vol.19 2004年11月〜12月
11月8日号
三位一体改革を巡る混乱
11月1日、大阪府知事と「三位一体の改革」や来年度予算編成について意見交換。
三位一体の改革について、中央では自民党の族議員が、選挙の集票で威力を発揮する業界団体と一体となって補助金の廃止に反対。厚労省の幹部も、「地方にお金の使い方を任せたら、必要なところに使わずに、他の目的に流用する」と、これまた補助金廃止に反対しています。知事サイドは、厚労省が補助金廃止の代案として示した、生活保護や国保の補助率削減に反対し、知事会の原案通りに、補助金の廃止を訴えました。
私は、厚労省の心配も判るし、知事らが、国が統一的な基準に基づいて実施している生保や国保について、その国庫補助率の引き下げに反対するのは当然だと思います。しかし、意見交換を通じて、中央と地方の両政府に、三位一体改革についての認識が共有されていないと感じました。
例えば、「地方自治体が経費削減に努力すれば、中央からの交付金が減る。これでは、意欲が湧かない」という地方自治体の受け止め方です。三位一体改革は、中央も地方も、歳出削減を行なおうというのが趣旨でしょうから、何を減らすのか、どう減らせるのかを、地方自治体の側でも提案する必要があるのではないでしょうか。
三位一体改革の最大の問題点は、地方自治体間の財政力格差によって、各種の施策に地域間格差が生じることです。例えば、東京都では乳幼児の医療費が無料化されていますが、今後は、負担が少なくて、より良い自治体サービスのある自治体に向けて住民が移動するということが起きるのではないでしょうか。
二極分化が社会のあらゆる側面で進んでいますが、「国土の均衡ある発展」を過去のスローガンにしようとする中央の流れ、すなわち、住民サービスにおける二極分化を容認せざるを得ないのであれば、地方自治体の長には、厳しい現実を受け止める勇気と、「地方の時代」を切り開くビジョンと実行力が求められています。太田知事、頑張ってください!
地震被災者の自宅再建支援
地震で我が家を失った人たちの再建支援。税金を個人財産の形成に使うことは出来ないと政府は主張。民間の地震保険は保険料が高くて、加入者は増えません。
そこで、政府主導で全国民加入の地震保険制度を構築すべきと提唱します。国民は、世帯や個人単位に毎年少額を拠出します。地方自治体が加入主体でも良いでしょう。政府は、再保険をします。多額の支出を要する災害が発生して拠出金が不足したときは、政府が国債を原資に不足金を支出し、その後の拠出金で返還します。自賠責と同じ構成で、地震の被害に全国民で備えるという案です。どうでしょうか。
今週の「なんでやねん?!」
* 予想通り、ブッシュが勝った。ケリーに輝きがなかったし、対テロ、景気対策で明確な対案を示せなかった。何より、戦争を始めた大統領を辞めさせるという選択は、多くのアメリカ国民には出来なかったのではないか。以前、アメリカを旅行した時、ワシントンやニューヨークに行ったことがあると言ったら、「私は行ったことがない」との言葉が返ってくることが多かった。そんな人たちが、ブッシュの「アメリカ」を支持したのだと思う。
* 共和党と民主党の違いが見えない。自民党と民主党の違いも見えない。人権や環境は民主党の御旗と言っても、与党も環境税の導入を打ち出したりする。政権獲得後を考えると、無茶苦茶なことも言えない。結局のところ、自民と民主の差は、無理に作る必要はない。我が党幹部の発言だが、これは予想外。自分だけの自民党、業界団体の利益擁護の自民党と、みんなの民主党、市民に視点を置いた民主党。この差は大きいと思うのだが、自民党内、民主党内の幅の広さが、両党の違いを不透明にしているのも混乱要因だろう。
* 予想通り、楽天が選ばれた。堀江社長がポロシャツで登場した時点で、運命は決まってしまった。でも、仙台の若者にはライブドアー支持派が多い。オーナー族の思惑を阻止した行動力、権力に毅然として立ち向かう堀江社長の姿が評価されているのだろう。仙台の若者は私に、大学紛争当時の熱い気持ちを思い出させてくれた。楽天の三木谷社長には、ビジネスマンとしての実力を発揮して、旧いプロ野球オーナー達を打ちのめして欲しい。
11月23日号
尾辻さんは、厚労大臣ですか?
こりゃ、大変な厚生労働大臣が誕生しました。尾辻厚労大臣のことです。尾辻さんは、2年間だったか、世界を放浪したことがあるという経歴を持つ政治家として有名で、私は、“庶民派”ではないかと期待していました。でも、見事に裏切られました。
尾辻大臣の答弁は、まるでウシさんとカエルさんが面白いコントを展開する「パペット・マペット」のようです。尾辻さんのぬいぐるみを取ると、下から小泉総理か竹中大臣、あるいは谷垣財務大臣が現れる! そんな感じです。
古川元久代議士は小泉改造内閣を「財務省シフトの内閣」と看破していました。11月16日に参院厚労委で初めて尾辻厚労大臣に質問して、私も「尾辻さんは、厚労大臣ではない。小泉さんの分身だ」と実感しました。以下、答弁ぶりを紹介します(要旨です。詳しくは、後日公開される国会の議事録をご覧ください)。
尾辻大臣の「自立」について
山本) 尾辻大臣は「社会保障構築のキーワードは自立」と言っている。自立は、「他の援助を受けずに物事をやっていくこと、自力で生活を立てること」という意味だ。厚生政策の最高責任者が自立を強調するのは、「社会保障に頼るな」と言っていると受け止めてよいのか?
尾辻) 自立していただきたいと思っております。
山本) 自立支援と言ったほうが良い。いろいろな生き方ができるように選択肢を準備するのが厚労省の役目だ(社会保険や社会保障制度の運営責任者としては、自助よりも共助を強調すべき立場なのではないかと、思うのですが)。
年金法案の柱について
山本) 政府・与党が成立させた年金法案で、今後は、保険料の収入の範囲内で給付を賄う、保険料収入が少なければ給付は自ずと下がると決めたのですね。
尾辻) その通りです。
山本) 保険料収入が不足すれば、給付水準を例えば47%に下げるとか、年金支給開始年齢を67歳などに引き上げて、収支のバランスを取るということですね。
尾辻) その通りであります。
社会保障費の伸びの抑制について
山本) (年金はマクロ経済スライドの導入によって、GDPの伸び率の枠内に収めるという手法を厚生省は使った。年金と同様に)医療や介護の給付費の伸びを、GDPの伸び率のなかに納めることは可能と考えているのか?
尾辻) 医療給付費の国費負担は現在26兆円。2025年には59兆円になるが、GDPの伸び率の範囲内だと38兆円に納めなければならない。何とか可能にしなければならない。
その他の主な質問事項です。
○ 混合診療の解禁で低所得者が高度先進医療を受けられないという事態にならないか(厚労省は、保険給付費の抑制という狙いから、高度先進医療への保険適用を遅らせるのではないか)。
○ 介護保険で軽度者への給付を抑制するという考えを拡げれば、医療保険で風邪などの「軽度者」を医療保険の給付から外すということにならないか。介護保険も医療保険と同様に、自己負担が2割や3割にならないかと尋ねたが、「(経済財政諮問会議などから、そういうプレッシャーは掛かっているが、)少なくとも近い将来においては、そのことは考えていない」という答弁でした。
○ 生活費保護費の国庫負担率削減に関しては「地方への裁量を大きくして、国庫補助率が下がるなかで、地方が特色を活かして実施主体としての仕事をして欲しい」との答弁が返って来ました(国が一律の給付基準を決めている生活保護制度だから、地方自治体が裁量を働かせる余地はないはずだが)。
今週の「なんでやねん?!」
* イラク問題についての、この人の発言は必ずフォローしなければと思う。酒井啓子さんだ。先日もNHKの日曜討論に、藤原帰一・東大教授とともに出演。両名とも、なるほどと肯く話を展開されていた。一緒に出演の前首相補佐官・岡本行夫さんもファルージャ攻撃には反対を表明。米軍のファルージャ攻撃の正当性を問われた町村外相は、「他に選択肢がありますか?」と開き直った。そりゃ、返答に窮したときの捨て台詞。町村外相、あんたの負け! 山崎拓さんや川口前外相ではなく、酒井さんや藤原さんに首相補佐官就任を依頼すれば良いのにね。
* 国立成育医療センターを訪問。大人用のベッドに、まるで枕が置いてあるかのように横たえられた小さな身体。「新生児の集中治療施設は、3床あれば保険適用となることから、小規模の医療機関が全国展開された。今後は、治療実績のある医療機関に如何にして集中するかが課題。どれだけ小さな未熟児を救ったかを競うのではなく、障害が残る程度も考慮しなければならない」と医師。彼の言葉が重く心に残る。マクドナルドハウス(入院患者の家族用宿泊施設)も見学。大阪で建設反対運動が起こったのは、誠に残念だった。
12月1日号
古川元久代議士の地元の講演会で講演。参加者から、こんな質問を受けました。
「国会で、野党は同じ質問を繰り返すのではなく、事前に野党間で質問内容を調整し、与党を追い込んで欲しい」
私は、「他の野党と、事前に質問内容を調整することは困難ですが、民主党内の議員同士であれば、例えば、衆議院での民主党議員の質問を読んでから、参議院で質問するとか、参議院の委員同士で、事前に質問内容を調整することはできます」とお話ししました。
委員会での質問時間は、原則として、政党ごとに所属議員数に応じて決められます。民主党は所属議員が多いので、質問時間が長く、複数の者が質問することが多くなります。したがって、法案審議の時などは、前の質問者と調整しておかないと、自分が用意した質問を、先の質問者が全部してしまって、真っ青ということにもなりかねません。
何より、限られた時間内に、法案の問題点を解明したり、法成立後に定められる政省令の内容を政府側に説明させて、官僚による法案の恣意的な運用に歯止めをかけたりしなければならないので、質問者同士で事前に質問事項を調整することは重要です。
臨時国会が終わりましたが、「また、同じことを質問している」と思うことが、残念ですが時々ありました。私は、それまでの政府答弁に対して補足説明を求める場合を除いて、すでに出た質問を繰り返すことはしません。質問時間が惜しいからです。そして何より、他の議員が質問していない事項を見つけて質問する、独自の切り口で質問を考える、それが私にとっての「議員のプライド」なのです。
質問時間の消費を狙っているのではないかと思えるほどに、だらだらと答弁する官僚。自説を述べるばかりで、質問をしない与党議員。官僚の書いた答弁書を、ただ読むだけの大臣。質疑応答の充実こそ、国会活性化の道です。さぁ、通常国会での質問に向けて準備を始めよう!
今週の「なんでやねん?!」
* 対中国ODAの打ち切りを巡って、日中双方で政府要人の発言が飛び交っている。今秋、参議院はODA現地視察団を、中国を含む6カ国に派遣。その報告書で中国班は「ODA不要」を打ち出した。これまで参議院は、多くの海外視察議員団を派遣したが、その報告書の概要が本会議場で報告され、政府の政策内容に踏み込んで注文を付けたことはない。中国側からは継続を求める動きがあるようだが、対中ODAが縮減されれば、今回の視察団報告は、参院史上に残る大事件として、記録に残るだろう。
* 女性の育児休業取得率は64%と厚労省。「そんなに高い?」と聞けば、現在、育児しながら働いている人を対象に、前年度に育児休業を取得したかを訊ねた結果だそうだ。育児休業を取る前に、7割近い女性が退職しているという現実を反映しない数字を用いて、育児休業を語る厚労省って、いったい何なんだろう。
* 同様に、保育所待機児童が減ったという。これまでは、無認可保育所入所者を、認可保育所へ入所を待つ待機児童として数えていたが、今度は数えてないと言う。では、無認可保育所を厚労省は認めたのかと聞けば、そうではないという。この理屈は理解不能。
* 育児休業法が改正され、原則として1歳6ヶ月まで取得できることになる。だが、公務員は3歳までとなっている。介護休業も民間は通算して93日。公務員は、要介護状態となるたびに、連続する6ヶ月間の取得が可能。この官民格差は、許容範囲を超えている。なぜ公務員は休業が取得できて、民間ではできないのか。その原因の解明作業が不可欠だ。
12月13日号
参院厚労委の視察で、12月8日、9日の両日、山形県・福島県に出かけました。与野党議員が、医療や福祉の現場を視察し、その場で意見交換をします。とかく批判のある議員視察ですが、参院厚労委の視察は、今回も有意義でした。
次期通常国会で改正法案の審議が予定される介護保険に関連して、新設の老人保健施設・特別養護老人ホームを見学。施設の理事長は、「多動性の痴呆性高齢者を家庭で介護することは困難で、施設での介護が望ましい。グループホームが喧伝されているが、デンマークのように、1対1の介護が出来てこそで、日本のように施設職員が少ないのでは、逆に痴呆が進む」と説明。
職員の給与面での処遇が難しいとの訴えもありました。「介護報酬における職員人件費の評価が低いので、介護職員に支払える給与総額が少ない。若い職員が多いので、毎年、給料をアップしたいと思っても出来ず、勤労意欲が低下するなどの問題も起きてくる。ぜひ見直して欲しい」と訴えられました。確かに、職場は若い介護職員ばかり。新設の施設での職員待遇は、難しい問題だと感じました。
山形県総合養育訓練センターでは、障害児の重度化への対応が求められているにもかかわらず、施設はかつての障害児の入所施設のままです。気管切開し人工呼吸器を装着している子どもたちへの療養環境としては改善が望ましいのですが、「予算難で困難」と、施設長。三位一体の改革で、こうした福祉施設の整備費はどのように確保されることになるのでしょうか。しっかりフォローしなければなりません。
福島県の女性のための相談支援センターは、配偶者からの暴力による被害者の、いわば駆け込み寺。県で募集したボランティアも一緒になって、ひとり一人に細やかな対応をされているのが判りました。裸足で駆け込んできた人や、外国からの農村花嫁、障害があるために家庭内暴力の被害に遭った人なども来たそうです。
DV法が改正され、売春防止法に基づく婦人相談所の機能の見直しや施設の建替えが検討されてもいます。今回視察した福島県のような施設が、全国に展開されるのを期待します。
懇談した福島、山形の両知事から異口同音に要望されたのが、医師不足の解消です。福島県では、人口1万2千人の地域なのに、車椅子に乗って診察にあたる高齢の女性医師がいるだけという地域もあるそうです。
医師養成については、今後は医師過剰時代になるとの見通しに立って、医学部定員を削減。医療費の多寡と医師数には相関関係があることから、厚労省も医師数の抑制に賛成の立場です。その一方で、卒後研修の見直しもあって、過疎地の医師不足、特に小児科医の不足は深刻です。社会主義のようだと批判されるかもしれませんが、多額の税金を使って養成する医師については、一定年数、国や県が指定する地域での診療活動を義務付けても良いのではないでしょうか。
宿泊先は、年金積立金で建設した休暇センターです。年金福祉施設の処分問題を、宿泊しながら議論しようとの趣旨です。まず売却ありきではなく、これ以上に年金資金を毀損させないようするには、どのような方策があるのか、関係者を交えて意見交換をしました。
12月19日号
来年度予算編成を目指して、慌しく事が進んでいきます。
混合診療の解禁を巡って
厚労省は、治験段階の未承認薬を使っても混合診療として認めるという。推進派の小泉さんの顔を立てないと、問題が収束しないことを睨んで、厚労省が持ち出した妥協策だ。
しかし、イレッサという肺ガン治療薬は、承認が急がれたために、副作用で大勢の患者が死亡した。このことを忘れてはいけない。アメリカのFDAが、承認を急いだために、副作用での死亡例が続いたことが事件化している。「未承認薬を使ってでも」という患者の気持ちは判るが、もし使用するのであれば、インフォームドコンセントをしっかりとしていただきたい。
政府の規制改革推進室は、大学病院などでは混合診療を全面解禁しても良いのではと言う。大学病院での医療事故が続発して(解禁に反対する厚労省がリークしたかな?)、推進派は矛を収めるようだが、もし解禁となるのなら、その病院での治療実績や、担当医が手がけた症例数や治療実績などを公表した病院だけに限るなど、医療に関する情報を徹底的に開示している病院だけを対象にするべきだ。
こうした情報を市民に公開しない医療機関に、混合診療を解禁する必要はない。
社会保険庁の運営経費の財源
社保庁の運営経費を保険料から出すか、税金から出すか。どちらであっても国民負担総額は同じ。もちろん、保険料と税金では、負担する人が変るが、どちらでも、理屈はつく。
私は、保険料であった方が国民の監視の眼は厳しいのではないかと思うが、税金で賄う部分も含めて、誰が見ても使い道がわかるような「予算書」を作成して説明してほしい。年金会計は特別会計なので、本予算のようには国会で審議されていない。もちろん、このことは問題だが、それが現実だ。しかも、国民年金特別会計と厚生年金特別会計がごっちゃになっている。
来年度予算書が、今年と同じように判りにくい編成だったら、村瀬長官は懲戒免職だ!
ODA予算のあり方を巡って
ODAの中期政策を巡る外務省主催の「公聴会」が大阪市東淀川区で開催され、参加した。参加者からは、「中期政策」の記述を巡って、修正や追加要望が出されたが、私は少し違った見方をした。
国会ではさまざまに法案が審議されるが、法案の内容を巡る審議は重要だが、法成立後に官僚が作成する政令・省令が、法律の運営内容を規定する。同様に、ODAの中期政策案を巡る議論と同時に、ODAを進めていくうえでの、国別援助計画の策定や個別プロジェクトの選定方法への民間団体の関与、プロジェクト実施後の「成果」の評価と民間団体の関与策を組み込んでおくことが、極めて重要と述べた。
12月26日(日)号
04年最後の「蝸牛のつぶやき」になりました。ご購読ならびにご意見をいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
民主党大会を福岡で開催
12月19、20日の両日、民主党大会が福岡市で開催されました。ちょっと遅ればせながら、「私の見た党大会」のご報告をします。
岡田代表は、「日本の政治は歴史的な転換点にある。民主党は、国民に最も支持される政党となった。政権交代への国民の期待に応えるため、民主党の責任は重い。2005年度は、そのために根を張る、土台作りの重要な年だ。小沢代議士には副代表に就任いただいた」と挨拶。
「私も、意見を聞く柔軟性と決断力を持つリーダーになる」との発言には、場内から小さな笑い声。
政策面では、「持続可能でない財政に目をつぶって、増税をしながら公共事業を続ける」と、小泉政権を批判。必要性の乏しい公共事業からの撤退を強調。外交についても「日米同盟は大切だが、最後に“イエス”では外交とは言えない。懐の深いアジア外交を展開する」と述べました。
岡田代表は、既得権の撤廃や説明責任を果たすことを、国政だけでなく、党運営にも求めるという姿勢で、「金権腐敗の自民党と民主党を比べたら、雲泥の差がある」と言う。これが、民主党の政権戦略の柱の一つにもなっています。
しかし党内外で、こうした党改革の姿勢や「党の基盤を強化する1年」という発言は、当然のことだし、外部に公開されている党大会で、わざわざ触れる必要のないテーマだし、「盛り上がりに欠けた党大会だった」「まるで会社の株主総会みたいだ」と、批判する声があります。
岡田代表にすれば、「既定の路線を突き進むだけで、現時点では、あえて付け足すことはない」と考えたのでしょう。実務家であり「堅実な経営者」としての岡田代表の性格が表れた挨拶だったのではないでしょうか。「もの足りない」との声を耳にしますが、岡田代表の発言内容を実現することは並大抵ではありません。大言壮語の、またマスコミ受けするような発言だけがいいとは思いません。でも、こんなことを言うと、「政治音痴」と批判されるでしょうね。
北九州市のホームレス自立支援策を視察
福岡市での民主党大会の後、民主党ホームレス自立支援PTの国会議員8名で、北九州市ホームレス支援機構(奥田知志理事長)を訪問。自立支援住宅、自立支援センターの視察と、意見交換を行ないました。
奥田理事長は大阪市西成区での活動経験もあります。「ホームレスとハウスレスは違う(なるほど! 目からウロコの落ちる思いでした)。ハウスレスは物理的問題で、法的な対応も可能だが、ホームレスとなると、自立の意欲を持つに至るまでが一苦労。まずは、関係作りが大切」と、ホームレス自立支援の基本的な姿勢を指摘されるなど、示唆に富んだお話を伺えました。
また、北九州市では、民間アパートに入居できるように支援体制が整備されたり、市役所や小学校に近接した場所に自立支援センターを開設されたりしています。今後のホームレス自立支援策の充実に向けて、大変参考になりました。