平成11年の通常国会に、通産省関係の基準・認証制度の整理合理化法案として一括して提出された、電気用品取締法の改正案に盛り込まれていた事柄です。規制緩和を求めるアメリカや経済団体からの要望に応える形で、安全性に関わる政府のチェックを廃止したり、自主点検に格下げしたりするという内容でした。
審議では、「製品の安全性を保証するのは、一義的には製造者や販売者だが、原子力発電所や火薬など危険性の高いものについてまで、その安全性を確保する政府の責任が免責されるものではない」との指摘がありました。耐震構造偽装事件でも問題となったように、住宅という高額商品で、その毀損が住民や周辺地域に与える影響が大きいようなものは、検査を民間に委ねたとしても、最終的な建設許可は行政が行なうというように、行政の関与が不可欠です。
ただし、電器製品のようなものまで、政府が安全性マークを付与する必要があるかとなると、首を傾げます。PL法があり、市場における有力製造業者の占有率や漏電ブレーカーの普及などを考えると、電器製品に係わる政府認証制度の継続は、官僚の天下り先を確保したり、行政の仕事を減らさないという「お役人」の思惑が見えていたりするからです。これは、小泉さんの規制緩和が、いかに中途半端かという証です。
二つ目の問題は、国会の審議を経て成立した法案であっても、その施行段階で官僚は、自らが思いのままに運用できるという点です。今回も、法案解釈を捻り出して、法案の趣旨を歪めてしまうのです。官僚は、国会の意思に関わらず、何でもできるのでしょうか。そして、それを指示した小泉流の政治、すなわち、機を見るに敏という大衆政治の姿勢です。
三つ目の問題は、官僚機構の脆弱さです。恐らく、経産省の直接の担当者は一人か、せいぜい併任で二人程度ではないかと思うのです。法律を適正に施行すべきなのに、そのチェックが働かない、ダブルチェックなど到底不可能なような人員配置です。担当者は、中古品の存在に気付かなかった、あるいは中古品は規制対象外と思っていたのではないでしょうか。公務員の削減を小泉内閣が掲げていますが、現業や外局、地方局などは民間委託や地方への権限委譲などを行い、政策を作り、その施行を見守っていくという人たちの数は増やさなければ、本当の改革が進まないと思います。このことは、厚生行政の遅れを見ていても痛感することです。
もっとメリハリのついた政治、行政を行なうべきであり、そのためには、一定数の人員が必要ですし、配置も適正に行なうべきです。
■ 国会内の禁煙・分煙を関係者に申し入れました
3月22日、禁煙推進議員連盟総会開催。席上、国会を禁煙にするため、先ずは、(1)参議院の各委員会も、衆院と同様に禁煙とすると取り決めること、(2)集煙器を置いただけで「分煙」といっている場所から、機器を撤去することを、議長、議院運営委員長など、国会内の関係各方面に働きかけることを決定。また、4月1日から全館禁煙となる厚労省だけでなく、全省庁を全館禁煙とするよう厚労省等に求めました。
申し入れをした扇参院議長は、「アメリカの友人の家では、たばこを吸う人は庭に追い出されるのよ。外国によく行く国会議員は、禁煙・分煙の厳しさを知っているでしょうに。国会を禁煙にするのは当たり前。議長公邸の灰皿も撤去しました」。他人に迷惑を掛ける喫煙者は、国会議員失格とのご意見。
同席した参院事務総長が「国会に来られる方の喫煙スペースも必要」「不十分な分煙機器は撤去して、代わりに完全分離型の喫煙室を作ります」と“説明”すれば、「そんなスペースを作るためにお金を使わず、禁煙に協力してもらえば良いじゃない」と即座に諭しておられました。事務総長には、国会を禁煙にして世界や日本社会にアピールするとか、国会経費を削減するといった発想はないのでしょうか。
衆院関係者に申し入れをした小宮山洋子議員によれば、「自分たちで健康増進法やたばこ規制条約を本会議で承認しておいて、その内容に沿って実行するのは当たり前」との返事が返ってきたそうです。河野衆院議長も「参院より衆院の方が進んでいます」と、参院側の遅れをやんわりと指摘されたとか。
国会議員や国会事務局職員は公務員ですから、法律を遵守する(法律を遵守させる)義務を負っています。分煙スペースの設置や効果の判らない分煙装置の購入に貴重な税金を投入したり、“分煙機器”周辺にたばこの煙が拡散されている状態を見逃したりしていることは、公務員の職務怠慢でもあります。
ところで、喫煙の健康被害に関して、日本人を対象とした疫学調査が少ないことに驚いています。日本人の論文も、かなりの部分が欧米での研究の孫引きになっています。今回、禁煙外来(禁煙したいと思っている人たちのための治療)で健康保険が使えるようになります。受診者の協力を得て、喫煙者とその家族を含めた日常生活、住居形態、健康状況などに関するデータの蓄積を行なうよう、厚労省に要請しました。
◆◇◆ 今週の「なんでやねん?!」 ◆◇◆
■ 「もったいない!」ことばかり
*(1)北海道で生産過剰を理由に、大量の生乳を廃棄。粉ミルクにして援助物資にすることはできなかったのでしょうか。
*(2)議員宿舎の各部屋に配備された食堂テーブルと椅子を交換するとの通知。「経年劣化で、椅子のビスが落ちる」からと言うけれど、その程度で新品と交換? 私の部屋の食堂セットは、10年弱の使用。だから、交換しません。
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