ピアサポート・トーク「がん患者へのサポートいろいろ」
「緩和ケアを考える会・かわち」主催 2014年6月14日
「緩和ケアを考える会・かわち」(栄田美枝子代表)主催のピアサポート・トークに参加させていただきました。
お話は、大阪市大付属病院院内患者会「ぎんなん」代表の辻恵美子さん。乳がん体験者である辻さんの話は圧巻でした。患者だからこそ、また、国際的にもがん患者会の勉強を積まれている辻さんならではの、胸に響くことばが一杯あり、患者会の原点はここにあり、と思わせる内容でした。
患者会「ぎんなん」立ち上げへの熱い思い
- きっかけは、ステージ4の乳がん患者となり、がん患者として「新しい命をもらった」と意識したこと。
- 患者会の立ち上げは誰でもできるが、ただし、損得抜きの情熱が必要。
- 責任をともなう。
- 最後まで貫く覚悟が必要。(がん=死 ではなくても、がんは辛い病)
- チームワーク(熱い思いの仲間が必要)。ぎんなんの実行委員は10名。
- 共助は自助につながる。
院内患者会
- 院内患者会も決して楽ではない。(発足当時は、病院関係者にあまり理解していただけなかった。)
- 特に大学病院は縦割り。がんの転移の場合は、科を跨ぐので連携が必要。
- 患者会は必要。しかし、「邪魔な存在」と病院側から見られることもある。
「患者に何ができるか!」という意識も病院側にあるのかもしれない。 - 病院のためではなく、同じ病に苦しむ仲間たちのためにやるという信念が必要。
- 人間としてのプライドをもつ。(がんはその患者の一部であり全部ではない)
- 院内患者会は、病院側の理解を得られると、スペースの提供、講演会への講師の派遣などの協力を得られやすい。費用負担が少なくてすむ。
- 2006年にがん対策基本法ができてから、病院側の患者会に対する理解が深まった。
院内患者会のメリット
- 院内患者会は集金団体ではない。(患者を食い物にする魔の手から逃れられる。)
- 人のために役に立てるという機会が広がる。(会員の中には、病院のボランティアに登録して活動を広げている人もいる。)
- 必要なときに仲間と会える。
- がんと告知されたときからの緩和につながりやすい。(早い時期に「ぎんなん」に来られた方は、立ち直りが早い。長い時間、不安・悩みを抱え込むと精神的に参ってしまう。精神の復興には時間がかかる。例えば、女性の場合、乳がんや子宮がんを患うと、女性でなくなったと思いこんでしまう。「ぎんなん」には決してそうではないと話してくれる仲間がたくさんいる。)
院内患者会の在り方
- 患者主導であるべき。ただし、病院に迷惑をかけない配慮も必要。病院はみんなのもの。患者会だけのものではない。
- スタイルは自由。
- 相談支援センターは良き友。(厚労省の通達もある)
- ドクターを大切に。ドクターは命の恩人。コミュニケーションをとること。不満があったら患者会や相談支援センターで話す。一緒に解決の道を探すことができる。
- 医療者、相談支援センターとのチームワークが必要。時には飲食会も開催するといい。( 院内の医療者を講師に勉強会を開くと、医療者の方から「患者さんの気持ちがよくわかるようになった」と感謝される。)
- 院外の患者さんも受け入れる。多くの人を巻き込み広がりを創る。決して患者を囲い込まないこと。
- 情報を提供する。
- 新しい患者さんを大切にする。
- 笑いを作り出していく。
- ピアサポートのマニュアルはない。患者全員がピア。あれを言ってはいけない、これを言ってはいけないというルールはない。患者を真綿で包む必要はない。例え、傷ついても立ち上がる力をもっている。その力こそ、患者に必要なもの。