公開シンポジウム「もっと知ってほしい!患者会のこと、ピアサポートのこと」
主催: 大阪がん患者団体協議会
共催: 近畿(阪大)がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン
後援: 大阪府 大阪府立成人病センター
報告: 山本ゆき
大阪がん患者団体協議会(府下21患者会・患者支援団体加入)主催の公開シンポジウム「もっと知ってほしい! 患者会のこと、ピアサポートのこと。」が9月21日、府立成人病センターの講堂で開催されました。
第1部: 兵庫医科大・大松重宏氏基調講演「がん患者会の意義と課題」
「ピアサポートとは、お互いに支え合うこと」であり、患者は皆、対等な関係にあることを強調されました。またピアサポートを受けているうちに、自分自身ががん患者会を意味ある場として認識するようになり、ピアサポーターへ変化するものであると述べられました。そして「ピアサポートは活動の中で生まれて来るものであり、決して技術や知識ではない。まずそうした活動の場を作ることが大切」と結ばれました。
第2部: 患者会事例発表
患者会事例発表のトップバッターはぎんなんの辻恵美子代表。ステージⅣという自分の乳がんの体験から、「自分は一人ではない。社会のためになることをしよう」と決意し、当初は乳がん患者会から始めたが、待合室の男性患者さんが暗い顔をしていることに気付いて、全がん種を対象とする会「ぎんなん」へと移行した話をされました。
また「患者に寄り添う」という方針と「現場を離れて患者会はない」という信念の下に、「仲間を裏切らない」「仲間はずれを作らない」「初心を忘れない」「沢山の人を巻き込む」「がんと共に生きる」など会のルールを具体的に説明されました。
乳がん患者会「のぞみの会」の渡邉美紀代表は、会員が相談支援センターに「ピアサポートのことを勉強したいので、講演をしてほしい」と頼みに行ったら、「あなたたちがやっていることがピアサポートですよ」と言われたというエピソードを披露されました。
最後は「口腔・咽頭がん患者会」の三木祥男代表。頭頸部がんは、いつまでも続く障害でQOLの低下が著しい希少がんであることを指摘、患者会については、挫折と復活の歴史で、2年半前にホームページを開設したら、反響が大きく、患者は必死に情報を探していることを確信したと述べられました。ピアサポートとは、スキルを学ぶピアサポーターの養成ではないこと、がん患者自身がピアサポーターであることなどを指摘されました。
第3部: パネルディスカッション
松浦成昭・成人病センター総長から、「大松先生のお話から、いろいろな課題があることも教えていただいた。自分たち医療側の視点からの情報提供が多いと痛感した。やはり患者会の皆様を大事にしたい」というお話があり、大阪府のがん対策グループのトップ・撫井賀代課長からは「目からウロコだった。コミュニケーション不足を感じる。今後、がん患者当事者と医療者と行政とで役割分担をし、隙間のないように取り組んで行きたい」とのお話がありました。
私は、第3部でコーディネーターを務めさせていただきましたが、 今回のイベントを通して、患者・行政・医療者の連携を深めていく必要性をそれぞれの立場から確認できたと思います。国と府の60拠点病院のうち、相談支援センターが患者会などと連携ができていない病院も多く、今後、すべての拠点病院に患者会・サロンの設置を進めていかねばならないと思いました。(山本ゆき)