vol.28 2006年5月〜6月
5月7日(日)号
今週の「つぶやき」はおやすみ。なんでやねん!?を拾い集めてみました。
今週の「なんでやねん?!」
* このところ、「なんでやねん?!」の連続です。
1)水俣病公式確認50年。「二度とこの悲劇は繰り返しません」との碑文。「悲劇」では責任主体が曖昧だ。総理も出席せずじまい。日本人は、いつから責任を曖昧にするようになったのか。戦争責任を曖昧にしたことが根源だろう。
2)その結果、東京裁判を知らないが7割。20歳代では9割を超えるとの報道。学校で歴史は明治までしか習わない。両論を紹介しつつ、「なぜか」と考えさせるのが教育では?
3)その学校で。東京都教育委員会で、職員会議での挙手での採決を禁止。クラス会でも級長が、自分の意見で決めるのだろうか。管理体制の押し付けは、何も生み出さない。
4)小学校から英語を必修にするそうだ。先ず、日本語。読み、書き、スピーチ。英語は話す手段に過ぎない。異文化への理解と話す度胸(積極的な行動力)があれば大丈夫。真の愛国心はいずこに?
5)まっすぐにした川を、また蛇行させる工事をする。新たな公共事業でしょう。官僚の最大の能力は、どんな災いも幸いにすること。すなわち「焼け太り」することです。
6)埼玉県の平和資料館が、被爆者証言の寄付を拒絶。以前贈られたテープは紛失。今度は「CDプレーヤーがない」と。小役人の特技には「屁理屈」と「当事者の立場を理解しない能力」もある。
7)厚労省の外郭団体が発行する書籍の監修料が、また問題に。環境省では、随意契約ばかりだと問題に。社会保険庁問題で、あれだけ騒がれたのに。「人の振り見て我が振りなおす」。そんなことをしない人が出世するのでしょうね。
5月14日(日)号
元朝日新聞論説委員の大熊由紀子さんを接点とする「縁(えにし)を結ぶ会」に出席。「自立支援って?」と「ほんとうの医療改革って?」と題するシンポジウムでは、財政難のなか、どのように福祉・医療サービスを整えるのかが改めて問われました。
そして、隠れた課題である「高齢期における終末期医療のあり方」が表面化してきました。
高齢期における終末期医療のあり方
シンポジウムでは、06年健保法等改正案の責任者である厚労省の辻哲夫審議官が、「今回の改正法案は、医療費抑制ではなく、医療の質を向上することが目的です」と語りました。
配布された資料のなかで、「医療機関における死亡割合が昭和51年を境に、自宅より病院で死亡する者が上回り、近年は8割を越える水準となっていること。現在は死亡者数100万人余だが、団塊の世代の死亡者が増える2038年には170万人を数える。この大きな山を、どのようにして乗り越えるか」を示していたことに、厚労省の本音を感じました。
同じくシンポジストの松島貞治・長野県泰阜村長は「平成3~4年は、在宅死が8割だったが、最近は子どもが親を病院に入院させる傾向があり、平成17年度から老人医療費がアップした。高齢者が倒れて食べられなくなったら死を選んで良いと思う。終末期医療を議論しないと、医療費は減らない。財源は限られている」と発言。
一方、別のセッションでは惣万佳代子さん(富山の「このゆびとーまれ」代表)は、「人は最後まで人の役に立てる」と語り、スライドで、惣万さんの施設で生活する高齢者や障害者を紹介。がんの痛みが強いおばあさんが、子どもの靴下をはかせてあげています。子どもと遊んでいるおじいさんは「余命1か月半と宣告され、老人病院行きを勧められた。だが「このゆびとーまれ」で4年半が経過し、入院したのは3日だけ」との説明がありました。
終末期医療の議論は必要ですが、慎重でなければならないとの感じをさらに強くしました。
今週の「なんでやねん?!」
* 長女を陣痛促進剤による医療過誤で亡くした勝村久司さんの報告も衝撃的でした。2004年12月の1ケ月間に誕生した新生児を曜日と時間ごとに分類すると、火曜日は日曜日の1.5倍、午後2時が夜間の2.5倍にもなっています。自然分娩だと人手がかかる。病院側の都合で分娩の曜日と時間が決められているようです。
5月21日(日)号
健保法、医療法の改正案の参議院での審議が、明日22日(月曜日)から始まります。民主党新緑風会を代表して、私が総理や厚労大臣等に質問することになりました。
医療費の無駄を省きつつ、患者本位の医療を実現
質問では、冒頭に、衆議院厚生労働委員会では与党が強行採決したことに抗議し、参院では十分な審議をすることを求めます。
主な質問事項は、次の通りです。
1)安倍官房長官の国会答弁とは逆に、小泉改革でセーフティネットは縮小したのではないか。総理の認識は如何に。
2)総理が答弁した「福祉の必要最低限度の部分」の具体的内容を具体的に示されたい。削減目標とともに、政府が保証する社会保障の将来像も示すべきだ。
3)2011年までに10兆円の歳出削減をするとの方針を議論する総理、財務、厚労、経済財政の各大臣に、さらなる患者負担増についての是非を問う。
4)同様に、診療報酬のさらなる引き下げについて、4大臣に是非を問う。
5)新設される75歳以上対象の「独立型高齢者医療制度」に内在する「姥捨て山」の危険性について指摘し、厚労大臣の認識を質す。
6)医療保険制度の一本化を目指すべきではないか。独立型の高齢者医療制度の創設は間違いではないか。
7)40歳以上75歳未満の全国民に健診を義務付けることの是非と、医療費削減効果について。
8)若年者が負担する「後期高齢者支援金等」は、本来は税金で負担すべき性格のものではないかのか。
9)本来は税金で負担すべきものまで、何でも保険料で徴収することは医療保険制度への信頼を損ねるのではないか。
10)「いつでも、どこでも、誰もが、最良の医療を受けられる」との目標を堅持するのか。地方の医療提供体制をどのような方針で整備するのか。
11)医師不足・偏在問題にどのように対応するのか。家庭医の養成や、一定期間の地域医療への従事を求めても良いのではないか。
そして最後に、がん対策基本法と自殺対策推進基本法の今国会での成立を議場の議員と、小泉総理らに訴えます。持ち時間は15分ですが、質問内容は盛り沢山です。
任期切れまでの期間が短くなった総理が、日本の医療提供体制について、どのようにあるべきと考えるのか。患者の視点から答弁してくださることを期待しています。
北海道せたな町での地域医療崩壊
5月20日夜のNHK教育テレビで、北海道せたな町での地域医療の崩壊を追った番組が放送されました。町村合併で誕生した新町長と旧瀬棚町診療所スタッフの意見が合わなかったことが背景にありますが、新町長の医療への関心の低さが真の原因です。
「診療所には診察室が2つしかないのに、医師は3人もいるのか?」と町長。期間限定で一人だけ残ることになった医師は、「入院患者もいれば、検査もある。往診もある。町長は医療現場をわかっていない」と涙します。
町長は、自らの地元にある大きな国保病院が老朽化したので、新築を考えているようですが、医療は建物ではありません。医療スタッフの熱意が左右します。「地域医療に携わるスタッフは、地域でしか育てられない。大学病院では育てられないのです」とせたな町住民の医療に献身的に尽くした村上医師は語り、職を辞しました。
本当に求められているのは、地域医療に携わる「かかりつけ医」「総合医」です。新せたな町は、貴重な人材と資源を失いました。
5月28日(日)号
5月22日、参議院本会議で健保法と医療法の改正案が議題とされ、私が民主党新緑風会を代表して小泉総理らに質問しました。社会保障の将来像や新設の高齢者医療制度などについて質問。さらに、がん患者であることを公表し、がん対策基本法の今国会での成立を訴えました(質問の全文はホームページに掲載しています)。
「私もがん患者」と公表しました
今回の健保法改正案が重要法案と位置づけられていることから、いずれは参議院本会議場で、小泉総理も出席して代表質問が行なわれる。その時は、ぜひ自分が質問者となって、医療の質的向上と、新設される高齢者医療制度の問題点などを、議場に集まった参議院議員全員に訴えたいと願っていました。
そこで、参議院厚労委の理事や、参議院民主党の執行部にお願いしたところ、ご理解を得て、質問者に選ばれました。4月上旬のことです。
衆議院厚労委での質疑を追いかけながら、本会議場で行なう質問の準備を進めました。
悩んだのは、いまや死亡率の第1位となり、身近な病ともなった「がん」対策の充実と、民主党が提出し、与党も公明党が中心となって提案を目指していた「がん対策基本法」に、どのように言及するかでした。
自分自身、昨年末にがんが見つかり、抗がん剤治療を受けるなかで実感したのは、医療現場の余裕のなさ、全国から東京の医療機関に来られるがん患者の実態、そして、がん治療水準の向上の必要性でした。
がん患者だと公表せずに質問することもできます。でも、何か不自然だと感じました。
昨年、まだ私ががん患者となる前のことですが、マスコミはがん対策キャンペーンを展開し、その過程で、三浦医師や佐藤均さんなど、がん患者自身が、がん対策の充実を訴えて活動されていました。
やはり「当事者」自身の運動は迫力があります。厚労省は「がん対策推進本部」を設置し、外国で使われている治療薬の国内での早期認可への道筋も整理されました。今年4月からは、厚労省内に「がん対策推進室」が独立した組織として設置されました。
残念ながら、三浦医師や佐藤さんは亡くなられましたが、そのご遺志の一端でも、国会議員であり、がん患者でもある私が引き継ぐことは、至極当然のように思いました。当事者運動はバトンリレーのようなもの。各自が、それぞれの持ち場で、バトンをリレーしていけば良いのだと思いました。
政治家にとって、自らの病気を公表することはタブーだと言われています。党内外の関係者にもご迷惑がかかります。支持者にも、お話ししていないことを突然に公の場で話すこともためらいました。自分勝手な行動をお詫び申し上げます。
最終的には、皆様は私のわがままを許してくださいました。本会議場では、野党議員の質問なのに、与党議員からも拍手をいただきました。質問時間の15分を2分近くオーバーしていたようですが、扇議長は、終わるまで待っていてくださいました。
小泉総理の答弁が「冷たい」と批判されていますが、私は、感謝しています。たくさんの質問に、実に丁寧に答弁してくださったからです。失礼ながら、近頃の総理には珍しいことです。これまで、何度となく、国会で議論を交わしてきた私への、見舞いと励ましがこもっていたと感じています。
皆様に感謝します。もし公表しなかったら、後になって後悔していることでしょう。
がん対策基本法の今国会での成立を
与党も「がん対策基本法」を国会に提出したことによって、民主党と与党間での調整が始まることを期待しています。私も成立に向けて頑張ります。
両案は、対策の推進母体の位置づけや、がん登録の是非について意見が異なります。しかし、がん対策の充実の必要性では一致しています。国会日程が非常に窮屈で、与野党間の対立ムードも高まっていますが、がん患者の立場に立って、ぜひとも今国会での成立をお願いします。
法案が成立しても、すぐにがん対策が充実するわけではありません。しかし、今後、さらに増えるがん患者への対応がさらに充実されるよう、今国会での成立を重ねてお願いします。
お見舞い、激励に御礼申し上げます
公表後、たくさんの方からお見舞い、激励、アドバイスのメール、手紙、ファックス等をいただきました。漢方薬や健康食品などもお送りくださった方もおられます。ありがとうございます。当方の不行き届きの点が多々あることと存じますが、どうぞご容赦ください。
長年音信が途絶えていた友から、久しぶりに元気なご様子を知ることのできるメールをいただきました。海外からもいただき驚いています。
報道された顔写真等は、光線の加減でしょうか、かなりやつれて見えます。若返って見えるのは、カツラのせいでしょう。本人はいたって元気に国会活動をしています。どうぞ、ご安心ください。
今後とも、皆様にはご指導ご支援賜りますようよろしくお願い申しあげ、先ずは御礼とさせていただきます。
6月4日(日)号
衆院厚労委で、がん対策法の審議が始まりました。自らもがん患者である仙谷由人議員は、がんで逝った先輩議員の思いも込めて質問。斉藤鉄夫議員は、原子力の専門家として、放射線治療体制の整備を訴えました。
今国会での成立を
がん対策基本法の民主党案と与党案の一本化を目指して、両案の提出者代表であるいずれも衆議院議員の仙谷由人(民主)、鴨下一郎(自民)、福島豊(公明)に、参議院議員の私も混じって、協議を進めています。
焦点は、がん対策の推進母体をどこに設置するかです。民主党案では総理を長として、内閣府に設置するとしていますが、与党案では、特に「政府」とするだけで、特定はしていません。公明党案では民主党案と同じ考えでしたが、自民党との協議で、取り下げたようです。しかし、与党案では、現状と変わりがないので、法制定の意味が薄くなります。
また、与党案では、がん対策基本計画の内容が書かれていませんが、民主党案では項目が列記されています。この点については、委員会審議等で、盛り込むべき内容を明確にすることや、参議院での附帯決議で対応することを考えています。
今週、月曜から水曜の3日間での協議次第で、法案の成否が決まります。厚労省のやる気にかかっているようにも思います。正念場です。
今週の「なんでやねん?!」
* アメリカでの肺がん患者の減少は、たばこの値上げによる、喫煙者の減少が背景にある。本会議での私の質問に、谷垣財務大臣は「たばこの売上本数が減っているので、増税は慎重に」と答弁。税財源としてしかたばこ税を考えない財務省の姿勢には、うんざりする。
* 安倍晋三総理誕生を目指す議員の集会が、6月1日にあった。国会が開会中だということを忘れていませんか? 大半は小泉チルドレンのようだが、国会議員の本分をわきまえないような集団に日本を任せて良いのだろうか? うんざりする。
6月11日(日)号
6月9日の衆院厚労委で、がん対策基本法を全会一致で可決。午前中に開かれた参院本会議で自殺対策基本法を全会一致で可決。慌しく過ぎた1週間でした。国会最終週を迎えて、がん対策基本法の参議院厚労委での審議に備えて、附帯決議案などを患者団体の皆さんと協議しています。がんに対する対策の充実が、難病や他の難治性疾患のモデルケースとなるようにする視点も忘れてはいけないと心しています。
診察室は2つしかない。医師も2人で良い?
「地域医療に取り組んでいる町立診療所がある。町村合併に伴って誕生した新町長は、診療室が2つしかないから、3人も医師は要らないと発言した。川崎大臣のご所見を伺いたい」と、質問通告なしに、質問をぶつけました。
川崎大臣は「医師なども労働者ですから、休みをとりながらやるわけで、当然3人いようと5人いようが、代わりばんこに診療するわけですから、二人の医者だから診察室は二つしか要らないという認識は、間違っているだろうなと思います」と答えられました。(私の質問の趣旨が正確に伝わらなかったようです)。
これは、北海道の旧瀬棚町での実話。急病人の発生、入院患者への対応、検査、往診などで、現状は、3人の医師でも手一杯の仕事量だったのです。結局、新町長との協議が成立せず、2人の医師と常勤薬剤師、数名の看護婦も診療所を去り、地域医療は崩壊しそうです。
医療は人手を要しコメディカルの配置も欠かせない。私は、小児科や産科医が足りないから診療報酬を増やすという考え方ではなく、「病院等の人員配置基準を見直し、必要経費の増加分は国民が負担する、あるいは、いまのままの負担で、医療崩壊を甘受するのか。この選択を国民に問うべきだ」と主張しました。
170万人の多死社会への備えをどうするのか
昨年の死亡者数は108万人でしたが、2038年には、年間170万人が死亡すると予測されています。本会議で「プレハブ校舎で学んだ団塊の世代の最期は、プレハブ病棟ですか」と問いかけたのは、170万人の看取りを、どこで行なうかの将来ビジョンが必要だと感じるからです。
現在は、8割が病院で亡くなります。一方で、病床数は医療費抑制の観点から削減が図られます。介護施設数も頭打ち。自宅でと思っても、看取ってくれる家族がいない独居老人が増えるのではないでしょうか。
厚労省に、こうした観点からの施設整備ビジョンの提示をお願いしました。
出生率1.25に低下。誰も驚かない不思議さ
少子化は年金財政を直撃します。前回の年金改革で、年金給付額の削減策が盛り込まれたので、政府や与党は安心しているのでしょうか。それとも、再び政治的課題となることを避けているのでしょうか。民主党の岡田元代表が私の事務所に来られ、「年金合同会議の議事録を読み返しています」と言われました。年金改革の重要性への認識を一層深めておられ、私もお手伝いをしなければと思いました。
今週の「うれしかったこと!!」
* 6月8日の参院内閣委で自殺対策基本法が可決された時のこと。法案を所管する内閣府から安倍官房長官が出席してくださいました。閉会後、安倍長官に、これまでのご協力についてお礼の挨拶。長官からは「この法案は、山本さんの努力のお陰ですね。お体大事になさってください」と温かい言葉。かつて、衆院厚生委員会で、ともに理事を務めた時期もあります。そんなご縁が、長官のお言葉につながっているのでしょう。嬉しい一言でした。
6月18日(日)号
がん対策基本法には、19項目の附帯決議が付きました。国会日程や与野党間の交渉で、参院厚労委での「審議はなし」と決まり、ならばと、附帯決議を採択してほしいと粘りました。これまた、13日と14日の2日間での、早業となりました。
がん対策法案の附帯決議を巡り、早朝まで攻防
附帯決議というのは、可決された法案に対して、審議過程などで明らかになった問題点について、改めて政府に誠実な対応を求めるものです。
これまでの例でみていますと政府は、附帯決議の事項で、都合のいい箇所は活用して政策を展開しますが、国会側からつけられた「注文」の類は、無視する傾向にあります。
したがって、政府が誠実に附帯決議の内容に沿って行動しているか、監視が必要です。
私が今回の附帯決議案を作成しました。厚労委の現場は、13日(火)は、健保法の審議で大詰めを迎え、採決を巡り与野党が対立。その後の、国会日程を話し合う余地はなく、ましてや、附帯決議は、その先の話です。そこで、私がお手伝いしました。
12日の月曜日に、公明党案や民主党案を参考に、附帯決議事項を整理。13日には、一本化される前の法案提出者である鴨下(自民)、福島(公明)、仙谷(民主)の各衆議院議員に、提示し、修正加筆を依頼。同時に、厚労省にも同様の作業を依頼。通常、与党に案を提示しても、すぐに厚労省の担当者に手渡されて「先ずは、役所の意見を聞く」となるので、中間の時間を省略しました。
厚労省は財務省と協議し、財政的措置を求める表現や、たばこに関する項目は削除して欲しいといって、二本線で当該事項を消したものを回答してきました。
14日午前11時の参院厚労委理事会で、15日の日程を協議、同時に、厚労省修正済案を民主党の津田理事から各党に提示。ここから、各党間のやり取りが始まりました。
自民党からは「項目が多い、長い」と注文が付き、修飾語がどんどん外れていきましたが、「肉は切られても骨は抜かれない」ようにと対応。医師会的立場から、患者の権利にかかわる部分の表現修正の申し出もありました。
「登録」の2文字を見ただけで拒絶反応がしめされた「がん登録制度」についても、すでに老人保健法や健康増進法で国や都道府県の努力義務となっていることを主張し、法案成立後、「慎重に」と「早速」は相打ちで、どちらの用語も盛り込まず、「検討する」ことで落着。ここは、推進協議会で議論する課題として明確にしておくことを優先しました。
最期までもめたのが、19項目の「たばこと健康予防」の内容で、たばこ税の引き上げ、あるいは、たばこの価格の引き上げという文字を盛り込もうという主張を巡って、財務省、自民党税調、さらには自民党参議院幹事長まで巻き込んでの大騒ぎとなりました。
私は税率引き上げ、価格値上げに賛成ですが、谷垣財務大臣が「たばこは売り上げ本数が減っているので、これ以上の値上げは、税収減になる」と答弁するような姿勢なので、この姿勢を変えさせるにはよほどの仕掛けが必要です。
今週の「なんでやねん?!」
* 今国会で、在外邦人の選挙権保障のために改正した公職選挙法を、またまた改正。今度は、南極観測隊や国際援助隊、国連平和活動参加者などが、地方選挙も含めて投票できるようにするための改正です。提案者の大野前防衛庁長官は、海外に派遣されている自衛隊員の「投票の秘密はどう守るのか」と問われ、「サモワですと」と始めたから、「お~ぃ、もう帰って来るんじゃないの」と突っ込む。共産党は「自衛隊の海外派遣は反対だが、投票権は保障すべきだ」として賛成。社民党は「選挙期間5日の地方選挙では、投票用紙を自衛隊機で運ぶのではないか」として反対。国内での障害者に対する投票権の保障措置は遅々として進まない。
6月25日(日)号
国会は閉会となりましたが、成立に至った「がん対策基本法」と「自殺対策基本法」の、いわば「肉付け」の作業が始まります。ここからが大切な過程で、法律が期待通りに運用されるよう、厚労省担当者との協議を重ねたいと思います。
朝日新聞「私の視点」に投稿しました
がん対策基本法の「評価と課題」について、6月24日付けの朝日新聞「私の視点」に、山本孝史の意見が掲載されました。
がん患者等も参加する「がん対策推進協議会」の設置、省庁の壁を超えての取り組みができる法的規定の整備などが成果です。一方、課題は、法案化が見送られた「がん登録」と、所要の予算枠の確保です。
事前に、厚労省健康局職員に投稿の内容を説明した折、担当者とは、がん対策推進協議会の構成や、協議事項などについて、早急に意見交換しようと話しあいました。
もっとも厚労省は、C型肝炎とB型肝炎訴訟への対応に、当分は時間がとられるようです。仕方がないかなと思っています。
ところで、B型肝炎訴訟は最高裁での「国側敗訴」ですから、国の賠償責任が確認されました。被害者全員の救済を考えると、巨額の賠償額になります。国側の早急な対応が求められます。
NHK「クローズアップ現代」で放送
6月27日(火)の午後7時30分からのNHK「クローズアップ現代」は、昨年のがん患者大集会から、今回のがん対策基本法の制定までの歩みをたどるという趣旨の内容で放送されます。
大集会の開催に尽力された、三浦先生や佐藤均さんらも登場されるそうです。ぜひ、ご覧ください。佐藤さんのご命日(28日)にあわせて放送されるようです。
私も、がん患者の先輩から受け継いだ「バトン」をしっかり握りながら、患者と行政・政治との架け橋として、活動を続けていきたいと願っています。
今週の「なんでやねん?!」
* 6月23日、財政金融委員会が開かれ、福井日銀総裁から、村上ファンドとの関連について説明を受け、質疑が交わされました。質問する議員は、「低金利政策の解除が議論されるなか、日銀総裁は、いささかの疑念も持たれてはいけない」と諭しましたが、議論は平行線でした。宿舎に戻って、古今亭志ん朝の落語を聴きました。人助けのためにと娘の身請け金を差し出す左官の噺(「文七元結」)と、金銭に対して清廉な侍の噺(「井戸の茶碗」)。ともに江戸の人情話です。村上氏の志を応援する術は、ファンドへの出資(利殖)以外にもあったと思うのです。