vol.2 2002年1月~2月
2月24日(日)号
小泉改革で放置される失業者
18日、民主党大阪府連として、難波に新たに開設された「関西就職サポートセンター」を視察。200台のパソコンが並んでおり、毎日2千人が訪れているとのこと。
求人側と求職側のミスマッチは、年齢、賃金、職種、能力が障害となって起きています。民主党は、採用時における年齢差別禁止法の制定や、職業訓練による転職支援に力を入れています。私は、それらの措置とともに、高齢者の再就職の際、賃金の低下を補填する「高齢者再就職給付金制度」の、「若年者版」はできないのか検討しています。
22日に開かれた民主党政調と連合との政策協議の場で、ワークシェアリングが話題になりました。同問題については、政労使での協議の場が設けられていますが、草野事務局長によれば、「なかなか本音の議論にならない。政府も、具体的な促進策を打ち出す意欲に欠ける」とのこと。小泉構造改革は失業者を増やすばかりです。
障害者の雇用促進法改正の問題点を障害者団体等と議論、失業者の国民健康保険料軽減策の検討、雇用における年齢差別禁止法の検討など、雇用関連の会合が続いています。
なお、高卒者の就職内定状況の悪化を受けて、25日午前、大阪府庁にて、民主党府民ネットワークの議員とともに、関係者との協議を行います。
都市の未来像を示そう
20日、樽床代議士(NC国土交通大臣)の手配で、森ビルが手がける六本木再開発の現場を視察。昭和61年の計画発案以来、15年の歳月をかけた大開発です。東京は、汐留や品川などでも、高層ビルが林立する再開発事業が進んでいます。
一方、大阪は停滞。「大阪には戦略がない」と森社長には指摘されましたが、梅田操車場跡地の開発等で、大阪人の気概を示さなければと思います。500分の1のニューヨーク・マンハッタンと東京都中心部の模型がしつらえてあり、「いずれも昼間人口は350万人弱だが、夜間人口は150万人と60万人で、大きく異なる」との説明もありました。都市の未来像を示すのも政治の役割です。
国会は、「ムネオ、真紀子」の1週間でした。小泉総理は「言った、言わないの問題」に矮小化していましたが、核心は、政官業の癒着体質や日本外交の情けない姿を正すことです。
田中前外相が拒まれていた、外務省官房長と局長の更迭が決定。なぜ川口外相にはできたのか、不思議ですね。鈴木議員にも自民党内から離党勧告の声も出ているとか。主役を表舞台から退場させれば、一件落着と考えているのでしょうか。オリンピックも疑惑にまみれ、食肉不正は後を絶たない。気分がすさんできます。
21日、野党4党共同で、予算の組替えを総理等に申し入れ。雇用や社会保障、教育など、セーフティーネットの充実を求めました。あわせて、政官業の癒着による税金の無駄遣いをなくせと要求しています。
与党側は、予算案採決の前提となる公聴会を2月27日、28日に開催することを、採決で決定。衆議院での予算案審議は、大詰めを迎えています。
2月17日(日)号
委員会審議、全編生中継を
12日から、衆議院予算委員会での論戦が始まりました。
総理が出席しての最初の質疑は、NHKテレビの中継があります。でも、NHKテレビは、いつも同じ方向でしかカメラを構えないので、質問者の後ろ側の与党席しか映りません。野党席や、部屋の後方の席は、カメラが全体を写す ときに、ちらっと写るだけです。
それでも、テレビの威力は抜群で、ちょっと(ほんの一瞬)でも映れば、地 元から電話で「先生、テレビで見た!」となるので、意識して座っている議員もいます。さすがに、カメラに向かって手を振る人はいないようです。
残念ながら、翌日の新聞を読んでも、委員会場の臨場感は伝わりません。やはり、政治の話は、ワイドショーに限りますね。「ムネオ・ハウス」なんて、新聞じゃ迫力ないし、外務省官僚の悪い冗談としか思えない答弁も、現場に居てこそ。委員会審議を、全編生放送するテレビ局があればいいのですが、その試みは、いま中断しています。
デフレの対策はと、竹中大臣に質問したとき、竹中さんは、デフレの原因は、 「海外からの安い製品の輸入、技術革新による低価格化、国民の購買意欲のなさ」の3つだとして、対策は難しいと答えました。
それが、ブッシュ大統領が来日するとなると、対策を講じますと180度の姿勢転換。中谷防衛庁長官にいたっては、「テロ組織の壊滅のために、イラクなどを攻撃するのなら、法律を改正しなければならない」と、危ない発言をテレビ番組でしています。
ブッシュ来るで与党、即興政策
小泉+ブッシュで、日本の歴史が大きく動くかもしれません。
ブッシュ大統領は、18日(火曜日)、参議院本会議場で演説します。金大中・ 韓国大統領のときは、先に演説原稿が印刷されて配布されました。こんども同じ形でしょうから、ブッシュさんには、日本側から演説内容への注文もついているでしょうし、大統領も、日本側を刺激するような内容は避けるでしょう。
それでも、ひょっとして議場からの野次に反応して、原稿にないことをしゃ べるハプニングがあるかも? ぜひ、聴きにいかなくてはと思っています。
2月3日(日)号
残念な田中外相の更迭
「真紀子は、悪くない」。自民党のなかからも、そんな声が聞こえてきたのに、 田中外相は更迭されました。野上事務次官は「自ら辞職を申し出た」と、官僚としてのプライドを誇示(それにしても、外務官僚は、襟だけが白いカラーシャツがお好みなんですね)。鈴木議運委員長も含めて、なんで辞めさせられたり、辞めなければならなかったのか、よく判らない辞任劇でした。
日本外交におけるNGOの位置づけや、ODA予算の配分の仕方、外交機密費の問題など、肝心の点は触れられないままです。田中外相との「抱き合い心中」、「自爆テロ」を決行した野上事務次官の銅像が、外務省の庭に建つと冗談を言う人までいます。
田中代議士とは、衆議院厚生委員会でご一緒しました。私が厚生官僚の答弁に納得せずに食い下がると、「はっきり答えなさいよ」と、与党席から応援してくださいました。正義感の強い人です。納得のいかないことには、涙も出る でしょう。
小泉総理は誤算続きだったのではないかと思います。「野党が抵抗して国会審議が空転するから早く田中外相をやめさせろ」と小泉総理に吹き込んだ人がいるのではないでしょうか。そして、一度は断られた緒方さんですが、「今度は外相を受ける」という情報を流した人がいるのでは?
小泉総理が宝刀を捨てた一方で、民間枠といっても元官僚の川口環境大臣が重要ポストである外相に横滑りし、新環境大臣は橋本派から起用されました。結局、得をしたのは、官僚と橋本派という構図です。ライオン城は、外堀を埋められました。それにしても、自民党のなかに「私が外相をやる」と手を挙げた人はいなかったのでしょうか?
大橋議員の辞職ではご迷惑をおかけしました。社会のなかに様々な意見があるように、政党のなかも意見は多様です。その違いを近づけさせて、ひとつの結論に導くのが、私たちの仕事です。大橋さんには「議員という仕事を軽く考えてもらっては困る」と、お伝えします。
1月28日(日)号
21日(月)、通常国会が開会。先ずは13年度の第2次補正予算審議です。国債の償還に充てるべきNTT株の売却益を元手にした補正予算です。「小泉構造改革に反する」と攻めても、「ヘソクリが、あったんですよ」と笑いなが ら答弁する。質問に真面目に答えない姿勢は、今年も続くようです。
失業手当の支給方法を工夫したい
厳しい就職状況を体感するため、菅直人幹事長に同行して、東京・飯田橋の ハローワークへ。特許申請を行う弁理士資格を持つ幹事長は、求人情報を検索するコンピュー ターに「55歳で50万円」と入力。求人は2件ありました。でも、「実務経験が必要」なので、残念ながら面接までも行けませんでした。
薬剤師の求人が目に付きます。医薬分業が進んだため、調剤薬局での求人が 多いからとか。行政施策の変更や社会的規制の強化が、新規求人に結びついて います。
私は国会議員になる前に、交通遺児に奨学金を貸与する仕事をしていました。 交通遺児家庭の大半は母子家庭です。突然、夫に死なれて、職探しに明け暮れ、 雇用条件の悪い仕事しか見つからず苦労する母親の姿を見ている遺児たちは、 「手に職を付けなければ」と、進路を定める傾向にあります。失業した人も、 新しい技術や技能を修得して再就職できるように、行政が必要な施策を講ずる べきです。
また、現在の失業保険給付は、失業期間中に限り最長で1年間弱の支給となっていますが、「月額30万円の失業手当を1年間支給されるよりは、月給20万円の仕事についたときは、失業保険との差額10万円を3年間支給されるほうが、早く就職に踏み切れるのでは」という声を、ハローワークの職員から聞きました。「働いている人に失業保険から給付するのは保険の原理に反する」と厚労省は反対だそうですが、失業の長期化や、求職者と求人側の賃金ミスマッチを考えると、このような実情に合わせた対策も検討すべきだと思います。
安全な医療の提供体制をつくろう
世田谷の病院で院内感染により7人が亡くなった事件を受けて、厚生労働省から緊急ヒアリング。おそらく、消毒用の脱脂綿が乾燥していて効果がなかったり、手を洗わずに点滴液を扱ったりしたのではと党内の医師出身の議員は推測しています。意外と清掃の行き届いていない病院があるのだそうです。
問題は、過去3年間におきた東京と大阪での事件(それぞれ5人と8人が死亡)の感染原因が特定されていないことです。厚労省は「安全な医療供給体制」 を構築するという責務を放棄しています。
農水省の犯罪は雪印よりもっと悪い
雪印食品のとんでもない事件が発覚。まず思い浮かんだのは、雪印牛乳の販売店の皆さんが、また苦労するのではないかということ。そして、担当者はもちろん悪いけれど、ここまで追い込んだ農水省の無策がもっと問題ではないでしょうか。狂牛病では死者こそ出ていないけれど、農家や食肉店、焼肉店などの被害は甚大です。検査前の食肉の処分も税金で行われます。
武部農水大臣は逃げ回っていますが、辞職した熊沢前事務次官(元畜産部長) を証人喚問して、国会は農水省のずさんな行政を徹底して追及すべきです。
1月20日号
民主党党大会
1月19日、民主党は党大会を開催しました。そこでの感想を。
「挨拶は難しい」と丸谷才一は書いたけど、ほんとそうですね。「つかみ」といって、最初の一言二言で、聴衆をひきつけるのが大切ですが、 鳩山代表は不得意のようです。話が進んで熱を帯びてくると、いい調子になっ て、「鳩山さんも、やるじゃない」となるのですが、そこにいくまでにお客は 眠ってしまうか、逃げてしまうのが残念です。肩に力が入っているのかも知れません。その点、菅幹事長の攻撃調は、彼の持ち前のパターンだと判っているから、聞きやすいのでしょうね。
来賓の笹森連合会長は、連合750万人を代表して挨拶(あれ、800万ではなかったか? リストラで組合員も減っているようです)。
1995年までの戦後50年間で国の借金は500兆円。さらに、96年1月11日の自社さ・ 橋本内閣発足以降の「自民党主軸の連立政権」で、156兆円膨れ上がったと、与党の無責任な国家運営を批判。
正村公宏・専修大学教授も、「子どもを見ていると社会の危機だと感じる。この先どうなるのか? この不安に答えることが政治の最大の仕事。小泉総理はやらなければいけないことをいっているだけで、それは、過去の負債の後始末にすぎず、改革の前提でしかない。ペリー来航から150年。これからの50年、100年の展望を描きつつ、これまでの150年の歴史とは違った流れを創るという熱い想いを持って、国民の期待に応えてほしい」と激励の言葉。「危機のときは岐路だ。チャンスもある。徹底した議論は日本の文化を変えうる」と、党内議論の活発化を 呼びかけられました。
地方議会の議員さんからは、ワークシェアリングへの質問が重なりました。雇用問題の深刻さを痛感します。
ホテルオークラでの定期党大会でしたが、昼食は、700円ぐらいの駅弁でした。党本部の経費節約運動も徹底してきた様です。
いよいよ21日から通常国会です。ご期待ください。
1月15日(火)号
年金改革シンポジューム(スウェーデンのショーンベリ議員を迎えて)
1月10日、超党派の国会議員24名が集まり、年金改革について意見を交換しました。高山憲之・一橋大教授の呼びかけで実現したもので、ゲストとして、超党派で(政権交代をはさんで)年金の抜本的改革を成し遂げた、スウェーデンのショーンベリ議員(自由党党首、元社会大臣)が参加。事務局として準備にあたった山本が、総合司会を務めました。
30年加入で満額年金、最高額を得た15年間の賃金平均額を算定基礎に使うな ど、スウェーデンの年金制度は、財政破綻を招いていました。そこで、生涯賃金を算定基礎にすること(日本と同じ)、所得比例の年金に一本化し、拠出額に応じた年金額とすること(所得移転と保険の機能を完全に分離すること)な どを柱とする改革を行いました。
各党の出席者からは、「日本では官僚が決めている。政治のリーダーシップ はなしうるのか」「高齢者医療無料化は、財政が豊かなときに政治が間違った リーダーシップを発揮した悪例だ」との意見が交わされ、現在議論を呼んでいる女性と年金問題には、女性議員からの発言が目立ちました(スウェーデンで は、育児や兵役の期間は保険料を納付したとみなす)。
小さな火花が散ったのは、基礎年金の「税方式」です。自由党の出席者は実現を求め、自民党は慎重な発言。スウェーデンでは、所得に比例しての年金額が少ないときは、最低保障年金の水準まで加算して支給されます。その財源は税です。もっとも、スウェーデンの消費税は25%です。
消費税は上げない、年金額は下げない、保険料は上げない。そんな手品はありません。行き詰ったときは原理原則に戻ること、すなわち、負担と給付の関係を明確にして保険の機能を強め、所得移転は税財源で行うことだと思います。 しかしながら、こうした「原理主義者」は、「抵抗勢力」とともに、悪者として格好の攻撃対象となるようです。
昨日、今日と「成人式」がありました。荒れる成人式。主催者側の「祝う姿勢」が問われているように思います。それにしても、成人式で「鏡割り」は必要なのでしょうか。沖縄の土地柄といえば、そうでしょうけれども。
1月1日(火)号
新年あけましておめでとうございます。
昨年は暗いニュースに追われていたように思います。新年を迎えるたびに、「今年こ そは良い年に」と念ずるのですが、いつも期待は裏切られています。でも、今年も、 「今年こそは」と力を込めて念じましょう。
民主党「明日の内閣」の厚生労働大臣として「今年こそは」
昨年末に、民主党「明日の内閣」の厚生労働大臣になりました。
暮れの21日には、平成14年度予算のうち、厚生労働省関連部門に関して、厚労省から説明を受けました。「先生方からの質問にお答えできないといけないから」といって、総勢30名を超す厚労省の職員が押しかけました。予算の中で、法律改正が予定されていたり、予算の大幅な増額・減額がある担当部局の職員を除くと、連日の作業で、眠たそうな人もチラ ホラ。ご苦労様。
医療保険制度の改正、児童扶養手当の支給の見直し、年金(とりわけ、女性と年 金)、ワークシェアリングの検討、そして、難病対策、在外被爆者への手当支給を巡 る長崎地裁判決、狂牛病の真相解明と、新年早々から対応を求められる課題が待って います。勉強のためにと、東京の国会事務所から送った資料がいっぱいです。
1月10日には、超党派で年金改革を成し遂げたスウェーデンのショーンベリ議員を招 いての、超党派国会議員による「懇談会」を予定していて、その準備にも追われてい ます。久しぶりに英語の文献にも取り組んでいますが、英語力の衰えは体力以上です ね。
今年も、元気にがんばってまいります。ご指導のほどをお願い申しあげます。新年が幸多い年となりますことをお祈りいたします。