ホームレス歌人ツネコさん写真展

山本ゆき記

中央区谷町の居酒屋「秋月」で、ホームレス歌人ツネコさんの写真展が開かれ、車イスでツネコさんも会場に姿を見せた。
76歳。梅田阪急ガード下にて自作の短歌を売って、8年前にマスコミで脚光を浴びた。昨年5月に大腸がんの手術をし、「生きたい」との思いで病いを克服。梅田の路上で詩を売る生活に戻った。11月には大腿部を骨折して入院。12月にツネコさんの半生を綴った「生きる」が発行された。今は、生活保護を受け、福祉アパートに住み、ホームレスから脱っしている。が、梅田のガード下で仲間やいろんな人と会う生活の方が楽しいと言う。

「20代の頃、彼女が働くことを内縁の夫が許してくれていたら」 あるいは、「二度目の結婚で夫との間に子供ができていたら」、彼女が、結婚生活をギャンブルで壊すようなことはなかったであろうに。しかし、ツネコさんの人生に「もし」はなかった。

彼女はすこぶる明るい。短歌や絵画を売って少しお金が入るとホームレス仲間に大判振る舞い。仲間の喜ぶ顔を見ることがツネコさんの生きる源。そして、彼女の屈託のない笑顔が不安を抱えている多くの人に癒しを与えてくれる。(写真展は3月10日から4月11日まで。06-6944-3889)

「呑舟(どんしゅう)の魚」 の意味は?と問う私に「舟を飲み込むような立派な魚」と教えてくれたツネコさん。黄色の帽子はトレードマーク。
「呑舟(どんしゅう)の魚」 の意味は?と問う私に「舟を飲み込むような立派な魚」と教えてくれたツネコさん。黄色の帽子はトレードマーク。

ツネコ歌集「ちがう明日にあいたくて!」より

呑舟の魚 支流は泳がず なんて嘘
ホームレスの中に 元社長が居る
TSUNEKO

服はPARIS BAGはCHANEL 靴はITALY 時計はスイス
中身はJAPAN 頭は空ッぽ
TSUNEKO