2006年11月2日 11月2日 参議院厚生労働委員会
 

 山本孝史君 原理原則なんて言い始めたら、今の履修問題の未履修のやつどうするなんて、原理原則どこにもありゃせぬがな。公平公正ということを考えたらあんなことはどこにも出てこない。しかし、それは正に政治的判断しているだけの話でしょう。だから、そういう立場をよく考えてやってくださいというだけです。

  もう結構です。どうぞ、若林大臣に御相談してください。お願いします。

  本論の臓器移植の話です。

  詳しくは足立先生に譲るとして、私、平成五年に初当選したとき以来、実は臓器移植法にかかわっておりまして、初当選したときに各党協議会がありまして、その座長が今三重県知事をやっておられる野呂さんでした。野呂私案というのが出てきて、その家族の意思をそんたくするかしないかというような話をやっていたわけですけれども、最終的には中山案が出たので対案ということで、金田誠一さんなんかと一緒に対案を出させていただきました。

  移植ネットワークの報告によると、法律施行から今年の六月までに意思表示カード等を所持していたケースが千百二十一件あるんですね。そのうち脳死下での臓器提供の意思を明確に表示していた事例が七百十三件あるんです。この七百十三件あるにもかかわらず、最終的に臓器提供に結び付いたのは四十七件になるんです。なぜこういうふうに少なくなっていってしまうのかということをよく検討しないと、実は法律改正とかなんとかという議論にならないだろう、そっちが先だろうというふうに今思います。思うということを言って、後は足立先生の質問に譲りますが。

  二点だけ。健康局長にお伺いしたいんですけれども、健康保険証に臓器提供の意思表示欄が設けられるようになりました。滋賀県ですとか横浜市が先行して既に国保でやっております。いろいろ見ておりますと、命のリレーだとか臓器提供は美しいとかという説明文は入っているんですが、あるいは入ってないところもあるんですね。それぞれ保険者によってばらばらの対応をしている。

  その中で、皆さんどこも対応してないのは、臓器提供は自発的意思によるものですよということと、その意思はいつでも撤回できるんだ、撤回するためにはどうしたらいいんだということは、私が見た限りどこにもその説明は書いてない。それなのに健康保険証だけ送ってくるんです、ドナーカード付きで。これは多分、後でいろんなトラブルがまた起きますので、ガイドラインとしてやっぱりそういう説明もちゃんとするんだということを決めていただきたいというふうに思います。御答弁をいただきます。


政府参考人(外口崇君) 臓器移植法では、臓器の提供に関する本人の意思は尊重されなければならないこと、臓器提供は任意にされたものでなければならないことが基本理念とされております。したがいまして、被保険者証の意思表示欄に記載した場合でも、臓器提供意思表示カードや臓器提供意思表示シールを記載した場合でも、いつでも提供の意思を撤回できるということは、これは当然のことであります。この点につきましては、この考え方が伝わるように周知を図ってまいりたいと思います。

  なお、政府管掌健康保険の被保険者証につきましては、臓器提供の意思表示の変更の申出が被保険者からなされた場合には、被保険者証の再交付が行われることになります。

山本孝史君 そこにバッテンしてあれば、それで意思表示は消えたというふうにはならないんですか。再交付しなきゃいけないんですか。

政府参考人(外口崇君) そこのところは、いったん書いたカードにその上から書き込むことでかえって混乱を起こすことがないかどうかも含めて、具体的なことはちょっと少し検討させてください。

山本孝史君 今までの記載例の問題とかいろいろあるんで、意思はいつだって変わるんですよ。親が書くかもしれないわけで、そこはちゃんとしたものにしてほしいというふうに思います。検討してください。

  それから、宇和島での臓器売買事件の問題ですけれども、臓器移植法を作るときに臓器売買は禁止だということは明確にしました。あのときに生体間での移植を法律に書き込もうかどうかということを言ったんですけれども、なかなか書き込みにくいねというので、まあ中山案との対案ということもあったんで、書き込みを私たちは見送ったんですね。

  しかし、その後、社会的にも生体間移植についての議論がほとんどなされないままに、全く登録もないままにやられているわけです。生体間での移植をした後に、ドナーとレシピエントの間の人間関係が崩れて非常にまずい関係になっているというケースが少なくないということを聞いておりますので、したがって、事前の相談といいましょうか、カウンセリングが非常に大切なんですね。

  宇和島の徳洲会病院がなぜあんなに有名になったのかというと、すぐにやってくれるからなんですよ。何でもあのお医者さん一人に任されていて、あの人が全部決めて、だれかそれは検証をする人もいなければ、病院内に倫理委員会もないわけですね。だれにやったかという登録も結局上がってこないわけです。

  これ非常に生体間移植の場合問題なんで、今回の臓器売買という問題もありますけれども、生体間移植の問題も今、脳死下の臓器移植はネットワークでつかんでいますし、骨髄移植は骨髄バンクで全部つかんでいますので、同様にこの生体間における臓器の移植についても、登録制にするのか届出制にするのか、あるいはそれに伴って法律が必要であれば改正するのか、何らかの対応をやっぱりすべきだと私は思っておりまして、その点について御答弁をお願いをします。

政府参考人(外口崇君) 今回の事例では、提供意思について第三者による確認がなされず、倫理委員会も開催されていないことや、臓器提供者及び移植患者に対する医師からの説明が文書でなく口頭で行われたこと、あるいは親族関係が資料で確認されなかったこと等、いろいろ問題があるものと思います。

  厚生労働省では、今回の事件を受けて、愛媛県とともに実態把握に努めるとともに、十月三日付けの通知で、都道府県に対しての臓器売買が疑われる情報があれば調査、指導を行うよう要請するということと、それから医療機関に対し、生体臓器移植において、日本移植学会の倫理指針も参考にして慎重に説明及び意思確認を行うよう周知、指導を行っておりますが、引き続いて、十月十二日に開催された厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会におきまして今回の事件への対応について御議論いただき、再発防止の観点から、臓器移植法の運用に関する指針の改正に向けて委員会と日本移植学会が連携して検討を進めることとしております。

  今回の事件は、何よりも、臓器提供者と移植患者及びその仲介者との間で財産上の利益の供与を伴って臓器が提供されたということでもありますし、また臓器移植の任意性の確保を図ることと有償提供の排除に努めるということの必要性が改めて再点検が指摘されたことではないかと思います。
 
  こうした観点から、次の指針には第三者による意思確認の手続や移植術に関する文書による説明手続等を盛り込むことを検討して、今準備を進めているところでございます。