統一自治体選挙の民意と後半国会の焦点

2003年編集サービス 5.20号(618号)機関誌編集者クラブ発行

統一自治体選挙の結果を受けて

民主党 参議院議員 山本孝史

春の統一地方自治体選挙におきましては、民主党に力強いご支援をいただきありがとうございました。
「国政レベルの政策課題でも、その解決の糸口は地方自治にある。また、国政を変えるには、地方政治を変えなければならない!」
そのような熱い思いを胸に、民主党の候補者たちは「さぁ、国民による改革。まず地域から。あなたの手から」をスローガンに、「小泉内閣では不安が深まるばかりだ。今こそ、情報公開と市民参加に基づいた真の地方自治を確立し、くらしの安心を確かなものにしなければならない」と力強く訴えました。
働く仲間の連合など、多くの支持者と一体となった選挙戦を展開した結果、大きな前進を遂げることができました。

統一地方自治体選挙の特徴と民主党の課題

今回の選挙戦を振り返ると、地方の中心課題が公共事業から福祉や教育などに移るなか、かつてのように「国とのパイプ」を強調するような候補者ではなく、地域の政策課題を地道に訴える候補者や公約に数値目標を示すマニフェストを掲げる候補者の当選が増えたことが特徴といえます。
また、政党として選択肢を示せず、「無党派」「脱政党」化が進み、投票率がさらに低くなったと指摘されていることは、大いに反省しなければなりません。

そのような有権者の政治動向に、民主党がしっかりと応えられたかといえば、いくつかの課題が残りました。 ①自治体議員を中心に策定された地方政策と国政での政策の十分なすり合わせ、②女性候補の積極的な擁立、③新たな支持層の開拓などです。
今後とも、地道に地方組織を強化し、支持者のご期待に応えられる政党をめざして努力いたします。

後半国会の焦点

5月連休明けからの後半国会では、有事立法をはじめ労働者派遣法や職業安定法、労働基準法などの労働法制の見直し、人権関連法案などが焦点となります。

まず、有事法制については、与党との修正協議で、緊急事態に対処するための基本法の制定、基本的な人権の保障規定を盛り込むこと、危機管理庁の創設などを要求し、それらが認められない限り、緊急事態法には賛成できないと主張しました。最終的に与党が民主党の主張を取り入れる形で決着しました。

今国会は「雇用国会」とも言われ、現在、衆参両院で、労働・雇用問題に関する重要法案が審議されています。
リストラの一方で長時間労働が深刻化する職場環境を転換させ、安心して働ける職場を確保すること、高い失業率や高校新卒者の就職難への的確な対応も求められています。
しかしながら小泉内閣は、労働基準法を改正して解雇を容易にする一方で、雇用保険の給付を大幅に削減する雇用保険法を提出するなど、雇用を守る姿勢に極めて乏しいと言わざるをえません。
また、正社員の派遣やパート労働者に置き換える動きは、職場をますます不安定なものにしていますが、労働者派遣法・職安法の改正においても、小泉内閣は企業寄りの姿勢に終始していると言わざるをえません。
民主党は、「働くことは、生活や人生などの根底に関わることである」との認識に立って、これらの労働・雇用関連法案の審議に臨み、安心して働くことのできる労働環境の整備に全力で取り組んでまいります。

このほか、個人情報保護法案や心神喪失者医療観察法案などの審議にあわせて、刑務所内での暴行事件や難民保護法制など、人権にかかわる法案や事案が審議されています。
また、 人権擁護法案や教育基本法「改正」、公益法人改革とNPO支援策などは、21世紀の日本社会を築くうえで極めて重要な法案・課題です。これらにも民主党は全党挙げて、積極的にかかわってまいります。

真の政治家を選ぶ

そして忘れてならないのは、政治とカネの問題です。先の衆参補欠選挙が行われることになった理由も政治家の不祥事でしたが、その後も、自民党や保守新党の代議士が議員辞職を求められています。
このたびの統一地方自治体選挙での低投票率に現れた有権者の「政治離れ」の原因のひとつに、政治とカネの問題に現れた政治家の低いモラルがあることは疑う余地のないところです。

極めて厳しい財政状況の中、少子高齢化の進展を受けて社会保障経費は今後とも大幅な増額が求められます。医療や年金制度、税制度の抜本改革も、政治日程にあがっています。
そのような情勢下で、政治への信頼が薄らいでいることは、必要な改革もできない状況を生み出します。政治家が大いに反省をするとともに、有権者も慣習やしがらみにとらわれず、真に地域社会、日本社会のために汗を流してくれる政治家を投票で選ぶことが大切です。

民主主義の学校と言われる地方政治、その根幹をなす地方自治体選挙を通して多くの課題と向き合わなければならないことを痛感しました。さらに力を込めて、それらの課題に取り組んでまいります。

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