vol.10 2003年5月〜6月

5月4日(日)号

 5月のGW。18人の閣僚のうち12名が外国を訪問するとか。大臣も激務ですから、息抜きも必要ですよね。「何を言っている、仕事だ、仕事!」と怒られそうですが、連休明けからの激戦に備えて、鋭気を養ってください。
 私はといえば、連休明けからの委員会審議に備えて、資料の整理に追われました。こうしたまとまったお休みがあると、仕事が追いつけるので助かります。明日5日の午後には東京に戻ります。

国会アクションレポート

4月28日(月)

 11時、連合大阪から労基法と派遣法の改正について、働く者の立場が不利になるような法案改正には反対して欲しいとの要請。企業が、従業員を切り捨てても生き残ろうとするのは、企業行動として当然かも知れませんが、従業員あっての企業ではないでしょうか。「そんな甘いこと言うてられへん」と反論されそうですが、でも、企業の社会的責任があるのではないでしょうか。

4月29日(火)

 10時、大阪市交通局退職者会の第43回定期大会に参加。新装なった中央公会堂が会場です。中之島の赤レンガは、やっぱし大阪のシンボルです。

4月30日(水)

 自宅で連休明けの委員会審議に備えて勉強。東京事務所から、9日の年金PTの持ち方や、難病対策作業部会の打ち合わせ、「ハートピアきつれ川」への視察の件など、次々とファックスが送られてきます。
 19時、メーデーに出席するため来阪された羽田孜最高顧問を囲んで、民主党大阪議員団の懇親会。統一地方自治体選挙が終わると、焦点は各議会での会派構成ですが、なかなか思うように運ばないようです。この辺りも選挙での公認・推薦と同様に、課題として残りました。 

5月1日(木)

 10時、大阪城公園での第74回大阪地方メーデーに参加。前田修・連合大阪会長は、高い失業率が続くが、企業にも地域の社会的責任を求めたいと力強く挨拶。次いで来賓として出席した太田房江大阪府知事が、雇用・失業問題にすべての問題が集約されるとして、さらに力を入れて対策に取り組むと挨拶しました。
 また、民主党を代表して羽田孜特別顧問が挨拶。失業率が高ければ政権交代が世界の流れだ。日本でも、政権交代を求めて頑張ろうと連帯を呼びかけました。会場では「労働基準法、労働者派遣法の改悪に反対する特別決議」も採択されました。今年のメーデーは、例年より参加者が多かったと感じます。働くことは暮らしの基礎です。企業にも協力を求めつつ、雇用状況の改善策を実施させたいと考えます。

5月2日(金)

 終日、書類整理で過ぎました。

5月3日(土)

 11時30分から、難波高島屋前で、あしなが学生募金に参加。毎回参加してくださっている西川きよしさんが、今回も応援に駆けつけてくださいました。毎年春秋の2回実施して、今年で66回目。私は、第1回募金に参加したことで、その後の人生が決まりました。不景気の影響か、募金に応じてくださる人がいつもより少ないようです。若い人の協力が目立ちます。34年間も募金を続けていると、かつて学生として募金を呼びかけてくださった方も大勢になりました。歴史の重みを感じます。

5月4日(日)

終日、書類整理で過ぎました。

5月11日(日)号

 和光デンキ倒産から2週間。自宅近くの本店は、連日閉店セール。時々買い物をしましたが、今年に入って売場の模様替えが続いていたのは、展示商品の減少を補う措置だったようです。価格ドットコムなど、商品価格や機能などを購入者が書き込むサイトが増えて、消費者の店舗選択(あるいは通信販売での購入)が厳しくなったことの影響は無視できないと思います。ビックカメラやヨドバシカメラなど、大型店舗もできて競争が激化。大阪の代名詞でもある「電器の街・日本橋」も、ちょっと元気がないようで、気掛かりです。

国会アクションレポート

5月5日(月)

 13時30分、フランスの大学で政治学を勉強している岸川泰さんの取材を受けました。「日本に民主主義は根付くかを研究テーマにしているが、統一選挙や最近の国政の動きを通じて、どのように考えるか」という問いかけです。住民が自ら選択する動きは拡がってきているが、政党名より地域代表を選ぶ視点で投票する有権者の行動に対して、政党は十分に機能を発揮していない。日本に民主主義が根付くには、まだまだ時間がかかることでは意見が一致しました。取材が終わって、16時の飛行機で上京。

5月6日(火)

 11時、内閣府子ども部会会議。出会い系サイト規制問題を議論。児童誘引行為を行ったサイト運営事業者が処罰される法案ですが、その事実把握には、通信内容のチェックが必要で、「通信の自由を侵す」と総務省は法案に消極的。また、異性を誘った児童も罰則の対象となる点を巡っての議論も続いています。

 13時、法務委員会で、心身喪失者処遇法案への民主党対案の趣旨説明が聴取されることなり、提案者の一人として出席。
 18時、連合と労働基準法改正法案の審議状況をめぐって、意見交換。

5月7日(水)

 12時30分、参院厚労委理事会。審議日程を協議。5月1日から健康増進法が施行され、公共施設での禁煙・分煙が進んでいるので、厚労委員会も委員会室内での喫煙を禁止することを提案しました。しかし、ある党の理事(喫煙家)が反対を表明。理由は、「室外に出て喫煙となると、その間の委員会質疑が聞けなくなる」というもの。でも、委員会審議中に、トイレとかで一回も席を立たない人はいないので、ちょっと屁理屈に聞
こえます。「健康増進法を可決したのは厚労委です。その委員会室を、法にしたがって分
煙とするのは当然。むしろ、率先して行うべきです」と私。「それなら、委員会室の裏にある小部屋を使えば?」と自民党理事。いつも厚労委が使用する43委員会室の隣には、各会派に割り当てられている部屋(ここは自民党用)があるのです。もっとも、その部屋の中では質疑は聞こえません。そのうえ、長い間使用していないため、掃除が必要と国会職員。結局、この名案も採択されず、隣室の窓を開き、そこで喫煙する。そして、委員会室との扉も開いたままにするということになりそうです。

 13時、決算委員会。外務省、防衛庁などの平成13年度決算を審査対象に質疑。その後、防衛庁への水増し請求事件が新聞報道されました。

5月8日(木)

 8時、医療問題PT。医療提供体制について厚労省案を聴取。

 9時、古川元久代議士と年金・税調PTの運営方法を巡って意見交換。自民党内での年金議論がスローペースで、このままでは時間切れとなって、結局、現行制度を前提に、保険料のアップと年金額の抑制策を打ち出すことで終わるのではとの予測で一致しました(それでは困るのだけど)。

 10時、厚労委。公益法人改革関連厚労省関係法案の整備促進法の趣旨説明。

 11時16分の新幹線で栃木県宇都宮へ。補助金流用問題が明るみにでた全家連(全国精神障害者家族会連合会)の授産・保養施設「ハートピアきつれがわ」を視察。13日の参院厚労委で事件の裏側と、今後の対応問題を取り上げる予定です。

 16時9分の新幹線で帰京。17時から開会されていた、母子家庭の母の就労を支援する超党派勉強会に出席。世話人の円より子議員によれば、自民党も関係法案の議員立法に賛成とか。ぜひ、実現させたいものです。

5月9日(金)

 8時、税調・年金PT。第三号被保険者(サラリーマンの妻)問題、年金分割、パートなどの短時間労働者への社会保険の適用拡大問題などを議論。適用拡大は望ましいが、現在の国民年金保険料(月13300円)より低い保険料で、基礎年金を満額受給する人が増えることもあることが指摘されましたが、将来の日本社会での労働の姿(正社員の減少、パート労働者の増加など)が描ききれていないことが、今後の年金制度を設計する際の致命的欠陥のひとつであることが、今回も明らかになりました。

 10時、参議院本会議。個人情報保護法案の趣旨説明と質疑。

 12日(月)の決算委での質問=45分、13日(火)の厚労委での質問=2時間30分の「質問通告」のため、20時まで事務所で仕事。
 20時30分の新幹線で帰阪。

5月10日(土)

 熊田篤嗣さん(民主党大阪第1区総支部長)の結婚式。新婦も仕事をされています。「次期衆院選での当選のため、ご主人への力強い応援を」との祝辞が続くので、「これからは女性も働く時代。夫婦ともに夢を実現できるよう、力をあわせて頑張ってください」との祝辞を贈りました。

5月11日(日)

 厚労委での次の審議案件である派遣法・職安法の改正案について資料整理。
 19時15分の飛行機で上京。

5月18日(日)号

 11日(月)は決算委で、12日(火)は厚労委で質問(初体験の2時間半)しました。全家連(全国精神障害者家族会連合会)の不正流用問題の背景にある、自民党とべったりの姿勢も問題ではないかと感じていたところに、木村義雄・厚労省副大臣への精神病院や医療関係団体からの多額の献金が表面化。審議中の心神喪失者医療法案への木村副大臣の関わりも疑念ありと指摘され、精神医療と政治とのつながりが検証されようとしています。

国会アクションレポート

5月12日(月)

 13時、参院決算委員会。財務省、会計検査院の平成13年度決算について質問。

 生活保護や国保の助成金などの「義務的経費(必要経費の全額の支出が国に義務付けられている費目)」を補正予算で多額に計上することが、限られた予算の枠内で当初予算を編成するための手口となっています。「それでは予算案への信頼を損ねる。必要金額は当初予算に全額を計上すべきだ」と指摘しました。

 また、発行から3年近くになる2千円札はどこに消えたのか(委員会室内にいた委員に、今年2千円札を使ったことのある人は?と聞いたら、手を挙げたのは2人だけでした)。体力のない銀行や私鉄などに、ATMや券売機を2千円札対応機に換えよと求めるのは無理。発行計画の見直しを要求しました。

 民営化されたといっても、JT株の3分の2は国が所有。いまも財務大臣が筆頭株主です。国際的なたばこ規制の流れをどのように受け止めるのか。多額の損害賠償を求められることはないのかを尋ねました。問題視されている「マイルド」「ライト」などの評価をどのように考えるかとの質問に小林副大臣は「旨みを表したもので、健康への被害が少ないことを連想させない」と感想。

5月13日(火)

 10時、参院厚労委。公益法人改革関連の厚労省関係法案の整備法。要するに、検査・検定・資格付与業務を国が指定した公益法人だけに行わせるのは民間企業の参入を妨げ、透明性にも欠けため、見直すというもの。午前と午後に分けて2時間30分、質問しました。

 問題は、国に代わって業務を行う「行政委託型公益法人」の理事に役所OBが目立つこと。労災ケアセンターは10人の役員全員が旧労働省等の官僚出身者。坂口大臣も呆れ顔で「指導します」と答弁。閣議決定で、公益法人の理事に所管官庁出身者が占める割合は3分の1以下とされていますが、総務省によれば、「(我々の)基準があり、先生ご指摘の例も問題ありません」とのこと。基準に大いに問題あり!是正を求めます。

 行革事務局から、天下りの役員への報酬を補助金で助成していることへの是正を求められたが、「当該の公益法人は補助金減額にどのように対応したのか」との質問に、厚労省の局長は「事業を積極的に展開して収益を上げました」と答弁。何も事業をせずに天下り官僚に税金で高給を支払うのも異常だけど、天下り官僚に高給を払うために公益事業を行うのも、おかしな話です。

 全家連の補助金不正流用問題。発端となった「ハートピアきつれがわ」の計画を発案したのは厚生省職員と上田茂障害福祉部長が答弁。しかし、当初計画の内容は依然不明。精神障害者が訓練を兼ねて宿泊施設で働くことで施設運営を行うとの考え方に立てば、採算が厳しいことは自明。施設建設費を補助した国には、施設開設後の健全運営を指導する責任もあったのではないでしょうか。

5月14日(水)

 確かに白装束集団は奇妙だけど、「車庫飛ばし」疑惑で、250名の捜査員が全国一斉捜査とは、そっちの方が異常じゃないですか。近所の住民は「別に何もしてないのにね」と極めて冷静。でも、テレビ局のキャスターは、そうした住民の言動を「変です」とコメントしました。他人と違うことで警察がやってくる。そんな動きの積み重ねが、予防拘禁につながっていくことを心配します。

 10時30分、食品安全基本法の内閣・農水・厚労の3委員会連合審査会。担当の谷垣大臣が「世の中に安全なものはないという考えを前提に法案を作成した。(衆院での審議で法文を修正し)国産・輸入品を問わず、安全性の確保措置が適切にとられるべきことを法文に明記した」と言っているのに、輸入肉は安全かと問われた亀井農水相は「米国、豪州ではBSEは発生していないので安全です」と答えて涼しい顔。農水省職員の意識改革が必要と大臣は言うけれど、まず大臣が意識改革を!

5月15日(木)

 10時、参院厚労委。16時まで食品衛生法改正案等を質疑。小泉内閣は、BSE問題への農水省の対応の拙さを覆い隠すために、食品安全委員会を新設します。しかし、その結果、これまで食品安全に取り組んできた厚生省の仕組みまで解体されることになりました。私は、かえって食品安全のリスクが高まるのではないかと心配しています。

5月16日(金)

 大阪を地盤とする、りそな銀行に公的資金投入。事実上の国有化で預金は全額保護されますが、全面的な金融危機の一歩手前にいることが表面化しました。野党と自民党の反小泉派は、小泉内閣の経済失政を追及しますが、査定を厳しくすれば、自己資本比率が基準を下回るのは当然の資産内容ですから、今回の表面化も当然の帰結。デフレ圧力は弱まらず、金融機関の破綻は続きます。

5月17日(土)

 日本から戻った台湾人医師がSARS患者と認定され、旅行先となった大阪の関係官庁や宿泊先のホテル等は対応に追われました。情報の提供は必要ですが、どうなれば感染するのかなど、一番肝心の情報が少ないため、かつてのエイズ騒動が再現されないかと心配です。

 世界保健機関(WHO)によれば、「SARSの感染には患者を看病したり、患者と同居したり、つばやたんに直接触れるなど密接な接触が必要」とのことです。医師は日本滞在中、発熱はあっても、せきや下痢などの症状は出ておらず、同じツアーの参加者にも台湾帰国後も症状は出ていません。また、SARSウイルスは2~4日間生存するため、感染力は強いけれど、医師の離日は13日で、今も滞在先等でウイルスが生き続けている可能性は低いと考えられます。

 今回の医師は感染していたかも知れないが、感染力が弱い段階であったため、日本国内で感染を広めてはおらず、台湾帰国後に感染が確認されたと見るのが適当ではないでしょうか。市民には冷静な対応を求めるとともに、空港等での感染者の入国対策の強化を求めます。

5月18日(日)

 9時40分、万博球技場での身体障害者スポーツ大会開会式に参加。好天に恵まれ、参加者は日頃の練習の成果を存分に発揮していました。

5月25日(日)号

 私は厚生労働委員会の野党筆頭理事を務めています。政府側との質問を積み重ねて法案の問題点を明らかにしたり、法律の施行時に一定の枠をはめるため、十分な審議時間を確保したりすることが理事の大切な仕事です。加えて、委員会として審議対象の法案に関連した場所の視察や、関係有識者からの意見聴取を行い、審議を深めることも重要だと考えています。

 今週は、食品衛生法に関連して、東京都の築地市場を視察し、参考人質疑も行いました。どちらも、衆議院での審議では行っていません。実現できて、審議が深まったと評価しています。

 与党の理事は、「衆議院での審議時間は〇時間でしたから、参議院は〇時間で良いのでは」と良く口にします。すでに衆議院で審議され、国会の一院だけとは言え、各党の賛否が明らかにされているのですから、与党の言い分にも多少の理があります。だからこそ、参院での質疑が二番煎じにならないような工夫が、いっそう必要なのです。

 6月18日の会期末をにらみながら、また、他の委員会や本会議の動きを織り込みながら、今後の審議日程の組み立てに知恵を絞っています。

国会アクションレポート

5月19日(月)

 朝の飛行機で上京。午後1時、参議院本会議。有事関連法案の質疑が始まりました。国民保護法制を後回しにした「緊急事態法」は、危険が大きいと思います。(週の後半で成立した個人情報保護法も、行政が個人情報を勝手に使っても許されるし、医療などの極めて個人的な情報を保護する仕組みは、今後の個別法制度整備に委ねられています。政府に都合の良いところだけ、摘み食いされているように感じます)。

5月20日(火)

 10時30分、参院厚労委。食品衛生法に関する参考人質疑。民主党から出席をお願いした弁護士の神山美智子さんは、「消費者関連法には消費者からの申し出が権利として明記されているのに、食品衛生法の今回改正案には、またも盛り込まれていません」と、再考を求められました。

 また、クローン牛など、これまで人間が口にしてこなかったような物を食品として売る時は、製造業者や販売業者が安全性を立証した後でなければ販売できないようにする規定を整備すべきだとも指摘されました。

 いずれの指摘も今回の改正案には反映できませんでしたが、今後の重要課題と受け止めています。

5月21日(水)

 食品衛生法の審議の参考にするため、東京都の築地市場を見学。食品の安全に関するここでの検査は、ふぐや貝の毒素に重点が置かれているようです。もちろん、許可されていない添加物が含まれていないかなども検査しますが、検査結果が出るころには、商品はすでに流通ルートにのっています。産地に、今後の出荷に当たって再発防止を求める程度にならざるを得ないのが実態です。

 同席した東京都職員は「都で新設した食品安全委員会には、消費者代表も参加します。また、安全性に関わるリスクの評価や管理も一体的に行います」と説明。「それって、消費者を参加させないとか、リスクの評価と管理を別組織にするとしている国の方針と、正反対ですね」と私。国に逆らってはいけないと思ったのか、都職員は「そうですか」とおとぼけ。同行した国会職員らは、笑いをこらえていました。

 私の発案に各党が賛成してくださって実現した視察ですが、ここ数年、国会開会中の視察は行われていなかったとか。百聞は一見にしかず。審議を深めるためには、国会の開会中でも、国会から現場に出かけていきたいと思います。

5月22日(木)

 大阪市東淀川区在住の中国残留孤児、吉岡勇さんの子どもが実子ではなく、妻の連れ子であったとして強制退去を求められている問題を、3月27日の厚生労働委員会で取り上げ、法務省に善処を求めました。

 今日は、吉岡さんら当事者と支援者が上京され、議員会館での支援集会の後、法務省で増田入管局長らと面談することになり、江田五月、千葉景子議員と一緒に法務省に出かけました。

 議員会館に戻ってくると、田中真紀子前代議士から電話があったとか。早速、ご主人の田中直紀議員の部屋を訪問したけれど不在。そうこうする内に、田中直紀議員が来室され、「(会議の案内板に)中国残留孤児とあったので、ご連絡しました。(「うちのが」と言われたと思うのですが、要するに田中真紀子前代議士が)中国残留孤児の家族が強制退去を求められる事案が連続している。(孤児側に立っての)きっちりとした対策が必要です。早急に考えましょう」とのこと。力強い味方を得た思いです。

5月23日(金)

 10時、参議院本会議。労働者派遣法・職業安定法の改正案に対して、会派を代表して質問。

 派遣やパートなど、働き方が多様化していますが、民主党は「派遣やパートによる正社員の代替雇用を推進するのではなく、均等待遇の原則の下、正社員の就業形態を多様化することで、多様な働き方を実現すべきである」と考えています。一方、政府は、「雇用関係は、使用者と被使用者との自由契約に基づいている」との立場に立って、規制強化(介入)には消極的です。

 「非正規雇用者の増加をどのように考えているのか」との私の問いに、平沼経済産業相は、「(非正規雇用者の増加は)世界的な流れである」など、「流れ」という言葉を4~5回使って、容認する姿勢を示しました。

 しかし、「流れ」に沿うだけでは、行政も政治も存在意義がないのではありませんか。「働く姿」はこのようにありたいという理想を掲げ、その実現に向けて、経済原則で動いている企業に理解と協力を求めていく、時には企業側の抵抗を押しとどめて、労働者保護政策を講じていくのが、政治だと思うのです。

 議場での私の声が耳に届いたのでしょうか、本会議後に開かれた決算委員会で顔を合わせた時、平沼大臣は、わざわざ私の議席に寄ってこられ、「舌足らずでした。答弁の趣旨は、先生のご質問の通りです」とおっしゃいました。でも、私には、政府の打ち出してくる政策は、逆の方向を向いているように思えます。

5月24日(土)

 関係団体役員の法事に出席した後、大阪事務所で福祉・労働政策に関連しての相談を受け、帰宅。

5月25日(日)

 午前中は民主党大阪府連の常任幹事会。統一地方選挙の反省と今後の府連運営について。月曜日も朝から仕事があるため、自宅で夕食後、上京しました。

6月1日(日)号

 自由党との合流問題が、党の内外で議論を呼んでいます。

 自由党との政策に多少の違いはあっても、官僚支配の自民党政治を打破することが、国民の幸福につながるのですから、野党は大同団結すべきと考えます。

 人が集まれば、多種多様な意見が生まれるのは当然です。したがって、自由党というひとつの集団が加わることで、総選挙の前も後も、変化(混乱とも言えるかもしれませんが)があるでしょう。そうした変化を受け入れる気持ちがあるのか、ないのかが、個々の議員の合流賛否判断の分かれ道になっているように感じます。そして、民主党の「本家」意識や、党首選から顕在化した党内「派閥」の動きが、事態をより複雑にしています。

 合流問題はいったん棚上げとなりましたが、党内の議論は継続すべきです。

国会アクションレポート

5月26日(月)

 スモン全国会議の稲垣恵子会長と患者・家族、谷博之参院議員とともに厚労省に坂口厚労大臣を訪ね、スモン被害者への恒久対策の継続強化を訴えました。
 スモンは、整腸剤キノホルムが原因の薬害で、裁判での国敗訴を受けて、当時の橋本厚生大臣が「恒久対策」を約束しました。しかし、総合的な難病対策に含まれてしまったことや、昨今の財政難のため、対策の後退が懸念されています。
 坂口大臣は「ぜったい後退させません」と改めて約束されました。薬害被害者や難病患者への対応策の強化が求められています。

5月27日(火)

 8時、総合雇用対策PT。労働基準法改正案の問題点について勉強会。

 9時30分、6月2日に予定している「超党派年金シンポ」の進行役を引き受けてくださった渡辺俊介氏と、津島雄二代議士を交えて打ち合わせ。

 13時、参院厚労委。職安法・労働者派遣法改正案の趣旨説明と、「当面する厚労省の諸課題」についての質疑。SARSも重要課題ですが、木村義雄・厚労副大臣の「疑惑」に関する質疑が、委員会審議での隠れたテーマです。

 木村副大臣が、柔道整復師団体に有利になるよう厚労省に働きかけをしたとされる問題では、関係する省内の会議に使用された資料や、議事録を厚生労働委員会に提出するか否かを巡って、審議がストップしました。
 坂口大臣は「どういう議論があったかは明らかにして、皆さんにお知らせします」と答弁する一方で、「省として残したメモがあれば出すが、個人的なメモまで出していたのでは話にならない」とも答弁しました。
 しかし、薬害エイズ事件での「隠された資料」で問題となったのは正にその点。坂口大臣は学習能力がないのでしょうか。

 すでに委員会に提出された資料は、ページがとんでいて、そのページに何が書かれていたか、様々な憶測を呼んでいます。厚労省職員は「もともと抜けていた」と弁明していますが、不自然です。早急に関係資料全部を提出すべきです。

 朝日俊弘議員は、「上田障害福祉部長は精神病院協会の幹部に、社会的入院を余儀なくされている7万2千人の精神障害者を退院させた後も、精神病院のベッドは減らしません」と「約束」しているが、なぜかと糾弾。これも不思議な話です。

5月28日(水)

 8時、厚労部門会議。9時前に子ども政策部門会議をのぞいて、参院議員総会へ。10時、本会議。上がり法案の処理。正午、国対・理事合同会議。

 13時、厚労委の理事会。昨日、委員会で趣旨説明を受けた労働者派遣法等の審議日程を与野党で協議。私は、5月29日に質疑、6月3日に参考人質疑をと提案。特に、参考人については、職安法と派遣法を分けて、4人ずつ、合計8人を呼ぶべきと主張。与党は、人数を絞れと主張しました。

 与党が人数を絞れと主張する裏には、人材派遣業界から参考人を呼びたくないとの思いがあります。坂井隆憲代議士への裏献金を質問されるのを恐れているのです。
 私は、労働者派遣法を審議するのに関係業界から呼ばないことのほうがおかしいと主張しましたが、結局、(献金事件と直接の関わりの薄いと思われる)経済団体から参考人を呼んで派遣労働について尋ねることで、日程が決まりました。
 私に言わせれば、人材派遣の業界団体の専務理事等は労働省OBだろうから、国会答弁には慣れているだろうし、人材派遣業界から呼ぶことを避けたり、呼ばれても業界が参考人としての出席を断ったりすれば、そのことの方が、よほど問題だと思うのですが。

 会議の合間をぬって、警察庁と交通事故被害者への支援策の充実について協議。
 大阪の被害者が、加害者から中傷メールを流された事件や、愛知県での高齢者による園児死亡事件を通じて、高齢者の免許更新や業務上過失致死罪の罰金額が低額であること、事故後に保護観察処分となった加害者の日常行動のあり方などについて意見交換をしました。

 17時、古川元久代議士、峰崎議員と民主党年金改革案の協議方法について意見交換。

5月29日(木)

 8時、医療問題PT。再診料の逓減制(受診回数が増えるごとに再診料が減額される)を見直して定額制にする、保険者と医療機関が独自に契約できるとする厚労省案について、説明を受けました。同じ診療内容で同じ薬をもらっても、毎回、支払い金額が違って、おかしいなと思われたことがあると思いますが、この逓減制が原因。「こんなおかしな制度はない。患者が混乱する」と、民主党は反対したのですが、結局、元に戻ることになりました。朝令暮改。

 11時、厚労委。職安法・労働者派遣法改正案の審議。審議を横目に、8人の参考人を揃えるため、あちらこちらに連絡。皆さん、都合を付けてくださって感謝します。充実した参考人質疑になりそうです。20時前、連合の労働法制改悪阻止のデモ行進を、国会前で激励。

5月30日(金)

 10時、参院本会議。今日も上がり法案の処理だけ。所要15分。

 13時30分、風邪薬の副作用等によるスティーブン・ジョンソン症候群の患者さんの国会内集会に参加し、激励。薬に副作用はつきもの。発生の防止に努めつつ、副作用被害者への支援は、社会全体で行うべきとの持論を述べました。医療ミスなど含めて、製薬企業や当該医師、病院の責任は当然ですが、自動車賠償責任保険に倣って、医療界全体あるいは社会全体で被害者への支援を行う「無過失責任」に基づいた強制保険制度が検討されても良いと思います。富士見産婦人科病院事件の高裁判決が、事件から23年経って言い渡されました。

 18時30分、BSニッポンの収録。根本匠・自民党代議士と一緒に出演し、年金改革について議論を交わしました。
 最終の新幹線で帰阪。

5月31日(土)

 朝、昨日収録のBS放送を見て、午後は、連れ合いに頼まれていた自転車修理や、大阪の自宅で購読している新聞を地元記事に注目しながら読んだり、年金の勉強をしたりして過ごしました。

6月1日(日)

 稲見哲男・大阪5区総支部長を励ます会。菅代表も参加され、「総選挙は10月から年末にかけてです。自民党に代わって政権を担い、官僚機構とも戦って、真に国民の方を向いた政治を行いましょう」と力強く訴えられました。

 午後は事務所で仕事をしてから、ワッハ上方で落語家・笑福亭松僑さん一門の公演会で落語を楽しみました。最終の飛行機で上京。

6月8日(日)号

 7日の土曜日の朝、パソコンの電源が入らないというトラブルに見舞われ、あちらこちらと電話して、何とかならないのかと奮闘してはみたものの、解決できず、メーカーに修理を依頼することになりました。「データのバックアップは取らないといけないよ」と忠告は受けていても、電源が入らないのでは、作成中の文書を見ることも、インターネットに繋ぐこともできません。というわけで、今週の「蝸牛」は、一週間を思い出しながらの記述です。

国会アクションレポート

6月2日(月)

 10時、決算委員会。13年度決算の審議。次から次へと、税金の無駄遣いが指摘されていますと言えればいいのですが、質問者によっては、地元への利益誘導かと思われる質問もあったりして、難儀な話です。

 13時30分、超党派年金シンポジュウム。昨年亡くなられた今井澄参議院議員の発案で始まった「超党派の年金勉強会」が、初めて公開で議論を交わすことになりました。津島雄二、山本幸三(自民)、福島豊(公明)、井上喜一(保守新)、古川元久、山本孝史(民主)、小池晃(共産)、森ゆうこ(自由)、大脇雅子(社民)の9名が参加。
 与党は、昨年12月に厚労省が発表した年金改革案で、ほぼ方向性は固まっているようですが、問題は、約束となっている基礎年金の国庫負担率の2分の1への引き上げが、財源が明確にされないなかで先送りされようとしていることです。

 シンポジュウムを途中で抜け出して、14時50分から、心神喪失者医療観察法案の法務・厚労委員会の連合審査会に出席。森山法相は、質問の内容を理解できず、答弁がメロメロ。一方、木村厚労副大臣は、精神病院協会からの献金疑惑を追及され、法案提案者側は、防戦一方でした。

6月3日(火)

 8時、総合雇用特別対策PT会議。労働基準法の改正に関する与野党協議について。解雇の自由を制限する修正となった事は、与党と民主党の修正協議の大成果です。原案のまま法案が改正されたら、大変な事態になっていたでしょう。

 9時50分から午後3時まで、参院厚労委員会、職安法・労働者派遣法に関する参考人質疑。

 14時過ぎに、参院法務委員会で心神喪失者医療観察法案が強行採決されたとの連絡が入りました。森山法相のメロメロ答弁に持ちこたえられず、木村献金疑惑の追及を逃れるため、与党が力ずくで審議を打ち切ったと理解しています。

 6月8日の、池田小学校事件の2年目の節目を前に、法案の成立を図ったのでしょうが、ひどい話です。「(法案の対象者には)閉鎖病棟における開放処遇を行う」と答弁し、7万2千人の社会的入院を余儀なくされている精神障害者が退院しても、精神病院のベッドは減少しないと精神病院に約束した厚労省の姿勢は、許されません。

 16時、医政局と健康局の職員が来室。神経難病の医療機関は、施設の老朽化に伴い新設しようとしても、病院の近代化資金は使えない仕組みになっている。何らかの方策が必要ではないかとの点について意見交換。

 17時、古川元久代議士、峰崎直樹議員と、年金改革案について意見交換。

6月4日(水)

 8時、厚労部門会議。次世代育成支援法について厚労省から説明聴取。
 12時、参院本会議。食品安全基本法などの採決。12時20分、国対・理事合同会議。

6月5日(木)

 10時から16時30分、参院厚労委。職安法・労働者派遣法の質疑と採決。質問に立ち、派遣労働は正社員の代替とはなっていないと答弁し続ける厚労省に対して、総務省の行政監察局が、派遣事業者は厚労省が策定した「指針」を守っていないこと、さらには指導に当たる職業安定所の立ち入り検査も杜撰であると指摘していることを引き合いに、派遣労働の正確な実態を把握して、委員会に報告するよう求めました。

6月6日(金)

 8時、税調・年金プロジェクトチームの合同会議。年金改革には税制が大きく関わっていることから、自営業者とサラリーマンの所得補足は公正か、また、公的年金控除のあり方など、課題を提示して税調での検討をお願いしました。

 10時、参議院本会議。総理のサミット報告、有事関連法案、心神喪失者医療観察法案などを採決。本会議場の傍聴席には、衛視さんがいっぱい。これでは、国会は有無を言わさずに国民を押さえつける機関かと受け止められても仕方がありません。民主党の議院運営委員から、衛視の数を減らして、傍聴者への威圧的姿勢を改めるよう事務総長に申し入れました。

 13時30分、被団協の要請を、民主党被爆者問題ワーキングチームの高木義明代議士と一緒に受けました。私も事務局長として取り組んでいますが、原爆症の認定、在外被爆者への援護策など、課題がまだまだ残っています。

 15時から、決算委員会調査室から、平成13年度の決算について、審議で触れられていない項目はないか、さらに詰めておくべき点はないかについて意見交換。夕刻に帰阪。

6月7日(土)

 パソコンが壊れて、一日、ブルーな気持ちでした。

6月8日(日)

 9時、空手道月心会の関西中央地区選手権大会。小さい子供たちが、元気に試合に出場しました。

 13時、医療事故調査会の年次シンポジュウム。インフォームドコンセントの法制化、医療も消費者から見れば「契約」であるとの視点の重要性、患者の精神面や生活環境への配慮の必要性、複数の医師による治療方針の決定、カルテの完備と保存などの課題が指摘されました。

6月15日(日)号

 角川書店が「ボランティア」や「NPO」を商標登録しました。「大阪」や「なにわ」を商標登録されたような、強い違和感があります。6月6日の朝刊に掲載された公告によれば「弊社は、NPOやボランティア活動が盛んになるため、その後押しをすることを希望しております」とのことですが、それが本心なら、営利企業か非営利団体かに関わらず、広くみんながNPOやボランティアの文字を使えるようにするべきではないでしょうか。ボランティアやNPOの名称で商売をしようとしている角川書店は了見が狭いと思います。片山知事ではありませんが、角川書店の本は買わないことにします。

国会アクションレポート

6月9日(月)

 朝6時、ラジオニュースから朗報。再選挙となった札幌市長選挙で、民主党推薦の上田候補が勝利! 与党が推した元衆院議員は今回初めての立候補でしたが、上田候補は前回選挙に続く立候補。上田候補の札幌市と市民への熱い思いが通じたのだと思います。全仏テニスで杉山愛選手がダブルスで逆転優勝とのニュースもあり、さわやかに今週もスタート。

 13時、参院本会議。労基法の趣旨説明と代表質問。浅尾慶一郎議員は、小泉総理の答弁に満足できず再質問。再答弁の総理は「答弁しています」とお怒りでしたが、答弁漏れを指摘しているのではなく、答弁がずれていると指摘したのです。噛み合わないまま散会。

 北朝鮮の貨客船、万景峰号が新潟港への入港を延期。詳しい事情は不明ですが、入港時の検査が厳しくなったことを受けての入港延期であれば、工作船などとする疑念が深まります。小泉総理の「圧力」発言を受けて、北朝鮮に対する強硬姿勢を支持する意見が勢いを得ているようですが、経済制裁の結果、北朝鮮が孤立し暴発することの危険性も十分に検討しておくべきです。

6月10日(火)

 8時30分、厚労部門会議。次世代育成支援対策推進法を議論。企業や自治体に、次世代育成に資する支援計画の策定を求める内容ですが、「具体的な内容は、これから詰める」と厚労省。法案よりも先に、政府は、育児休業制度を拡充するのか、長時間労働を是正する措置を講じるのかなど、次世代育成支援のための具体策を明らかにすべきではないでしょうか。

 10時、厚労委で、精神障害者の保健福祉に関する集中審議。連合審査会を開いて一緒に心身喪失者医療観察法案を審議してきた厚労委を無視して、先般の法務委員会で強行採決したことの「落とし前」を与党につけさせる意味合いから、野党が開催を求めていたものです。

 厚労省は、社会的入院を余儀なくされている7万2千人の精神障害者の退院を促進するためにも、同法案は必要と説明してきました。しかし、社会復帰施設の整備費が、平成15年度は前年度から百億円も減額され、思うように施設整備が進んでいないことに関係者から苦情が殺到。厚労省には、心身喪失者医療観察法案を必要とする別の意味合いがあったのでしょうか。

 厚労委では、精神障害者の保健福祉の向上を目指して、今後も委員会での審議や医療刑務所、精神病院等の視察などを行うことで与党側から合意を得ました。午後は、13時から労基法の審議。

6月11日(水)

 8時、難病対策WT。ALS患者等への痰の吸引は医療行為であり、医師や看護師以外には認められていません。家族は患者本人の同意があるとみなして許されていますが、今後は、医師の指導を前提に、ヘルパーにも痰の吸引(医療行為)を認めることになります。終末期を在宅で過ごしたいと願う人が増えるなか、今回の決定は、在宅患者の医療行為のあり方に少なからぬ影響を与える重要な決定です。

 9時30分、議員総会。逮捕された国会議員に歳費や調査研究費の支給を止めることを検討するとか。一見もっともなように思えるけれど、逮捕はされても刑の確定までは推定無罪。国会に登院しないという点では同じ立場の病欠者は、どのように扱うのでしょうか。問題は逮捕者に歳費を払っていることではなく、逮捕されても辞めない、辞めさせないことです。

 10時、参院本会議。日本に帰化して24年というツルネン・マルテイ議員が本会議で初質問。参院選に挑戦すること3度。しかも3度とも次点。それでもくじけなかったのは、参議院議員として活動することが使命と信じているからとの言葉に、これぞ民主主義と感服。有事の際に軍事基地となる民間空港のあり方、不便な成田空港、羽田の国際化、横田基地の民間への開放など、素朴だが、本質を突く議論を展開したのですが、扇国土交通大臣の答弁はおざなりでした。

6月12日(木)

 9時、税調総会。公益法人への課税問題。10時から17時、厚労委で、前日の参考人質疑を経て、労働基準法の2回目の審議。

 自民党が身体障害者に代筆郵便投票を認める公選法改正案をまとめたとの報道。谷博之議員と一緒に民主党案をまとめたことが、与党も、この問題に取り組まざるを得ない状況にさせました。介護保険で要介護度5と認定された人も郵便投票ができるとしている点で、民主党案より対象範囲が拡がっていますが、身代わり投票が増えないかとの心配もあり、慎重に議論すべきです。

6月13日(金)

 イラク新法が提出されました。イラクは、現地人による政府が樹立されていないこと、戦闘が続いていることなど、これまでのPKOとは違う環境にあります。民主党の現地調査団からも、自衛隊を派遣する状況にないとの報告が寄せられています。政府は、公式の調査団を派遣する前に、法案を国会に提出しましたが、それも、小泉総理がサミット等で、自衛隊の派遣をアメリカに約束したからでしょう。

 米英の占領軍に肩入れする前に、小泉総理も「証拠はある」としてきた大量破壊兵器が、まだ見つかっていない問題(すなわち、武力による政権転覆)や民間人に多数の死傷者を出した問題などについて、政府は明確にすべきです。米国の国連軽視の姿勢は、戦争の目的がイラクにおける利権確保だったとの思いを強くさせます。

 10時、本会議。生保の予定利率引き下げを可能とする保険業法改正案が議題。保険会社と国民との契約に国が介入して、国民の財産権を侵害することが許されるのでしょうか。しかも、生命保険会社の資産状況については、情報公開がまったく不十分です。簡保は、死亡率の予測以上の低下や営業経費の節約で儲かったものを、資産運用での損失で吐き出していると思われますが、生保も簡保も、そうした事業内容を幅広く公開すべきです。また、生保に基金を拠出している銀行の債権放棄は義務付けられておらず、議論は未成熟です。

 国会等の移転に関する特別委員会から「中間報告」。過去12年間にわたり検討してきたが、移転先は決定できず、今後も議論を進めることが必要とか。首都移転の理由が、東京が災害や大規模な危機にさらされ、国の中枢機能が停止することへの対応というのですが、どこに移転しても、バックアップ体制は必要。そのために立川に防災基地を設けたはずです。大規模災害や危機に、現場から離れた場所にいる者が的確に対応できないことは、阪神大震災の教訓です。もっと、現実を見つめた議論をして、早期に、移転しないという結論を出すべきです。

 本会議や16日の決算委員会での質問準備で、久保哲司代議士の葬儀に参列できませんでした。平成5年の総選挙で、旧大阪4区からともに初当選、新進党では一緒に活動したこともあります。大阪府職員としての経験を活かした活動は手堅いものでしたし、「哲ちゃん」の優しい人柄は、与野党を超えて多くの人に慕われていました。惜しい人材をなくして、残念です。ご冥福を祈ります。

6月14日(土)・15日(日)

 帰阪し、高齢者施設の開所式出席などの地元予定をこなしました。夕刻に上京。

6月22日(日)号

 八尾市の老夫婦が、妻の兄とともにJRの踏み切りで自殺。原因はヤミ金融業者から借りた1万円の利息が大きくなり、ひどい取立てにあっていたからとの報道を受けて、八尾警察署にも詳細を照会しました。
 金銭貸借は当事者間の契約なので、金利の上限設定などは議員立法で行われており、頻発するヤミ金融事件を受けて、議員立法による改正作業が与野党の関係議員で進められています。主任者制度の導入、罰則の強化などが検討されていますが、一定の金利を超える契約の無効は与野党の合意に至っていません。
 法律の改正が急務ですが、同時に、弁護士などによる相談体制の充実、警察の的確な介入が求められています。

国会アクションレポート

6月16日(月)

 10時、決算委員会。塩川、坂口、竹中の各大臣に質問しました。

 1)社会保障の義務的経費は、その年度に必要な全額が当初予算に盛り込まれず、補正予算で追加計上されて帳尻合わせがされています。
 例えば、平成14年度の生活保護費国庫負担金は、当初予算で1兆3751億円が手当てされていますが、補正予算で2928億円(当初予算の21%)も追加支出されました。平成15年度では、当初予算に1兆5132億円が計上されていますが、平成14年度の支出合計額1兆6679億円を下回っていて、本年度も補正予算で多額の計上を求められることは必至です。
こうした変則的な措置の背景には、当初予算に必要額全額を盛り込むと、予算編成の上限枠(シーリング)を突破することや、義務的経費に予算枠が取られて、新たな施策を展開できないという事情があります。
 しかし、こうした小泉流の予算編成の手法は、予算案への政府の説明が信頼できず、また財政の状況を誤って国民に知らせることにもなります。当初予算には、当年度に必要となる額の全額を計上するよう、あらためて塩川財務相に強く求めました。

 2)来年度の年金改革の中心的課題のひとつが、公的年金控除(実質非課税)の見直し問題です。塩川大臣は、大幅に見直し、増税分は基礎年金給付に充当することを示唆しました。
 決算承認案が緊急上程され、18時に参議院本会議を開会。

 散会後、厚労委の理事会を開会。
 会期制がある我が国の国会では、会期内での法案処理を前提として、委員会での審議日程を与野党協議で決めています。そんな仕組みのなかで、国会延長が与党から提案されると、野党は延長に反対ですから、与野党のトップが協議し、双方が受け入れられる国会全体の日程が決まるまで、各 委員会での審議が中断されます。
厚労委も、明日17日に開会するか否かを協議。結局、開会の看板立て(委員会開催を決定し、公報に掲載すること)は見送りになりました。
 委員会室の外で、厚労省職員が一言。「看板が立つと、実際に委員会が開催されないと思っていても、早朝から大臣に、委員会質問へのレクチャーをしなければいけないのです。看板立てがなくなって助かります」。
 坂口大臣も、お疲れ気味ですから、ちょっとは休んでください。

6月17日(火)

 与党は、40日間の会期延長を議長に申し入れました。
 予算と条約と会期延長は、参議院の議決がなくても良いことになっていますので、会期延長を議決する衆議院本会議が開かれていても、参議院本会議は開かれません。まったりした空気が参議院全体に流れています。

6月18日(水)

 8時、医療問題PT。薬剤師会、内閣府、厚労省を交えて、医薬品のコンビニ販売解禁問題で意見交換。厚労省は、整腸剤や消炎シップなどを「医薬部外品」に指定して対応しようとしていますが、小泉総理は、「医薬品」の販売解禁にこだわっています。風邪薬などでも重篤な副作用を引き起こすので、薬剤師の指導で服薬して欲しいのですが、肝心の薬剤師の対応が十分とはいえない実情もあり、そこを規制緩和派に突かれているようです。
 厚労省も薬剤師の指導下での販売の徹底を都道府県に指示しましたが、解禁は慎重であるべきで、解禁するなら、学校や地域での服薬指導を通じて「医薬品には副作用がある」ことを徹底して周知させなど、条件整備を行うべきです。

 高橋・東大病院血液部長が来室。国立大学の独立行政法人化で、大学病院の経営合理化が強行され、検査は外注、血液製剤を扱う担当専門部局は廃止の方向が打ち出されています。医師や看護婦等の技能の向上や、血液製剤の適正使用の面からも問題です。医療の質的向上を目指す厚労省と、医師等の養成を行う文科省との垣根は、相当に高いものがあり、問題を複雑にしています。

 木倉・年金課長が来室。税調や政府の審議会での年金議論について意見交換。
 続いて、2歳の水頭症の子供をもつ若いお母さんが来室。小児慢性疾患や難病で苦しむ家族への支援策などについて意見交換。

6月19日(木)

 会館の事務所で書類整理をして終日過ごす。

6月20日(金)

 我が国の投票制度は、投票所に行って、自筆で投票することが原則となっています。投票所にいけない人には郵便投票制度がありますが、この場合も、自筆とされています。
そこで民主党では、私もプロジェクトの一員となって協議し、在宅のALS患者などが投票権を行使できるように、外出が困難で、かつ上肢の機能をなくした障害者も郵便投票の対象者とする公職選挙法の改正案を提出しました。
 負けまいと、与党も改正法案を協議中ですが、民主党案をさらに拡大して、介護保険で要介護度5と認定された人にも在宅投票を認めるとの内容になっています。確かに、要介護度5と判定された人の中には、寝たきりで外出が困難な人は多いでしょうが、全員が歩行困難というわけではありません。別人投票などの恐れがあり、問題なしとは言えません。
 大阪府茨木市在住の、引きこもりの青年とその父親が提訴した判決でも、外出困難者への投票権付与が求められています。与党の案も出たところで、与野党で、郵便投票の対象者について、さらに議論を深めたいと思います。

6月21日(土)・22日(日)

 知人のご子息の結婚式、久保武彦・東大阪市議を囲んでの集会、大阪市から来年度国家予算への要望聴取などの地元日程をこなす。

6月29日(日)号

  イラク復興支援特別措置法案の審議が始まりました。有事法制の時とは打って変わって、党内は静かです。党独自のイラク調査団が、「イラクは戦闘状態にある」との認識をもたらしたこともあって、法案に反対の方向性が固まっているからです。意見集約のための全議員が参加しての会合も開かれていません。

 大量破壊兵器がいまだ発見されず、米英の開戦の正当性が取りざたされています。まして、現地政府は樹立されず、現状での自衛隊派遣は、米英の占領軍に協力するということで、これまでの国連PKF等への自衛隊の派遣とは、性質がまったく異なります。しかも政府は、活動地域を明確にしない方針です。活動内容が明確に規定されないままに派遣するなど論外です。

 民主党執行部は、7月1日に修正要求をまとめることで一致したそうです。法案の問題点を指摘するのが狙いだそうですが、修正要求を与党が飲み込んだら、どうするのでしょうか。わかりにくい対応です。

 戦後日本の歩みを、大きく針路変更する法案です。与党議員も、「こんなに急いでやってはいけない」というのですが、小泉総理は、内閣改造や解散総選挙をちらつかせて、イラク特措法の成立に「内閣の命運」をかけています。

国会アクションレポート

6月23日(月)

 山口正明・守口市会議員の告別式。4月の選挙で三選を果たされたばかりで非常に残念です。大変お世話になりました。ご冥福をお祈りします。

6月24日(火)

 福岡の一家4人殺害事件。なぜ手錠が量販店で売られているのでしょうか。玩具としてならば、子どもには手錠で遊んでほしくありません。有害玩具として、量販店での販売は自粛してください(場合によっては法律で販売禁止も)。殺人に包丁が使われるから、包丁を売るなと言っているのではありません。手錠が犯罪に使われるのであれば、購入ルートを絞ることも検討されるべきです。

6月25日(水) 

 母子家庭の母の就業支援に関する特別措置法が、参院で成立します(27日の参院本会議で可決され、衆院に送付されました)。
 (1)母子寡婦福祉法に基づく基本方針及び自立計画について、就業支援に特別の配慮を求めるとともに、(2)国の責務として、(a)就業支援施策と実施状況を国会に報告、(b)就業促進への協力を求めるよう努める、(c)福祉団体の受注機会の増大に配慮する、(d)公共団体にも国と同様の配慮を求めることなどが内容となっています。

 メルマガの読者から、「そうした内容では法律にするまでもない」との指摘がありました。国民の権利義務を規律するものが法律事項だとの主張です。法制局によれば、最近は法律を広く捉えて、社会の利益に資するものを行政に命令する、すなわち、国会が行政をコントロールするような内容のものも法律として考えていこうとの流れが広まってきたそうです。官僚組織に対する国会の力が弱いことの現われとも言えるでしょう。

 議員立法は与党の賛成がないと成立しません。ということは、官僚の同意が前提になっています。この法律によって、(1)女性専用窓口のなくなった職安が、母子家庭に力を入れやすいこと、(2)自治体も、母子家庭を優先して採用する際の後ろ盾となり得ること、(3)母子家庭への貸付金の原資が確保しやすいことなどのメリットが生まれるようです。

6月26日(木)

 10時、参院厚労委開会。労働基準法を審議し、賛成多数で可決。これまでの判例で確立された解雇ルールが法に明記され、「解雇は客観的、合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合はその権利を乱用したものとして無効とする」と規定されました。

 この件で、読者からメール。
「協調性のない社員、意欲のない社員の処遇に困っている。辞めて欲しいが、辞めさせられない。本人にとっても会社にとっても不幸な状態に終止符は打てないのか」。
 労基法は労働者を守る法律ですが、ミスマッチに悩む読者の嘆きも、理解できなくはありません。「こうすれば、無用のトラブルを避けて、労使円満に雇用契約を終了できるといった指導書はないですよね」。
 厚労省の担当者は「ありません。日経連あたりにマニュアルがあるかも知れませんが、雇用を守る立場の当方からは照会できません」。
 「双方の話し合いを通じて円満に解決を」といっても、読者の悩みは解決しないでしょうね。

6月27日(金)

 8時、税調メンバーと、民主党の年金改革案について協議。女性議員を交え、「女性の年金」について意見交換。女性の年金問題は、夫婦間での年金分割や、パートで働く女性にも正規社員同様に社会保険を適用すること、いわゆる第三号被保険者問題など、年金制度の根幹に関わる多くの論点を抱合しています。傍らで議論を聞いていた若い女性秘書さんに、「今日の議論はどう?」と尋ねたら、「年金制度は信用できません」と、キツ~イ一言が返ってきました。

 10時、参議院本会議。次世代支援法案の趣旨説明に、民主党を代表して同僚の谷博之議員が質問。冒頭、イラク支援法案について、「『子どもを再び戦場に送るな!』は、特定の組織・団体のスローガンにとどまらず、全国民の願いだった。今回の自衛隊派遣で、若者の血が流されることはないのか」と質問。官房長官は、「(死傷しないよう)配慮します」と答えるだけ。やはり、この法案は問題です。

6月28日(土)

 公益法人改革で政府は27日、省庁の許可制による公益法人に代わり、届け出だけで設立できる非営利法人制度を創設するとした案を閣議で了承しました。しかし、焦点の優遇税制(すなわち、公益性の判断基準)については具体案が示されず、先送りです。NPO法人や中間法人も現行のままです。せっかく大騒ぎしたのですから、騒ぎを引き起こした政府には、公益性(社会貢献性)についての政府見解をまとめて欲しかったですね。

 街づくりシンポジュウム「「太閤路地からのメッセージ」に参加。私のホームページの「やっぱし大阪!」で詳細を紹介しています。

6月29日(日)

 国際結婚を考える会のメンバーと、二重国籍となった子どもたちの国籍選択制度・国籍留保届けの廃止について、意見を交換。

 社会保険庁が、加給年金を約7200人に約24億円過払いし、約3万6千人への約300億円が未払いとなっているとのニュース。詳しい説明をすぐに求めます。