vol.23 2005年7月〜8月
7月3日(日)号
東京都議会議員選挙で民主党が大躍進。ご支援に感謝いたします。
低投票率にもかかわらず民主党が伸びたことは、地方議会においても二大政党制の流れが広がっていることをうかがわせます。民主党の責任が一層重くなっていることを心して受け止めています。
今週は郵政法案の採決を巡って、衆議院は大荒れです。議院内閣制においては、政府・与党一体となって法案を作成し、国会に提出します。したがって、自らが提出した法案を、自らが大幅に修正して「別の新たな法案」にするということは、与党としてあるまじき行為ですし、本来ならば、一から議論を行なうべきでしょう。「無理を通せば道理は引っ込む」で良いのでしょうか。
今週の「コツコツと!」
* 自殺予防総合対策: 政府全体での取り組みの姿勢を明確にするため、厚労委で自殺予防策推進の決議を行なう際に、官房長官の出席を求めていますが、その段取りの調整を武見敬三理事にお願いしています。官房長官は多様な会議を主宰していて、「これ以上、引き受けるのは御免」という姿勢が見うけられるとの情報もありますが、副大臣会議の活用という手もあるのではないでしょうか。年間3万人以上が自殺するという状況を打開するため、政府側の積極的な対応を強く望みます。
* 30日、年金合同会議が開かれました。「公的年金の必要性」を巡って、各党代表に続いて委員が発言。誰もが「公的年金は必要」と認めていますが、その範囲と給付水準をめぐっては考えが異なります。私は、次回以降、公的年金の範囲と給付水準を議論すべきだと主張。あわせて、委員会で合意ができたことを文書にすべきと思います。私と自民党の阿部委員が同趣旨で主張した「基礎年金番号を用いての社会保障制度番号制度の創設」は合意がなされるのではないでしょうか。基礎年金番号が、健康保険証などにも記載されると、社会保障制度や税制度に対する国民の関心と理解が飛躍的に深まり、社会保障制度改革を推進する力となると思います。
今週の「なんでやねん?!」
* 28日に審議採決した身体障害者雇用促進法に、20項目の附帯決議が付きました。先日の介護保険法改正案にも24項目の附帯決議が付いたことに刺激されたという訳でもないでしょうが、附帯決議の「大安売り」です。一日6時間の審議で20項目は異例。しかも、与党議員からも「これも盛り込んで」と言われて、すべて盛り込んだのが原因です。まあ、附帯決議も時と場合によっては、意外な効力を発揮することもあるので、数が多すぎると反対はしませんが、この傾向は今後も続くのでしょうか。
* 直木賞作家・難波利三さん原作の「大阪希望館」を「あんがいおまる一座」が公演。劇場となった大阪・港区の「石炭倉庫」は、50人も入ると満員の小劇場でした。終戦直後の大阪駅ガード下にできた「大阪希望館」という、大阪空襲で焼け出された人や戦争孤児たちの一時保護所を舞台にドラマは展開。劇中で歌われる「生きる歓び」の歌詞に胸を打たれ、涙。「貧しくても明るく、ひもじくても夢を持ち、翼広げ大空に、忘れなかったあの日々」。最終公演は、7月10日の午後1時半と5時に、ワッハホールで行なわれます。ぜひお出かけを。
7月10日(日)号
東京都議選とロンドン連続テロ
民主42、自民56、公明52、共産56、生活者ネット56。
何の数字だと思われますか? 今回の都議選当選者の平均年齢を各党別に集計したものです。
私も衆議院初当選は44歳でしたから、民主党都議の皆さんが、特に若いと言うことはできないでしょう。
しかし、民主党35人の当選者を年代別に見ると、20代が3人、30代が14人、40代が9人、50代が8人、60代が1人となっていて、「若い集団」だと改めて感じます。
有権者は、候補者の年齢を有力な選択基準にしています。若い議員が増えることは、現実の人口構造に近づいているのだと受け止めれば、それはそれで良いのですが、一抹の不安を感じるのは、私だけでしょうか。その不安は、どこから来るのでしょうか。
7月7日、私は56回目の誕生日を迎えました。7月7日は七夕で、ロマンチックな日なのに、昭和12年7月7日は、日本が戦争の泥沼に入る発端となった盧溝橋事件が起こった日。今年はロンドンで連続テロ。時代を超えて、「自衛戦争」が無限に拡大することのないよう、日本政府は心して行動すべきです。
NHK衛星放送で毎日、「あの日、60年前の記憶」と題した10分間の番組を放送しており、各界の著名人が、60年前の「あの日」を語っています。
私が生れる4年前まで、日本は戦争下にありました。戦争は、決して遠い昔のことではありません。しかし、あまりに生活や社会の状況が、当時と今では異なっています。
戦中派、焼け跡派の議員の皆さんには、その人生経験から滲み出る政治哲学を、若い議員の皆さんに伝えていただきたい、また若い者も積極的に聞くべきだと思います。
戦後60年。戦争の記憶が後世に正しく伝っていない。そのことが、若い世代に対する私の不安の根底にあるように感じています。
郵政民営化 いよいよ参議院が舞台に
郵政法案が衆院委員会で採決された夜、廃案を求める皆さんのデモがあり、国会議員面会所前で陳情を受けました。
そこには自民党議員の顔もありました。デモの先陣は特定郵便局の皆さん。リーダーの発声に続いて、参加者が要求事項を大声で叫ぶシュプレヒコールでは、自民党の先生方も、ぎこちない姿で拳を突き上げておられました。でも、特定郵便局の集団が通り過ぎると、自民党の大物議員もご退場。因みに、民主党議員団は、デモ隊の最後までエールを交換しました。
「参議院は青木さんが抑えているから造反者は少ない」という意見と、逆に多いのではないかという意見が交錯しています。「義理・人情」と「保身」の間で揺れ動く自民党議員。さて、軍配はどちらに?
「参議院で否決したら、衆議院を解散する」という小泉発言は、小泉総理が如何に二院制や参議院を軽視しているかの現れ以外の何物でもありません。参議院は衆議院の意向に係わらず、独自に判断します。いい加減な郵政法案は参議院で否決して、廃案とするのが妥当です。
今週の「コツコツと!」
* 残留孤児訴訟: 残念ながら敗訴。各党ともに、政治的救済策を求めて議連を立ち上げた。民主党も参議院の今泉昭さんを会長に発足させた。今泉さんご自身が、昭和22年に中国から引き揚げてきた体験者だ。どのような趣旨で、どのような範囲の対象者に金銭を給付するのか。なかなかに難しいところがあるが、闘いはこれからだ。
今週の「なんでやねん?!」
* 火曜の午後に最大値となる出産数。そこには医療者側の都合が見える。長女を陣痛促進剤で亡くし、以後、医療事故問題に鋭く切り込んでいる勝村久司さんの話を、八尾市にある石垣邦彦先生の「たまごビル」でお聞きする。医療事故の背景には、医療にかける費用の少なさがあると勝村さんは指摘する。「黒字経営への圧力が、医師の背中を押して、眼の前の患者を踏みつけている」。カルテ開示など、情報公開の重要性が指摘された。母子健康手帳や母親教室のテキストに、出産に関するデータを載せるように、勝村さんは求めている。
* 年金合同会議で、「国民年金の位置づけ」のテーマで発言。20歳以上の全国民が加入する国民年金。「第1号被保険者(被用者年金に加入していないものが対象)での未納・未加入が問題となっている」と与党議員も認めるが、そもそも、社会保険制度で「皆年金」(すべての高齢者に、「意味のある年金」を支給すること)は、達成不可能。社会保険制度論者が、低年金者の発生を困ったことだということ自体が、自己矛盾だということに気付いていない。「保険料が払えない者は、生涯低年金で暮らせ」というのが、冷徹な社会保険方式の原理なのだ。
7月24日(日)号
決裂しそうで、続きそうな年金合同会議
7月22日、社会保障制度改革に関する両院合同会議が開催されました。今回のテーマは「国民皆年金の意義」です。私も、概ね次のような発言を行ないました。
皆年金の定義が発言者によって異なる。「すべての人に年金を支給する制度を設けた」という意味で与党の委員は「皆年金」と言われるが、私は「すべての人に、老後、意味のある年金を支給することが皆年金」だと考える。
その意味から、基礎年金が重要な課題となる。運営を社会保険方式とするのか、税方式とするのか。財源を税か社会保険料のどちらに重きを置くのかの議論に、一定の結論を得なければならない。
〇 社会保険方式だと、低所得者は低年金とならざるを得ない。
〇 保険料の高額化に耐えられないのではないか。安定的な財源確保という観点からは、税と社会保険料のどちらが優れているのかを慎重に議論すべきだ。
〇 税財源も、消費税だけではない。所得税、法人税、相続税の見直しが必要だ。保険料であれ、税であれ、その徴収コストも重要な検討課題だ。
〇 給付時に国庫負担を行なう現行制度では、高額年金者にも税財源の年金が給付される。税は低年金者に集中的に投入されるべきではないか。保険料を払えない時に、税で保険料を負担するという納付時国庫負担が望ましい。
〇 基礎年金にマクロ経済スライドが適用され、今でも低額の基礎年金が、さらに減額されるのは大問題だ。
かつて社会保障制度審議会は、全額税財源による「国民基本年金構想」を発表したことがあります。当時の会長は大河内一男先生でした。戦後の日本が、どのような社会保障制度を構築するかを模索していた時期であり、「大きな政府」を標榜していたと考えます。
しかし、高度経済成長期を経るなかで、自民党政府は、競争や自助・自立が強調されるアメリカ型の社会が望ましいとして、現在は、さらに「小さな政府」を目指しています。
どのような社会保障制度が望ましいと考えるかは、ひとえに、政党の理念に基づいています。そうであれば、自民党と民主党の主張が交わることはないのかもしれません。民主党内には、いつまでも議論を続けても意味がないと主張する人もいます。自民党も、消費税の引き上げに民主党の同意を得たいとの思惑から、開催を続けるのでしょうか。伊吹文明委員や中島真人委員らからは「民主党の考えと、自民党の考えは近い」といった発言もなされました。
直前に開催された民主党社会保障制度調査会で、講師の権丈善一・慶応大教授は「積み残した年金改革の課題は多い。年金合同会議で、ぜひ解決策での合意を目指して欲しい」と話されました。私もまったく同じ思いです。
障害者自立支援法の審議について
与党が郵政法案の成立を最優先しているため、厚労委での自立支援法案審議への影響は避けられない状況にあります。後続の労働安全衛生法ともに、継続審議となる可能性が出てきました。
22日の金曜日、本会議場で、総理の出席を求めて質疑が行なわれました。民主党と公明党が質問に立ちましたが、ともに慎重・反対の色あいの濃いもので、議場の議員も反対の意思を強めたように感じました。
委員会の審議日は火曜と木曜ですので、次回は26日ですが、審議の持ち方で与野党間の意見が分かれました(与党側は、委員会での趣旨説明の後、自立支援法の審議を要望。野党は、すぐに審議に入ることはこれまでの審議方法を変えることになる。さらには、緊急を要するアスベスト問題への一定の審議が必要で、参考人からの意見を聞く時間を設けた後に、自立支援法の審議に入ることを主張)。
協議の結果、26日は法案の趣旨説明だけ行なうことになり、実質審議は28日の金曜日が第1回目となります。
したがって、8月1日に大阪でもと個人的には考えていた地方公聴会も、開催が難しいのではないかと思います。公聴会の会場や参考人の手配で、1週間前には、委員会での開催にかかわる議決が必要ですが、その時間的余裕がないからです。審議を急いでいるとの印象を、障害者の皆さんがもたれることを心配もしています。
郵政法案を審議する委員会に、厚労大臣の出席を求められることが多く、厚労委員会も細切れの開催とならざるを得ない状況です。到底、審議が深まるとは考えられません。厚労省は法案成立を最後まで諦めないでしょうが、与党も強行採決に打って出るほど、法案成立への意欲はありません。したがって、継続審議が妥当だと思います(あくまで個人的感想ですが)。
今週の「コツコツと!」
* 7月19日、参院厚労委で「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」を行なった。詳細をHPにアップ。
* 中国残留孤児が求めた国家賠償請求での敗訴を受けて、特別給付金の支給を目指す超党派議連が発足。「月額2~3万円の自立支援金を給付する」ことで集約できそうだが、金額とともに、支給対象者の範囲が、依然として難問。日中友好条約締結後の帰国者を対象とする案や、平成6年の中国残留邦人帰国促進自立支援法制定後の帰国者を対象とする案などが示されたが、与党の一部からは、対象とならない人からの反発を恐れる意見も聞かれる。何かよい案はないだろうか。
今週の「なんでやねん?!」
* アスベスト被害で、西厚労副大臣は「決定的な失敗だったのではないか」と、個人的とはしながらも、政府の対応の不備を認める発言。薬害エイズの構造が思い起こされる。被害者は今後多数発生するだろう。総合的な対策が必要だ。社会党時代に、警鐘を鳴らし続けた五島正規代議士を座長に、民主党のプロジェクトチームが発足した。
* 郵政法案での「票読み」を披露した小泉総理。マスコミも、まるで予想屋の様相。人口減少社会とインターネット社会の到来を考慮すると、郵便局の経営は、かなり苦しくなるのではないか。民営化とは不採算部門の廃止で、そのことは国鉄民営化で証明済み。どのような郵政システムが望ましいのか、郵政正常化への道筋をどのように描くのか。そうした議論が聞かれないままに、小泉郵政劇場が展開されている。「参院での否決で衆院を解散する」ことに躊躇する参議院議員は多い。しかし、参院は良識ある判断を示し、その後は、小泉総理に任せればよいのではないか。参院での否決で衆院を解散するような狭量な総理には、即刻退場願いたい。解散は自民党の解体につながり、小泉さんの宿願が成就されることでもあるのだから。
* クールビズ。ファッションセンスも、新たなシャツを買う資金力も乏しい者には、我慢の夏が続きます。「10月からネクタイ姿に戻る」との取り決めも、何か変じゃない~。
7月31日(日)号
障害者自立支援法について
7月28日、参院厚労委で障害者自立支援法の審議が始まり、私も質問に立ちました。
平成15年4月に施行された支援費制度の評価、障害福祉計画策定に向けた国の指針の内容と公表時期、障害者福祉関連予算の確保の見通しなどを尾辻厚労大臣に質問しました。
平成12年5月に、社会保障の基礎構造改革関連法案が成立し、障害者福祉も「措置から契約へ」と変わりました。しかし、平成15年度からの支援費制度は、依然として措置制度の色彩を残しています。福祉サービスの支給量は市町村が決定する仕組みのため、市町村の取り組み姿勢によって、国庫負担基準を大幅に上回るサービスの提供がなされ、サービス量に大きな地域間格差が生じています。また、応能負担制度になったといっても、ほとんどの障害者にとって負担は生じていません。
したがって、自立支援法となって金銭的負担が求められることや、自由にサービスが使えなくなることへの不満、さらに、サービス量が削減されることや、新たに対象となる精神障害者や、制度の谷間におかれている難病患者らから不安の声が上がっているのは、当然です。
支援費は発足初年度から、財源不足となりました。昨年度は、厚労省内の予算を掻き集め、補正予算でも対応しました。自民党議員は「この法案が成立しないと、今年も予算が不足する」と主張しますが、予算不足は当初から判っていたことです。不足するような当初予算の編成に問題があることを棚上げして、障害者にツケを回すのは間違っています。
支援費制度発足直後に設置された「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」や、その後の社会保障審議会障害者部会では、障害者団体の代表者も加わって審議が重ねられましたが、合意には至りませんでした。その場での議論が、今度は国会で展開されていますが、与野党間での合意は極めて難しいと思います。しかし、国会の役割は、議論を重ねて問題点を明らかにし、障害者のみならず国民の理解と合意を得るように努めることです。野党筆頭理事として、そうした立場で委員会運営に臨みます。
厚労省は、どうしても今国会で成立させたいとしています。その最大の理由は、三位一体の改革ではないでしょうか。地方自治体からは「障害者福祉関連予算も地方に移譲して欲しい」との要望が出されています。厚労省は、「障害者福祉に不熱心な自治体が少なからずあるのに、財源を渡せば、さらに障害者福祉の地域間格差が拡がる」と懸念しています。そのため、昨年10月に「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン)」が公表されて以降の動きは、あまりに早く、障害者の理解を得る作業が置き去りにされています。時間をかけても状況は変わらないと厚労省は判断しているのでしょう。そのことが、大きな混乱を招いているのです。
障害者福祉における公的役割の範囲、国と地方自治体の役割分担、障害者福祉関連予算の今後の見通しと獲得方策など、国民の障害者福祉への理解と協力を深めるともに、障害当事者を含めての国民的合意を得る作業には、冷静な議論と時間が必要ではないでしょうか。
今週の「コツコツと!」
* 在外被爆者への被爆者援護法の完全適用をめざして、同法案の改正案を、民主・共産・社民の3野党共同で提出。私が国会議員となり、衆議院本会議場に会派代表質問で初登壇したのが、被爆者援護法案だったが、11年ぶりに同法案の改正案を提出することに、何か因縁を感じる。召集された私の父は宇品の船舶工兵暁部隊に配属され、8月6日の当日は、広島郊外の山中で畑仕事をしていたそうだ。国側の敗訴が続いているが、被爆60年の今年、法的な解決策を国会として示したい。
今週の「なんでやねん?!」
* 「先生は、どちらですか」と、新聞記者に尋ねられること数度。郵政法案に、民主党から3名の賛成者という怪情報が流れ、「その一人ではないか」と疑われているようだ。採決に向けて緊張感が高まるなか、他の国政課題への関心は薄まるばかりだ。
8月7日(日)号
郵政法案、参院本会議で否決へ
参議院郵政特委は7月28日、郵政関連法案を与党の自民党・公明党だけの賛成で可決した。自民党の反対派議員を委員から排除したうえでのことだから、筋書き通りだ。
ところが、中曽根弘文議員が反対を表明し、本会議での否決は確定した。
独裁者・小泉純一郎にとって、参議院は邪魔者に映るだろう。しかし、「反対は倒閣運動だ」と公言して言論の封殺をもくろむ小泉総理に対して、「再考の府」と呼ばれる参議院は、その良識を発揮して、法案を否決すべきだ。
「参議院で否決されたら、衆議院を解散する」「反対派は今度の選挙で公認しないぞ」などは序の口。公明党の集票力をちらつかせ、果ては個人的なスキャンダルまで持ち出しての自民党執行部の恫喝は、およそ、国権の最高機関としての国会の姿からはほど遠い。
議会制民主主義を守るため、小泉内閣の総辞職と、解散総選挙を求める。
15項目の附帯決議が意味するもの
委員会での法案採決後に、与党は15項目の附帯決議を提出し、これまた与党議員だけの賛成で採択した。
そもそも附帯決議とは、法案審議の過程で明らかになった問題点について、主に野党側が懸念を表明し、政府に慎重かつ確実な対応を求めるもので、法案提出者の与党が附帯決議を提出し与党だけで採択するというのは、極めて異例。「そんな不安だらけの法案は、欠陥法案だ。再度、内容を検討して、法案を出しなおすべきだ」との民主党の主張が、正論である。
与党の賛成派議員は、「これだけ歯止めをかけています」と、附帯決議を賛成への免罪符に使うのだろうが、その内容は、いわば「郵政民営化」に待ったをかけるものばかり。
結局のところ、これだけ大騒ぎをして与党は、郵政事業の将来像を描けなかった。
今週の「コツコツと!」
* 在外被爆者への被爆者援護法の完全適用をめざして、同法案の改正案を、民主・共産・社民の3野党共同で提出した(既報)。8月2日に、町村外相に、鳩山由紀夫・民主党NC外務大臣に同行して、核廃絶と被爆者援護拡充を直訴。町村外相は「(在外被爆者援護に関する)在外公館の活用は、韓国側の要求ではなく、日本側から提案したこと」と発言。「そうであれば、迅速に対応すべきだ」と切り返した。
* 郵政法案審議の合間を縫って、3日に参院厚労委で、アスベスト問題の集中審議を開催。出席した参考人からは、「今後の被害拡大を予測するためにも、クボタ神崎工場周辺での疫学調査を行なうべきだ」「アスベストの健康被害を正確に診断できる医師が少ない。医師への情報提供と、診断・治療体制の確立を急げ」「アスベストを含んだ製品を、即刻に販売停止とすべきだ」など、多くの提案がなされた。文明の利器と呼ばれながら、事故や環境破壊などをもたらした自動車とまったく同様の構図が、アスベスト問題にも見える。便利だと、野放図に使用したアスベスト。そのツケを我々は、長い時間と多額の費用を払いながら、償却しなければならない。
* 「広島原爆の日」の6日、ピースおおさかで、大阪大空襲の研究を続ける関大名誉教授小山仁示氏の話を聞く。「京橋の砲兵工廠が、終戦前日の8月14日まで空爆を受けなかったのはなぜか」。長年の疑問に、小山先生の答えは明快だった。「たいした物を作っていなかったから」。米軍は日本側の情報を正確につかんでいた。そして、ピンポイント爆撃で、環状線や造船所など、日本の占領統治に必要な社会的資源は残したが、焼夷弾で大阪の街を焼き尽くした。「正しい戦争など、ない」。私たちはそのことを確認しながら、生きていかなければならない。
今週の「なんでやねん?!」
* これまで散々、小泉ブームを利用してきた自民党議員が、「自民党をぶち壊すという発言は、ホンモノだった」と、いまさらながらに焦っている。自業自得ではないか。
8月28日(日)号
いよいよ総選挙が始まります。
小泉政権は、国民の暮らしと民主主義、平和を破壊し、その「まやかしの改革」は国民を欺き、課題の解決を先送りするばかりです。国民が今一番求めている財政再建と社会保障制度の安定のために、民主党政権で「正しい改革」を進めなければなりません。
政権交代がなければ、日本の政治は変わりません。日本刷新のため、民主党の大勝利をめざしてともに頑張りましょう。
民主党マニフェストは、民主党スペシャルサイトでご覧いただけます。民主党ホームページもご覧ください。
昨今のマスコミの騒ぎ方や、国民の関心動向を見ていると、かつて日本が、戦勝気分に浸り、提灯行列を繰り広げているうちに、後戻りできない事態に陥ってしまったことを想起させます。すべての有権者が、小泉マジック劇場の野次馬の立場から、主権者に立ち返り、選挙を通じて「正しい選択」をしてくださいますことをお願いいたします。
小泉改革を止めよう!
小泉総理は「改革を止めるな!」と絶叫し、「小泉内閣が提出した法案に反対する者は、改革の反対者だ」という烙印を押します。
ちょっと待って! 改革にも「正しい改革」と、「まやかしの改革」があります。小泉流の改革は、明らかに後者です。現に、小泉政権の4年4か月で何か「良くなった」ことはあったでしょうか?
確かに経済はどん底を脱しましたが、これも米中の好景気のお陰。経済学者からは、「小泉さんが何もしなかったから良かった」と、経済無策を褒められる始末です。道路公団改革も、天下り先のファミリー企業は隆盛。その一方で、談合疑惑が明らかになっても、傍観するだけだし、無駄な高速道路の建設も止まりません。
小泉改革は、「看板の書き換え」や、本質的な解決の「先送り」に過ぎません。
なぜ郵政改革が必要なのか?
小泉総理が「改革の本丸だ」とする郵政改革も、その本質は、(1)4大銀行個人預金額の2倍を超える巨大な郵貯資金を、米国の金融資本の餌食にされないように守りながら、適正規模に縮小すること(国民に還元し、財政再建や社会保障制度の充実強化の資金とすること。前回の衆院選挙で民主党が主張した)、(2)「見えない補助金」によって運営されている郵政事業を、真に独立した経営が可能な組織形態に改めることだったはずです。
小泉流「郵政改革」は、10年間の政府庇護の下で、巨大な国営銀行や国営物流企業を好き放題に活動させることです。それでは改革の名に値しませんし、民業圧迫も強まるばかりです。例によって、「看板の書き換え」であり、本質的な解決の「先送り」です。
郵政改革で最も必要なことは、民営化ではなく、郵政事業の「透明化」であり「正常化」です。小泉総理に説明責任を果たそうとする意思があれば、郵政事業の将来像や、改革の多様な道筋を示しながら、国会議論が深まり、自ずと郵政改革の方向性は一致できたはずだと思います。
今週の「なんでやねん?!」
* 800億円近い税金が、選挙費用として国庫から支出され、せっかくの総選挙が、小泉郵政法案への国民投票に使われます。これほどのムダづかいはありません。
* そもそも、党内をまとめられない総理に、多種多様な国民の意見をまとめることができるのでしょうか。他者の意見を聞かない総理が、国民の声に耳を傾けるでしょうか。
* 郵政法案に反対票を投じれば、公認もされず、対抗馬を立てられるのに、欠席・棄権組は、誓約書を書けば公認される。この扱いの差は何なのでしょうか? 参院での反対組へのお咎めはないのでしょうか。反対や棄権をしながら、誓約書を書いて公認を貰う議員には、羞恥心はないのでしょうか。擁立劇を見ていても、政治家の志が問われていると思います。
* この総選挙が終わると、自民党は「小泉党」となり、独裁・強権政治がまかり通ることでしょう。自民党は私的団体だから、壊れてもかまいませんが、民主主義が壊されるのには、黙っていられません。何として、そうした悲惨な事態は避けなければなりません。
* 壊し屋の小泉さんは、自民党を壊した後は、民主党も壊しにかかるのでしょう。選挙後には、政界再編への動きが加速されます。小泉さんが「創りたいもの」は、何でしょうか? 改憲政権でしょうか?
今週の「コツコツと!」
マニフェスト選挙の進化をめざそう!
民主党のマニフェストは官僚がチェックしていないから、実現の可能性が低いとか、整合性がないと酷評される。一方、自民党のマニフェストは、官僚が書いているから、実現の可能性は高いが、夢がないし、面白みがない。政治主導で導くべき将来像(ビジョン)を描くのが、政党のマニフェストだとすれば、民主党のマニフェストの方が高評価となる。もっとも、この選挙戦後に民主党は、「マニフェスト委員会」を設置して、進捗状態のチェックや、内容のバージョンアップに努めるべきだ。そうした努力が、民主党が主導した「マニフェスト選挙」を充実させることになる。
私も、自分なりの「社会保障マニフェスト」の整理に着手したい。