2006年6月6日 参議院厚生労働委員会

 山本孝史君 民主党の山本孝史でございます。

  久しぶりの質問なのでちょっと動揺しております。時間が四十五分と短いので、早速質問に入りたいというふうに思います。

  今日は、大臣と議論をさせていただきたい最初のトータルとして医療制度を真ん中に置きながら、これからの日本の社会保障の全体をどう考えていくのかということについてもう少し広い視野で展開すべきじゃないか、この間の本会議での質問をもう少し深掘りさせていただくような形で大臣に御質問させていただきたいというふうに思っております。

  まず、この委員会、衆参ともにそうですけれども、医療費の将来推計が妥当かどうかということで議論がありましたけれども、私は、あれはあくまでも推計ですから、推計を基にいろいろ議論してみても実は時間がもったいないだけだと思っております。しかも、その問題は二〇二五年の医療費がどうだということを言っていますが、二〇二五年は団塊の世代がちょうど七十五歳に達する時期でして、私の問題意識はそれから先、二〇三八年、今日お手元の資料にお配りをさせていただきました、実は死亡者数が百七十万人になる。今、百八万人が去年ですけど、これに比べると大変言わば多死社会が来るわけですね。この団塊の世代が学校教育のときはプレハブの校舎で学ばせていただいたと、それが最期を迎えるときにはプレハブ病棟になるのですかと、こう申し上げたのは、団塊の世代を引き受けるというか、その受皿としてのみとりの場所をどう考えるのかということは大変大きな政策課題だと私は思っております。

  そういう意味で、百七十万人の人たちのこの受皿、その場所とそれぞれの数、病院、自宅あるいは施設というようなものについて、どういうふうに厚生省としてお考えになっておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

国務大臣(川崎二郎君) 二五年の議論をしていてもある意味では見通しという数字しかない、その十三年後をまた具体的に示せという御質問でございますけれども、今、平成十五年の時点で病院、診療所で亡くなられる方が八一・六、自宅が一三・〇という数字になっております。これはもう委員も御承知だと思いますけれども、かつては昭和二十六年で……

山本孝史君 済みません、時間が短いので。

国務大臣(川崎二郎君) はい。昭和五十年でクロスしたわけですね。八〇対二〇、自宅が八〇、医療現場が二〇という時代から、五十年にクロスして、今逆に八〇対二〇になっている。それを基本的には病院から在宅、若しくは介護施設の方へだんだん方向付けていこうというのが今度の施策だろうと思います。

  さあ、五〇、五〇のところまで行けますかということになると、これまたいろんな議論があるだろうと私は思っています。ただ、方向付けは、私どもは、国民の六割が自分の最期の場所としてできるだけ自宅を選択したいと思っていることは事実ですから、政策誘導としては当然自宅なり、より自宅的なところへ持っていくべきだろうと。少なくとも医療施設で八一%が亡くなっておるという現状は少しずつ変えていかなければならないと、このように考えております。

山本孝史君 今の病院死亡率八〇%を半分四〇%にすると。しかし、百七十万人の四〇%ですから六十八万人、七十万人ぐらいということになるんでしょうか。だから、そこの数を、今介護施設をつくろうとしている、自宅に近い介護施設をつくる。片っ方で、病院の方は一般病棟も含めて療養病床転換する、あるいは一般病棟も含めて少なくなっていくわけですね。一方で、自宅の方は独り住まいの高齢者が増えてきて多分自宅でみとるというのは極めて厳しいだろう、介護なりあるいは医療の外付けがあったとしても、という皆さん御意見があって、それが回り回って実は高齢者医療の受け手をできるだけ少なくしたいというような乱暴な議論になってくるわけですよ。この山をどうやって乗り越えていくのかということについてのやっぱり将来見通しというものをしっかり立てておくということが実は非常に重要なんだということで、是非省内で検討してください。

  今の百八万人に対する死亡率、あるいはそのそれぞれの場所、ベッド数というものがこの山を迎える二〇三八年のときに、病院は何ベッドあるのか、もちろん全員が亡くなるための病院じゃありませんけれども、病院がどれだけのベッド数を持っていて、そして施設がどれだけのものを持っていて、そして自宅がおっしゃっているように四〇%が可能になるための在宅の診療所等々の体制がどこまで整えられるのかということについて是非御検討いただいて、私はそれが社会保障の将来の在り方像にかかわる非常に根本的な問題だと思うもんですから、是非御議論をいただいて、また国会などに御報告をいただきたいというふうに思います。

  それにかかわって、大臣に、難しい質問で恐縮ですけれども、終末期医療の在り方について国民的な合意形成を得てこの高齢者医療制度の診療報酬を決める云々とおっしゃっているんで、その合意形成を得るというのはどのようにしてその合意形成を得るというお考えになっておられるのでしょうか。

国務大臣(川崎二郎君) 今議論始めましたように、終末期医療につきまして、一つは、自宅で療養したいという回答が六割、現実の社会が八割を超える現状。また、医療費のお話もいただきましたけれども、医療費自体が、死亡直前に掛かる医療費が高額であると。そして今、御提起いただいたように、二〇三〇年代になりますと百五十万、百七十万人の方がお亡くなりになることになるだろうと。こうした状況を踏まえ、住み慣れた家庭や地域で生活しながら最期を迎えるなど、残された期間を患者がより充実して過ごすことができるように、また患者の意思が十分に尊重され、医療やケアに反映されるよう、後期高齢者にふさわしい診療報酬体系の構築について今検討させていただいております。

  後期高齢者医療制度における終末期医療の診療報酬上の評価を検討するに当たっては、終末期医療が人の生死に深くかかわる問題であり、国民の関心も高く、また様々な考え方があることから、開かれた透明性の高い国民的な議論を経ていかなければならないだろうと。そういう意味では、初めから政府がこういうものがいいというふうに想定をしてつくり上げていくことは無理だろうと思います。やはりいろんな意見を伺いながら、しかしながら、今、私申し上げましたように、病院で八〇%がお亡くなりになるというのは少しずつ誘導をしていかなければならないだろうと。それは本人の気持ちも、アンケートとして六〇%はなるべく自宅でということでありますから、そこをやはりどう形付けてくるのが、我々の一つの方向性、その中における終末期医療の在り方というのはどうあったらいいかというのをこれからしっかり議論しながらやっていかなければならないだろうと、このように思っております。

山本孝史君 ちょっと私の意味が伝わってないと思うんですが、厚労省の中で決めるわけにはいかないだろうと、こうおっしゃる、だからどういうふうにして決めていくのですかと私は聞いているのです。

  終末期医療の在り方というのは、臓器移植のその前段階であった脳死の問題について随分長い議論をしましたよね。脳死臨調をつくって議論をしてきた。そしてまた国会の中でも長いこと議論して国民合意を得てきたわけです。終末期医療の在り方の合意を得るというのは実はそれと同じぐらいに重い意味を持っているだろうと。

  だから、厚労省の中で決めるわけにはいかないとおっしゃった後、何か皆さんからお話を聞いて厚労省で決めますというようなことに最後なってしまうから、五年先の話じゃなくて、五年あったって私は国民合意ができるかどうか分からないと思っているもんですから、一体大臣の頭の中にはこの国民合意を得るためのシステムというかその仕組み、例えば検討会をつくるのか、あるいはもっと国民的な議論をできるような場を設けようと思っておられるのか、その辺のイメージはどうですかというのが私の質問です。もう一度お願いします。

国務大臣(川崎二郎君) いろいろな意見を聞きながら診療報酬体系は決めなければならないだろうと思います。それからもう一つは、先ほどの議論あったように、基本的には病院からできるだけ自宅の近くへという方向性は厚生労働省としては出していかなければならないだろうと。そういう意味では、ある意味では厚生労働省が方向付けはしているじゃないかということになるかもしれませんけれども、そこの過程の中で、さあいろいろな意見を聞きながら正に私どもが初めからこうありきという形で持っていくわけにはいかないだろうと、方向性だけは二つ申し上げました。

 
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