「チャイルド・ケモ・ハウス」見学記

「山本孝史のいのちのバトン」 代表 山本ゆき

 「思いは叶うもの」と感じた日。4月23日、私たち「めざす会」の一員の「チャイルド・ケモ・ハウス 」が、とうとう悲願を実現させました。家族と一緒に滞在しながら、小児がんの子どもが治療を受けられるという国内初の専門施設「チャイルド・ケモ・ハウス」が神戸・ポートアイランドに完成したのです。私は、この日、特別内覧会で、院長に就任される楠木重範小児科医の案内で、施設を見学させてもらいました。内装工事の完成にはまだ時間を要し、本年度中のオープンをめさしています。

 滞在施設は「家のような環境」がコンセプトで、19の個室には、二つのベッドにソファ、台所と風呂もついています。おじいちゃん、おばあちゃんも来て宿泊できるもう1部屋を備えた広い個室もありまました。子供たちの命が皆助かるわけではありません。最期の日々を家族と過ごせるようにとの思いが込められているようでした。

 各部屋には外に通じるドアがあり、それは玄関の役目を果たし、表札も掛けることができます。窓も大きく、ガラス越しに陽は燦々と入ってきます。ベッドに寝ていても退屈しないようにと、天窓も設けられ、空を見ながら療養できます。建物の周りには、四季折々の花がいつも咲いているようにと、植木にも工夫が凝らされていました。

 感染症が気になりますので、硝子戸の多い施設です。治療中の子供が、兄弟と離されても、ガラス越しに顔を合わせることができます。最新の空調システムで常に空気は新鮮に保たれています。教室、遊び場、家族風呂、レストランもありました。
  滞在施設と診療施設は大きなガラス戸で仕切られていました。診察室は6部屋。常駐の医師は楠木先生お一人なのに、なぜ、6部屋も? 患者がノックして診察室に入るのではなく、医師が患児が待つ診察室を渡り歩くのだといいます。なるほど、と思いました。子供たちはベッドに横になってドクターを待つのです。身体への負担を考えてのことです。
  日本財団や日本歯科医師会、そして、多くの一般の方々の支援に支えられての夢の実現です。しかしながら、これからの運営が大変です。このような施設は日本の医療保険制度の中には位置付けられておらず、民間の篤志に頼るしかありません。楠木先生は、「チャイルド・ケモ・ハウス」の社会的意義を広く知ってもらい、応援してくれる人を増やす努力を続ける」と話しておられました。

  チャイケモ・夢の施設は、神戸新交通ポートアイランド線「三宮駅」(JR三ノ宮駅から歩いて2分)から乗車し「医療センター駅」で下車、徒歩10分のところにあります。皆さんも、ぜひ応援してください。