NHK「参院代表討論・各党代表に問う」に出演

NHK「参院代表討論・各党代表に問う」に出演しました。出席者は、与党側が青木・自民参院幹事長、木庭・公明参院幹事長、野党側は、山本・民主参院幹事長、小池・共産党政策委員長、又市・社民参院幹事長。司会は影山日出夫アナウンサー。山本の発言の要旨をテーマごとにお知らせします。

参院選をどう戦うか

岡田代表が言っているように、「ストップ・ザ・小泉政治」 を掲げて戦う。小泉総理は、年金法案では、給付を削減する法案の要である「マクロ経済スライド」を理解しておらず、未納・未加入問題でも「人生いろいろ」といい加減な答弁に終始。イラク問題では、国内の審議抜きで独断で自衛隊が多国籍軍の指揮下に入ることを口約束し、強引に事を運んでいる。国会軽視もはなはだしく、国民の納得と理解を得る努力をしようとしない。正直さとか誠実さといったモラルをぶち壊し、年金制度も民主主義もぶち壊している。小泉総理の暴走に歯止めをかける重要な選挙と位置づけている。

年金問題

年金法案は、なぜ通さなければならなかったのか

与党が強引に年金法案を採決したのは、この5年間、与党が何もしてこなかったつけが回ってきたためである。基礎年金の国庫負担率を二分の一にする合意が自民党と公明党でなされたいたにもかかわらず実行しなかったし、どういう制度にするのか、基礎年金の水準をどうするのかも議論するはずだったのに何もしてこなかった。
国民は負担をしなければならないことは理解している。その上で国民は「どういう年金制度が安心なのか」の説明を聞きたかったはずだ。「100年安心プラン」「抜本改革」と言いながら、総理は一元化を口にする。現役世代の5割を保障するという話も誇大広告だ。説明が足りないのに、数の力で強行採決をする。これでは国民は納得しない。

年金制度とは

年金制度は、国民の信頼の上に成り立つもの。信頼があってこそ、国民は初めて掛け金を払う気持ちになる。みんなで「これから日本社会がどうなっていくのか」の認識を共有しなければならないのに、出生率の1.29の数字を法案可決後に出してくる。社会保障審議会の年金数理部会の開催も突然にキャンセルされる。平成14年度の国民・厚生年金の財政状況を報告するはずだった。今、表に出しては都合の悪い数字があるのではないかと勘ぐってしまう。数字は、オープンにしてみんなでどうするかを考えるべきだ。最低保障年金部分の基礎年金は守らねばならないから、その財源をどうするか議論をしたかったのだが、未納問題や与党側の「修正まかりならぬ」の姿勢で議論ができなかった。

今後の協議は 三党合意に応じるのか

話し合うことは政治の責任であり話し合いはする。その前に、与党は、どういう方向で話をするのか外枠を示すべきだ。小泉総理は、「一元化でもどういう一元化にするのか」まで話し合えという。民主党案ははっきりしている。与党が今回の改正案でいいというなら話し合いにならない。与党の法案には、「国民年金をいかに安定させるか」の視点がない。厚生年金を重視した法案だ。国民年金の財源の負担を公平にすることが大事なことであり、その意味合いに立った一元化が必要だ。私は、個人的に超党派の年金の勉強会を作り議論したが、出てきた意見が、個人の意見なのか党の意見なのかわからず、議論が深まらなかった。やはり、外枠を決めテーマを決め話し合うべきだ。

消費税の問題

消費税増税の問題は、国・地方で1000兆円の借金 を抱えている現在、社会保障財源をどう確保していくかを考えるとき避けては通れない。

多国籍軍参加問題


自衛隊が多国籍軍に参加すると、「人道復興支援」 という名の下に、実際は、武装した兵士を運ぶことにもなる。国連決議1546には、「多国籍軍は、イラクの治安維持のためにあらゆる手段を行使する権限を有する」とある。アメリカ軍のテロ掃討に自衛隊も参加することになる。ファールジャの攻撃、結婚式に集まった人たちへのミサイル攻撃、刑務所内での虐待などで、イラク国民の占領軍に対する反感は強い。自衛隊が、多国籍軍の指揮下に入ると、同じ事をやっているのではないかと見られ、非常に危ない立場に立たされる。菅前代表の多国籍軍参加発言は、イラクでの治安が回復し、非戦闘地域が確立し、暫定政府ではなく国民から選ばれた正式なイラク政府ができたらの前提条件で言ったものだ。

イラクの国づくりにおける日本の役割

NATOがイラク内の治安部隊の訓練に当たることになった。日本も、イラク暫定政府から、国民の手で選ばれる正式な政府に移行する過程で協力していかねばならない。日本には、警察というよく機能している組織がある。そのノウハウを教えて治安の回復に協力するのも一つの方法だ。

小泉総理の手法

総理は、「いいことをやっている。なぜ、文句を言うのか」と言って、国会の議論をとばす。このやり方は危険だ。国会での答弁も拒否した。衆議院で1回報告がなされたが、総理は出てきていない。参議院では、一回も多国籍軍について話し合いはもたれていない。総理は、民主主義をおろそかにしている。「一度、出した自衛隊だから」と、後に引けずにいる。憲法の根幹に関わる問題でもあり、きちっと話し合うべきだ。歴史の教訓を踏まえて、「いつかきた道」を二度と繰り返してはならない。
 

参議院のあり方

決算や行政監視といったチェック機能に加え、6年の任期があるのだから、クローン技術による再生医療などの生命倫理について、あるいは、アジアの中の日本はどうあるべきかとか、社会保障の問題など、通年国会のつもりで参議院では話し合いができる。

定数是正問題には、選挙後すぐにとりかかり、次の選挙から新制度にしたい。