朗読劇『兄のランドセル いのちの政治家 山本孝史物語』第2回 秋田公演
2012年4月21日(土) 秋田市文化会館大ホール
原作・脚本:「兄のランドセル」(山本ゆき著 朝日新聞出版)
演出:田中光敏
舞台監督:佐藤泰王
出演:田中健 小坂和子 伍芳 田口尚樹 保泉久人 佐藤晴花 佐藤正和 近藤美奈子
特別出演:佐藤久男(NPO法人「蜘蛛の糸」理事長) 清水康之(NPO法人「ライフリンク」代表)
古箏:伍芳(ウーファン)
ケーナ:田中健
制作協力:(株)秋田ステージ (株)ウィズ (株)アド電通大阪
主催:朗読劇「兄のランドセル」実行委員会
協力:秋田県/秋田ふきのとう県民運動実行委員会/秋田魁新報社/ライフリンク/蜘蛛の糸/秋田こころのネットワーク/秋田放送/秋田テレビ/秋田朝日放送/秋田市をはじめ各市の商工会議所/秋田経済同友会/社会貢献企業100社からなる「ワン・ハンドレッド・クラブ」/佐藤養助商店/湯沢市
御礼
2012年4月21日、秋田市文化会館にて、朗読劇「兄のランドセル」公演を行いました。大阪公演からわずか4ヶ月間の準備期間。何度も大阪ー秋田を往復し、現地の皆様の多大なご協力をいただきながら、何とか無事に公演を終えることができました。
田中健さん以外の出演者はすべて秋田の朗読愛好家の皆さんにお願いしました。交通遺児の作文を読んでくれた佐藤晴花ちゃん(8歳)は、開催2週間ほど前に出演が決まるなど、時間に追われた日々でしたが、約1000名の方がご来場くださり、大盛会となりました。会場の皆さんと一緒に私も、舞台の袖で、山本孝史の精一杯生きた58年の人生に涙を流しました。
秋田県は自殺もがんも日本でワースト。しかし、自殺者の絶対数は民間の皆さんの頑張りで減少しております。また、企業も動き出しました。「経済同友会が今後、秋田の自殺とがんによる死亡者を少なくするために、『兄のランドセル』公演を契機に、今後、まとまって貢献していきたい」とおっしゃっていただいたことに大変嬉しく思いました。
秋田の皆様の温かい応援に励まされ続けた4ヶ月間を振り返り、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。(山本孝史のいのちのバトン代表 山本ゆき)
会場に響き渡る孝史の声
(ゆき)今も孝史の声が聞こえてくるようです。イチ、ニ、イチ、二・・・。
(孝史・声)イチ、ニ、イチ、二・・・。
朝、目覚めると「きょうも一日分の命をいただいた」と思うようになりました。
がんも末期になると、思うように身体が動きません。目覚めてもすぐには起き上がれないのです。
目を開けたり、眠りに戻ったり、しばらく行きつ戻りつしながら、頭と身体を眠りの世界から現実に呼び戻すのです。
妻が作ってくれる人参とリンゴのジュースを飲んで、痛み止めを飲むと身体が動き始めます。そして、「きょうはこの仕事をしよう、と目標を立てると、不思議と気力もわいてくるのです。
「一日一生、一日一善、一日一仕事」。そう自分に言い聞かせて、新しい一日、一日を重ねています。長く生きたいとも思うけれど、「どのように生きるか」を考えるようになりました。
「いのちを見つめ、いのちを大切にする」―これが僕の生き方です。治らないがんになったのも、僕に使命、天命が与えられてのことだと思っています。
「自殺」と「がん」の2つのいのちの法案を成立させました。これからは自分自身の「いのち」を見つめ、最後まで自分の人生を生き抜きたいと思っています。
イチ、ニ、イチ、二・・・・・・・。
トーク「これからの自殺対策」
「自殺対策基本法」が成立したとき、山本孝史は、清水康之さんと佐藤久男さんにバトンタッチができると肩の荷を下ろしていたことなど、秘話を交え、しばし、山本の人柄についてのトーク。清水さんは、「基本法の制定過程で、山本さんが「尾辻ー武見ライン」が動き出したから、自分は身を引こうと思う」と電話してきた話を披露。山本が所属する民主党は当時は野党。尾辻秀久先生と武見敬三先生は与党・自民党の重鎮。常にゴールを見据え、最短距離での目標達成に向かう山本孝史の姿が見えた。
佐藤久男理事長は、中小企業の一人ひとりの経営者の相談にのり、10年間で2000人以上の相談にのったという。この地道な活動をもとに、秋田県の自殺対策は全国のモデルとなっている。
基本法は成立から丸6年になろうとしている。不備なところは改善していきながら、自殺防止のために、民間団体や行政、専門家たちが横の連携をとりながら対策を進めていく重要性が話し合われた。
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