vol.16 2004年5月〜6月

5月1日(土)号

 国民年金未納問題で 「未納三兄弟」が、「7人のミハライ」に、さらには、我が党の菅代表、鳩山前代表へと拡大するに至りました。「江角マキコさんには国会に参考人として来ていただきたい」言った本人にも未納期間があったのでは、江角さんにお詫びしなければならないでしょう。

 菅代表などのように、閣僚や政務次官などの就任時に国民年金保険料の未払いが多く発生している原因は、概ね次のような手続きの結果と想像されます。

1)閣僚等の就任時に各省庁の官房会計課は、健康保険を国家公務員の短期共済に切替える(年金は切り替わらず、就任前の状態が維持される)。

2)その事実は、閣僚等の地元自治体の国民健康保険担当窓口に伝達されるが、さらに、国民年金担当課にも伝えられ、「国民年金の喪失」手続きが行なわれる(地方の事務である国保と、国の事務である国年の業務が、当時は自治体で一体のものとして行なわれていた)。

3)閣僚等の退任時に、その事実が地元自治体に伝えられ、国年への再加入手続きが行なわれるが、就任期間は未加入のままである。

 こうして菅代表は、厚生大臣就任時の10ヶ月間が未納となったようです。とすれば、その後に厚生大臣となった小泉総理も、同じ状態ではないのでしょうか。菅厚生大臣の時だけ未加入期間が発生し、小泉厚生大臣のときは未加入とならなかったとは考えられないからです。

 このように推測していくと、次から次へと、素朴な疑問が湧いてきます。

1)国年保険料の未払いが発生している期間の、健康保険はどうされていたのでしょうか。国年未加入21年という中川大臣は、その間、家族も含めて病院にいったことはないのでしょうか。

2)江角さんの時にも問題となった、国民年金の保険料に対する社会保険料控除は受けていなかったのでしょうか。受けていれば、脱税です。

3)なぜ、国保の脱退や再加入の手続きが、本人の知らない間に行なわれるのでしょうか。

 週刊誌で取り上げられたことをきっかけに、民主党は、法案提出の責任者である政府の閣僚は、自らは保険料支払いの義務を果たしていたのか明らかにすべきと迫りました。
順次、閣僚が記者会見で公表したのに、福田官房長官は、「個人情報だ」「税額や職歴を公表しろと言うのか」と、記者会見で答弁を拒絶しました。しかし、その時点で既に、自らも未納であったことを知っていたのです。
福田官房長官らは、うそをついたわけではありませんが、本当のことを覆い隠そうとする福田官房長官や小泉内閣の姿勢は、糾弾されるべきでしょう。

 今後の展開として、「閣僚就任時に未納が発生しているのは、各省の官房や、社会保険庁に問題がある。簡単に納付記録をチェックできない仕組みにも問題がある」と声高に叫ばれるでしょう。
 しかし、一番の問題は、国会議員が自らの年金に対して、無頓着であることです。自らの年金は何かと問われて総理は「議員年金だと思います」と答弁しました。10年以上、議員を務めれば議員年金があるから、公的年金なんて関心も興味もないのでしょう。
 国民の多くが公的年金だけを老後の頼りとし、どうやって自らの老後の生活費を確保しようかと考えている時、自らの年金に対して思いを及ぼさない国会議員は、議員失格ではないでしょうか。

5月9日(日)号

菅代表の辞任が避けられない状況となりました。

 ご自身の国民年金未加入問題への対応と、与党と取り交わした「3党合意」について、党内から厳しい批判の声があがっています。私は、未加入問題と3党合意は切り離して考えてほしいと思いますが、党内情勢は、なかなかに厳しいものがあります。

 代表の未加入問題についての大方の意見は、次のようなものです。
1)江角さんや、未納3兄弟を厳しく攻撃していたのに、自分も同じ状態と判ったら、先ずは不明を恥じるべきで、代表の発言は、釈明や開き直りに終始していて、見苦しい。日本の美学に反する。

2)福田官房長官に先を越されてしまった。むしろ、先に辞めるべきだった。辞めるタイミングを間違った。

 いずれもごもっともな意見で、私も同感です。率直に意見も申しあげました。

 3党合意については、私も執行部の一人ですので、白紙に戻すのであれば、これは執行部として責任をとって、参議院幹事長を辞任いたします。ただ、3党合意については、必ずしも、その意味が理解されていないように思います。

 年金改革の政府案は、数年以内に見直しが必要になる内容で、決して「百年安心」と呼べるような代物ではありません。現行の年金制度は不信の塊のようになっています。誰も、穴の開いたバケツに喜んで水は入れないでしょう。新しい年金制度を創設する以外に、解決策はありません。その場合は、民主党が提唱した「所得比例年金と最低保証年金」を組み合わせた年金制度となるでしょう。したがって、政府案にはあくまでも反対であり、民主党案を放棄した訳ではありません。

 衆議院での年金審議は、閣僚の未納問題や、社会保険庁の年金積立金流用問題、さらに、中医協の贈収賄事件と日本歯科医師連盟からの自民党議員への献金問題、さらには、厚労省職員の監修料受け取り問題と、スキャンダルが続出し、いずれも重要な課題なのですが、年金改革に関する議論に集中できませんでした。また、民主党が年金改革法案を提出したことによって、与野党が互いに相手の案を批判することに偏りがちでした。4月25日に3つの衆院補選があったことも、影響しました。

 そのような状態にも係わらず、与党は、中央公聴会も地方公聴会も開かないままに、強行採決です。与党議員は、「これまでも必ずしも公聴会を開いてきたわけではない。審議時間も、これまでの年金審議の時より長い」と、正当性を主張します。しかし、政府案が成立すれば、今後は年金法案の審議は国会では予定されませんし、何より、年金制度は、今回の未納問題でも明らかになったように大改革を要します。対案が提出されたことも加味すれば、これまでの2倍や3倍の審議があっても不思議ではありません。

 そのような状況下でも、衆院厚労委での採決は有効です。このままでは、参院でも強行採決になるでしょう。民主党内には、「それで良いのだ。国民は与党の横暴に怒り、選挙では民主党に投票してくれる」との主張が強いのですが、私は、そうは思いません。

 先の3補選で民主党は完敗しました。原因は、無党派層が投票に行かなかったためです。参院で強行採決になると、与党も、また、物理的抵抗で採決を阻止しようとする野党も、ともに支持は得られず、多くの国民は政治への関心をさらに失って、2ヵ月後に迫った参議院選挙の投票率は、一層落ち込むと思います。そうなれば、勝つのは組織力で優る与党です。

 年金制度は国民一人ひとりの生活がかかっている重要な問題です。ここは、真に国民の利益を考えて行動すべきであり、それは、与野党間で国民年金の一元化に向けた協議を続けることだと確信します。それが民主党への支持になりうると考えています。3党合意が反故になると、民主党が主張してきた国民年金一元化は、与党によって抹殺されてしまいます。3党合意は、民主党案を話し合いのテーブルにのせることができる唯一の道と考えます。

 従来の与野党協議と違って、年金改革は、学識経験者に専門委員として参加を求めながら公開の場で、与野党の責任者が議論をすべきです。これまでの官僚主導を脱し、政治家主導の年金改革を断行しなければなりません。政治の責任、政治家の力量が問われます。

 与党は、協議機関の立ち上げを参院選後に先送りし、開催も消極的ではないかと想像されます。その時は、民主党が与党を攻撃し、最終的には、衆議院選挙で、無責任な与党を敗北に追い詰めれば良いのです。多くの国民が後押ししてくれると信じています。

5月17日(月)号

 国会議員となって、これほど悲しく、腹立たしい思いをしたことはありません。国民年金未納・未加入問題への、国会議員と厚労省幹部職員の姿勢についてです。

 年金制度は確かに複雑ですし、長期に加入する制度ですから、国会議員といえども、未納・未加入が生じたのも仕方のないことです。問題は、未納・未加入が判った時に、どのように対応するかです。即座に公表し、謝罪すべきと思います。そのような対応をせずに、本会議場で政府案に賛成投票をすることは、国会議員として許されるのでしょうか。未納・未加入を隠したまま、賛成票を投じた国会議員は、良心の呵責を感じないのでしょうか。

 年金法案は、これまで5年に一度、国会で審議されてきました。その採決の際も、未納・未加入議員が多数存在していたわけですが、今回の改正法案の審議では、ことのほか年金の未納・未加入問題が焦点になっているのです。当然、自らの加入状況を調べるべきではないでしょうか。

 公明党の代表、幹事長、政調会長の「未納三役」や、自民党の橋本龍太郎元首相や丹羽雄哉議員ら厚生大臣経験者も、衆院通過後に未納・未加入を発表しています。国会でのこの有様では、国民に「政治を信用せよ」と言っても無理な話です。この際、衆議院も解散して出直すしか途はないと考えます。

 私が腹立たしい思いを募らせているのは、森、谷畑の両厚生労働副大臣が、自らも未納と知りつつ衆院の委員会で答弁を行い、本会議で賛成票を投じ、そのあとに、森副大臣によれば、「タイミングを見計らって」公表したことです。この行為は、国会審議を侮辱するものであり、国民を愚弄する行為です。即刻、議員を辞職すべきです。

 副大臣は、「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」(平成11年7月30日)によって、「その機関の長である大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長である大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行するものとする」とされ、任免は「その機関の長である大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証するものとする」とされています。 
 この規定に従えば、両大臣の言動は、坂口大臣の言動でもあるのです。坂口大臣が、両副大臣にも未納期間があることを採決後まで知らなかったとは、私には信じられません。知っていなかったとすれば、監督不行き届きであり、その責任を坂口大臣は取るべきです。もし知っていたままに答弁をさせていたのであれば、坂口大臣の罷免を要求します。

 厚生労働省の官僚も問題です。3月22日に、江角さんの未納問題が指摘された時、あるいは遅くとも、閣僚や国会議員の未納問題が問題化し、4月23日に3大臣(石破防衛庁長官、麻生総務大臣、中川経済産業大臣)が未納を公表した時までには、少なくとも現職の厚労大臣と副大臣、さらには、それらの経験者に未納・未加入が発生していないかどうか、チェックしたはずです。
 「個人情報だから、チェックはしていません」と釈明するでしょうが、事務方と大臣や副大臣との間で、「私はどうなっていますか」とか「大臣の納入記録を確認しましょうか」といった会話があったはずです。なかったというのであれば、それも職務怠慢ですが、官僚も、大臣らの未納・未加入を知りつつ、黙っていたとすれば、これもまた国民を愚弄する行為ではありませんか。

 私は国会議員となって、10年近く厚生委員会で活動してきました。年金法案も、今回で3回目です。

 「給付を下げない。保険料を引き上げない」という両方の要望を同時に満たすことは困難です。民主党は、解決策として、税金の投入割合を増やすこと、一律の給付カットをやめ、高額年金者には、年金額をより減額することに理解してもらうこと、最低保証年金は絶対に維持することなどを、提言してきました。
 そして、年金問題は与野党で協議して取り組むしかないと超党派勉強会を立ち上げ、その運営上の反省に立って、理解されていないので不評ですが、「3党合意」を推進し、冷静に年金問題を与野党で議論することを提案しました。

 森、谷畑厚労副大臣の未納問題を早期に措置することを進言しなかった厚労省職員の不誠実な対応は、国会審議の混乱を期待し、こうした私たちの取り組みを否定したと同然です。「年金問題は、素人の国会議員には任せられない。優秀な官僚が取り扱う問題だ」との意思表示と受け止めています。

 「厚労省、しっかりしろよ」と言ったときに、薄ら笑いを浮かべた厚労省幹部の顔を、私は一生忘れないでしょう。

今週の「なんでやねん?!」

* 総理は「40年前のことなど覚えていない」と仰いますが、ならば、なぜ社会保険庁で国民年金の加入や納入状況を調べないのですか。40年間の年金加入で、初めて満額となることをご存知ですか。40年前が大切なのですよ。

* 総理は「払うべき時は払っている」と主張しますが、その「払うべき」期間に、20歳になった浪人時代の3ヶ月は確実に含まれます。ロンドン留学から帰国された直後の数ヶ月は、議論が分かれるでしょうが、選挙に出るための帰国であったならば、現住所、すなわち住民票は、日本にあったと考えるのが自然です。とすれば、この間も未加入で、法律違反です。未加入、未納期間があったことが問題なのではありません。事実確認を拒み、公表しないことで、国民に結果的にウソをついていることが問題なのです。

* 国会議員は配偶者と年金や健康保険の話はしないのかな。それも不思議です。

* 田原総一郎氏が、自らも年金未納だったと発表。「他人を追及する前に自分のことを調べなかった。今後もがんばることで責任を果たしたい」と釈明。先週の番組で菅代表に、「人を厳しく責めた人が未納だった。代表を辞めるべきだ」と激しく迫った人が、公明党の未納三役の方々と同程度の釈明で、幕引きを狙う。それでいいのですか、田原さん!

* 年金「未加入」問題から視線をそらせるため、小泉総理は、北朝鮮訪問を突如発表。準備は十分ではないようです。手ぶらで帰っては来られないでしょうから、北朝鮮に足元を見られたような交渉になるのではと心配します。小泉さんは相変わらず、国益より、選挙での勝利や、個人的利益を優先しています。

* ブッシュ大統領は、イラク人による民間のアメリカ人の殺害を「残虐」と非難し、「正当化する理由はない」と述べましたが、アメリカ軍によるイラク民間人の殺害、劣化ウラン弾の使用は正当化できるのでしょうか。戦争を早期に終結させるべきです。そうでなければ、6月30日の政権移譲は難しいと思います。委譲後も米英軍主体では、イラク人は納得しないでしょう。

5月31日(月)号

形ばかりの地方公聴会の開催

 参議院での年金法案は、5月12日の本会議質疑で始まりましたが、自民・公明の両党は、今週6月3日にも参院厚労委での採決を強行しようとしています。総理が来週8日からサミットに出かけるので、その前に片付けておきたいというわけです。

 そこで、今日5月31日には、地方公聴会が開かれます。この地方公聴会は、重要法案の審議の際に開かれるもので、国会内での議論だけではなく、広く国民の意見を聞くという趣旨で開かれます。野党は、いまだ審議が深まっていないので時期尚早と反対したのですが、委員会で採決の結果、与党の賛成多数で開催が決定されました。

 さて、ここで質問です。地方公聴会の開催場所はどこでしょうか? 答えは新横浜。会場は新横浜プリンスホテルです。新横浜駅に隣接しています。東京から新幹線で15分。新幹線でなくとも、完全な東京通勤圏です。これでも地方公聴会ですか?

 与党の皆さんは、「公聴会も開催しないで強行採決した」との批判をかわすため、形だけの公聴会開催にこだわったということです。しかも参加する国会議員は、各党の理事だけで、私も参加できません。

 公聴会に出席くださる方々に国会に来ていただいて、委員全員が公述人の意見を聞けるようにすれば、公聴会開催の趣旨も生かされるし、経費も人手も大幅に抑えることができると思うのですが・・・・・・。

 与党の見え透いた魂胆は、国会の権威を貶めるだけです。永田町の常識は、世間の非常識。「脱永田町宣言」を実行しなければなりません。

厚労委員会で質問します

 明日、6月1日には、参院厚労委が開かれます。質問予定者にお願いして質問時間を割いていただいて、2回目の質問をします。

 今国会での年金審議は、森、谷畑の両副大臣が年金未納で、しかも、その発表を意図的に遅らせたため、責任追及に時間が取られ、年金法案本体の審議時間が不足しています。明日は持ち時間が40分しかありません。坂口大臣も、参院選後は内閣改造で交代されるでしょうから、坂口大臣あての質問も最後かもしれません。そんな思いで、質問します。

 質問内容は、次のとおりです。

1)人口動態が年金財政には大きな影響を与えるが、政府案では将来の生涯特殊出生率は1.39まで回復することを前提にしている。毎年、6月には前年の統計数字が発表されるが、今年はいつか。その内容は如何に。一昨年は1.318だったが、昨年は、恐らく1.30を切っているのではないか。

2)経済動向は、賃金上昇率2.1%、物価上昇率1.1%が続くと想定しているが、この数字は現実的か。物価は上がっても、賃金は海外に安価な労働力が存在すると、思うように上がらないのではないか。

3)こうした人口や経済の前提を置き換えての年金財政再計算は、実は行われていない。行われているのは、政府が想定する前提による推計ひとつだけ。信じられますか? でも、本当です。

4)社会保険庁の職員は国家公務員だからというわけでもないでしょうが、年金制度の運営合理化やコスト削減には無頓着のようです。長官を民間人にしただけでは、運営は良くなりません。もっと外部の、特に年金受給者や年金保険料を負担している者の代表者が運営に参加すべきです。

5)社会保険庁の徴収部門と、国税庁の徴税部門の一元化を実施すべきです。私も、国会議員になる前に、奨学金の返還滞納者への督促業務を担当しましたが、一件の処理に相当時間がかかります。業務を合理化しないと、年金保険料の収納率向上は不可能です。

6)所得に比例した「年金保険料」と、「所得比例の年金目的税」とは、何が違うのでしょうか。

 この他にも、一杯質問事項はあるのですが、時間切れでしょうね。残念。国会の形骸化が指摘されて久しいと思いますが、与党の皆さんは、そんな指摘を無視し続けるようです。嘆かわしい限りです!

今週の「なんでやねん?!」

* 「お世話になったから、お墓参りに行きたい」と総理が語った「太っ腹の社長」は、92歳でご存命でした。
* 総理はご自身では、大学に1浪か2浪か、はっきりしていなかったようです。「友達に言われて、20歳の時は大学1年生だった」と訂正。

 ともに、笑えないギャグですが、国民は拍手喝采しているのでしょうか。依然として高い支持率です。

6月6日(月)号

 「誰のための、何のための国会審議か。誰のための、何のための国会議員か」。
 年金法案の提出者である政府の閣僚を含めて、すべての国会議員が自らに問い、国会議員として恥じない行動を取るべきです。恥ずかしさと情けなさ、申し訳ないとの気持ちを込めて、このメルマガを書いています。

 国会議員となって10年。私も強行採決を何度か経験しましたが、締めくくりの総括質疑、しかも総理が出席しての質疑を途中で打ち切って強行採決がなされるとは、予想もしませんでした。国井・参議院厚労委員長の問責決議案が審議された4日の参議院本会議で、与党席から「(そんな予想は)甘い!」と野次が飛びましたが、共産党、社民党、無所属の西川きよし委員と3人もの質問権を奪うやり方はひどすぎます。

 国会議員は、身分や地位に連綿としてはいけないと思います。森、谷畑の未納副大臣が早く辞任すれば、参院での審議時間の多くが、本来の年金制度の議論に振り向けられたはずです。潔く辞任すべきでした。未納閣僚に辞任が波及することを恐れたのでしょうが、両副大臣は、保険料納付の事実確認を怠り、しかも、未納の事実を知りつつ、厚労委員会で答弁していたのです。他の未納閣僚や国会議員と、立場が本質的に異なります。

数で劣る野党に与えられた戦術

 数に頼んで横暴な国会運営に走る与党に対して、数で劣る野党が採れる手段は限られています。欠席戦術、そして牛歩や、実力行使等の「物理的抵抗」には限界があり、国民世論も支持しないでしょう。徹底審議しか、野党の抵抗手段はありません。
 
 4日の国井委員長解任決議案に対する、森ゆう子議員の提案理由説明と、大塚耕平議員、共産党の井上美代議員の賛成討論は、優れた長時間演説でした。テレビなどは、森議員が「身の上話まで始めた」と、些細な部分を取り上げて揶揄しますが、法案の問題点や、国井委員長の横暴な委員会運営指揮を糾弾するために、2時間も、3時間もずっと立ったまま演説を続けたことは、賞賛に値します。私には、そんな長時間演説の自信はありません。

 国会の閉幕まで、残すところ10日あまり。横暴な議長や委員長の下での審議などできないという意見が、民主党内でも多数を占めるでしょうが、野党が審議拒否を続けても、自民党と公明党だけで審議をして(場合によっては審議を省略して)、すべての法案を成立させるでしょう。与えられた質問の機会を最大限に活用して、問題点を明らかにする努力を続けるべきです。

 蹴られても、踏みつけられても、政府・与党に論戦を挑んでいく。それが、野党に残された唯一の、そして最大の攻撃手段だと、私は思います。

年金法案の骨格を知らなかった小泉総理

 6月4日、参院厚労委で年金法案が審議され、総理に対して質問しました。

 年金改革のテーマは、(1)増える負担を、国民がどのように担うか。(2)給付増の抑制を、高齢者に、どのように理解してもらえるかに尽きます。

 今回の法案の最大の柱は、「マクロ経済スライド」という、給付の実質的な15%カットです。このことを総理は知りませんでした。 「そんな細かなことまで答えなければいけないのか」「私は経済の専門家ではありません」とか言って、お得意の、はぐらかしや、逃げの答弁を続けました。質問している私の方が、呆れ果てて、笑ってしまいました(そんな場面が放映されましたが)。

総理の国民年金未加入問題の本質

 総理に対する質問の、もうひとつのポイントは、総理の国民年金加入歴の問題です。父親の急死を受けて、急遽ロンドンから帰国し、総選挙に立候補して落選。そして、三福不動産の社員として厚生年金に加入するまでの8ヶ月間は、明らかに加入の義務があります。

 総理は、当時は知らなかったと言い逃れようとしましたが、私が問うているのは、当時の認識ではありません。国会議員の年金未加入・未納問題が焦点となるなかで、なぜ、総理は自らの加入歴、納入歴を確認しようとしないのか。確認しないままに、国会で「払うべき期間は、払っていた」と、結果的には「ウソ」の答弁をしていたということです。

 最終的には、「不明を恥じる」と、納入義務があったことを認めましたが、国会での答弁を非常に軽く考えている総理。そして、「それも総理のキャラクター」と、気にも留めない報道機関と国民。

 かつて日本が、戦争の泥沼に入り込んでいった過程は、今日のような姿だったのではないか。背筋が凍るような思いです。

6月23日(月)号

いよいよ明日から、参議院選挙が始まります。

 今回の参院選は「国民主権回復選挙」です。小泉総理は長期政権の驕りから、年金法案では、「人生いろいろ」と軽口で答弁し、出生率低下などの重要情報の発表を遅らせました。イラク派遣自衛隊の多国籍軍参加も、国会審議抜きに独断で決定しました。

 国会軽視、国民無視の小泉総理が「ぶっ壊す」のは自民党ではなく、公的年金制度、日本社会のモラル、民主主義です。
国民の手に政治を取り戻し、安心と平和を築くため、民主党へのご支援をお願いします。

またまた資料隠し 厚労省の悪癖

 年金改革の前提なる合計特殊出生率のデータ発表を巡って、またもや厚労省は、情報隠しに走りました。

 薬害エイズ事件で、厚生省のロッカーの片隅から、「探しても見当たらない」とされたファイルが、突然に「発見」された時と、同じ構図です。

 政府の答弁書によれば、5月24日には、担当課長から、情報統計部長に報告されたとのこと。遅くともこの時点で、1.29の数字は省内で共有されていたはずです。
それまでの出生率の低下傾向を踏まえれば、1.29は別段に驚くべき数字ではありません。しかし、年金法案の審議には大きく影響する数字です。

 したがって、厚労省の担当者が心配したのは、少子化の傾向がさらに強まっていることではなくて、数字が持つ政治的意味だったことは明らかです。

怒りの矛先が違いませんか 坂口さん

 坂口大臣は、6月10日の参院厚労委での私の質問に「私もまだ報告を受けていない」と答弁しました。しかし、既にその時点で、隣に座っている年金局長は担当者からの報告を受けていました。要するに、厚労省側で知らなかったのは、坂口大臣だけだったのです。

 坂口大臣は「マスコミに先に漏らすとはけしからん。関係者を処分する」と発言しましたが、私は「処分すべきは、発表を遅らせた者ではないか」と切り返しました。

 発表の遅れを厚労省職員は、「分析に時間がかかった」と言い訳しましたが、自分たちに都合の良い説明の仕方を考え出すのに時間がかかったということです。統計情報は、国民共有の財産であって、厚労省職員の私物ではありません。

さらなる調査を求めます

 厚労省の集計担当者が1.29の数字を手にした日時は判らないと、答弁書にはあります。
このメルマガを読んでいる厚労省職員に言いたいのですが、私は、この答弁には納得がいきません。

 数字の集計は、大型コンピューターで行なっているとすれば、コンピューターを何月何日に、どのような業務で稼動させたかは記録があるはずです。もっと単純には、1.29の数字が打ち出された用紙には、日付がプリントされているはずです。

 再調査をして、明確な答弁を求めます。