vol.29 2006年7月〜8月
7月2日(日)号
7月になりました。東京も蒸し暑い日が続いています。お元気ですか?当方は、この1週間も結構、多忙でした。「仕事ができるうちが花」と、頑張っています。
「クローズアップ現代」と「世紀を超えて」
6月27日のNHK「クローズアップ現代」は、昨年、大阪で開催された「がん患者大集会」の立役者であり、がん患者でもあった三浦捷一医師と佐藤均さんらの活動を紹介。いのちをかけての行動に、胸が熱くなる。彼らからのバトンの一本を、私も受け継がねばとの思いを強くする。
2000年6月に放送されたNHKスペシャル「世紀を超えて いのち 生老病死の未来」の第5集、「がんと闘う 患者主役の治療へ」を友人から貸していただいて見る。米国では、74年にフォード大統領のベティー夫人が乳がんを公表したことが、社会全体を「がんとの闘い」に向かわせたことを知る。
96年、クリントン大統領は新薬の審査期間を半年以内とすることを発表。大腸がんが肝臓と肺に転移した男性患者が、オキサリプラチンの治験に参加し、劇的に症状が解消したとのレポートも挿入されている。三浦医師らが日本国内での早期承認を求めた薬こそ、このオキサリプラチンだった。日本では、NHKスペシャル放送から5年後の2005年4月に、ようやく承認された。
米国では、新薬承認諮問委員会に医師と患者が参加し、発言もする。発売許可の票決には患者も参加する。医療訴訟への対応が背景にあるとしても、医師は治療法の選択肢を提示し、患者が選択する。医師任せ、患者不在の日本の医療との隔たりを実感する。
「世紀を超えて」に登場された二人の患者さん。大原麻利子さんの笑顔と、出版社の部長として仕事もバリバリこなしておられる山下憲治さんの姿から、大きな勇気をいただいた。
活動報告
民主党B型・C型肝炎対策本部会合
6月28日、民主党B型・C型肝炎対策本部の会合。肝炎は、肝がんになる可能性がある。早期発見、早期治療が鍵だが、厚労省の腰は重い。予防接種での注射針の使いまわしによるB型肝炎は、最高裁で国の過失が認められ、C型肝炎訴訟でも、対策の遅れた国や製薬会社の責任が指摘された。がん患者を減らすためにも、肝炎対策の拡充は不可欠。頑張って取り組まないといけない。
民主党がん議連総会
29日には、がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会総会。中川恵一先生と埴岡健一氏が、今後取り組むべき課題について講演。
がん医療の現場を視察
30日には、参議院厚労委で、国立がんセンター東病院(陽子線治療施設と緩和ケア病棟)と、東大病院(放射線治療施設と緩和ケアチーム)を視察。放射線治療の現場には、放射線に精通した工学出身者が不可欠と改めて認識。東大病院の緩和ケアチームは、放射線治療医、緩和ケア専門看護師、薬剤師、漢方に通じた薬剤師などで構成される。永井良三病院長が「緩和ケアチームは、主治医からのオーダーを待つことなく、積極的に患者の疼痛緩和に関与して欲しい」との姿勢を示された。示唆に富んだ発言だ。
あしなが育英会機関紙に「贈る言葉」を連載
人生の師でもある玉井義臣先生(あしなが育英会会長)が、読売新聞の都内版に「遊友録」を毎週1回執筆されている。その4回目に、私を登場させてくださった。速筆家なのに苦吟されたとお聞きして、脊髄腫瘍で亡くなられた由美夫人の思い出と、私の病気が重なりあってのことかと、勝手に想像する。
引き換えにということではないだろうが、玉井先生からは、あしなが育英会の機関紙に小文を毎月寄稿せよとのお達し。何か書き残しておけとの親心に感謝しつつ、「銀の河」と題しての連載が始まる。以下は、その第一話。
第1話 「一日一生、一日一善、一日一仕事」
昨年暮れのことだ。若い時に患った病気の検査と思って受けた血液検査で、がんが見つかった。それから半年が過ぎた。
◆抗がん剤治療を続けている。脱毛や手足のしびれは命にかかわらないが、難問は血液状態が悪くなることだ。白血球の減少は感染症への抵抗力を弱め、血小板減少は脳内出血などの致命傷を招く。といって抗がん剤を投与しないと、がんが大きくなっていく。治療薬の選択、投与量、投与方法に微妙な「さじ加減」が求められるが、母親の時に比べれば、がん治療は進歩したと思う。
◆朝、目覚める時、「また、一日分の命を与えてもらった」と思うようになった。人間誰しも、時間は限られているのに、普段、意識することはない。葬儀に出たり、蓮如の「白骨の御文」を聞いたりしても、死は他人事でしかない。いま、がん患者となって、有限の時間を生きていることを実感する。一日一生。その言葉が心に響く。
◆どんな小さなことでもいいから、ひとつでいいから、良かったと思えることをしたい。今日は、こんなことをしたと言える一日を送りたいと、心に言い聞かせている。そんな気持ちを込めて、毎月一度、このコーナーをお借りして、奨学生に言葉を贈りたい。(参議院議員。元交通遺児育英会事務局長)
7月7日(日)号
7月7日、政府は来年度予算編成の方針である「骨太2006」を閣議決定しました。小泉内閣での最後の骨太ですが、9月の小泉退任、新総理での年末の予算編成などを考えると、今だけ有効の「骨太」のような気がします。
さらなる歳出削減で安心・安全は生れるか?
「骨太」には、景気の良い話も書いてあるのですが、そんな予算配分は、歳入が増えない限り無理。絵空事です。来年夏の参院選を終えないと、消費税の議論もできません。したがって、消費税の引き上げが予想される2009年度まで、現行の予算額を確保するので精一杯と考えるべきです。
社会保障関係は、今後5年間で1兆6千億円削減するとされます。来年度は、生活保護費の見直し、雇用保険での国庫負担の廃止などで、所要額を捻出するとされていますが、その後は、医療や介護、福祉でのさらなる給付抑制をするのでしょうか。少子化対策、肝炎対策など、大幅な歳出増が求められる事項への予算は、どのようにして確保するのでしょうか。
そこで、来年度予算編成への私なりの注文です。
社会福祉における予算措置の原則は、(1)無料のサービスは行なわない、(2)現金給付ではなく、現物給付を優先する、(3)税制改革により所得再分配機能を取り戻し、高額所得者への税金の配分は避ける、の3点だと考えます。
例えば少子化対策。「何でも無料」との流れですが、無料では、利用者の参加者意識が低下し、サービスの質も落ちます。タダほど、後々、高くつくものはありません。
現金のばら撒きもダメ。医療や介護など、人的サービスを提供するために税金を使えば、雇用も生れます。現金は、どこに消えるかわかりません。
そして、最大のテーマは、基礎年金国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げに、多額の税金を投入するという、年金制度改革(?)案です。多額の年金受給者に、さらに税金を投入するという仕組みは、いま一度、考え直すべきです。少子化は地方ほど深刻に進んでいます。長時間労働と低賃金のパート労働、そして地域の崩壊が、少子化の背景にあるとすれば、「100年安心」の年金制度などあり得ません。いま一度、年金制度の議論が必要です。
がん対策基本法 これからが本番です
東京での治療もあって、地元大阪は、すっかりお留守になっています。すみません。
その代わりと言っては何ですが、国会事務所に出て、仕事をしています。メインは、がん対策基本法に基づく新たな制度の設計や、治療体制の整備などの進捗状況のチェックです。
自分自身の体験を活かしながら、患者主体の「がん関連情報提供システム」の構築、がん診療拠点病院の整備などについて、望ましい姿を追いかけています。
三浦医師や佐藤均さんらから受け取ったバトンを、しっかり握っています。
7月17日(日)号
「一緒に笑ってがんに勝つ」 チケットご案内
8月2日(水)、午後6時30分から、なんばグランド花月で標記のチャリティイベントが開催されます。肺がんを克服した樋口強さんの落語「病院日記」と、よしもと新喜劇・漫才・落語のセットです。チケットは1枚3,500円(全席指定)。お問い合わせは、電話06-6348-8830(平日10時から18時)、リリーチャリティー事務局まで。ご協力ください。
がん治療、医療機関別成績の公表について
7月11日付けの朝日新聞は、入院治療を受けた胃がん患者の5年後の生存率(5年生存率)に、医療施設間で最大28ポイントもの差があると報じました。患者が一番欲しいのは、どの病院で治療を受けるのが最善かを判断できる情報です。厚労省には関連情報が集まっているのに、なぜか施設ごとの治療成績は公表されません。なぜでしょうか。詳しくは山本たかしのホームページ、「がん対策・活動レポート」(医療機関別治療成績の公表について)をお読みください。
7月23日(日)号
「いつの間にか梅雨があけていました」という年もあったのに、今年の雨は異常ですね。ヨーロッパは40度を超す熱波に襲われているそうです。地球が壊れないか心配です。
社保庁職員の免除申請代行を巡って
社会保険庁職員が、被保険者に代わって国民年金保険料の「免除申請」を行なっていたことが問題となっています。
法律が改正されて、市町村から被保険者の所得情報を入手できることとなりました。社保庁職員にすれば、「申請すれば、保険料を払う必要もなく、年金加入期間にもカウントされ、基礎年金(約6万6千円)の税金投入部分(3分の1。約2万2千円)の受給権が確保される。本人のためを思ってしたことでもあるのに」との思いもあることでしょう。
「本人のためになるのであれば、申請を必要とせず、職権ですべて保険料免除の手続きが取れるように法律を改正すれば良い」と私などは思うのですが、我が国の年金制度は申請主義を採っていますので、いかに本人の利益になることであっても、社保庁職員が申請を代行することはできません。
この申請主義は社会保険方式の理念の一つでもあります。自ら保険料を納める、関連した手続きは自ら行なうという考え方は、基礎年金全額税方式への反対の論拠にもなっています。
いずれにしても、少子化の予想以上の進展、なぜ福井日銀総裁は年金をそんなに貰えるのかとの思い(総裁の基礎年金6万6千円の3分の1=2万2千円は、税金で賄われています)なども絡まって、現行の年金制度は「100年安心」などあり得ません。もう一度、議論が必要です。
年金システムへの疑問
今回の免除申請代行に関する事務は、各社会保険事務所で行なわれ、コンピューターへの入力も、社会保険事務センターと各社会保険事務所の双方で可能でした。
私は議員になる前に、奨学団体で奨学金の貸与・返還業務を行なっていました。その経験から判断すると、社保庁職員は、コンピューターに記録されている各被保険者の納付・免除・猶予の記録を、「訂正」することができるはずです。それは正当な職務の場合もあれば、不正の場合もあるかもしれません。
私の質問に対して社保庁は、「一定の規制をかけている」と回答してきたので、「一定」とは何かと再度質問したところ、次のような回答が返ってきました。
【答】免除記録や納付記録にかかる補正処理については、各社会保険事務所ごとに指定された職員のみが処理を行なうこととしている。当該補正処理の結果は、システム運用責任者(業務担当課長以外の課長クラス)のみが処理結果リストを取得する権限を持ち、上記の特定の職員が処理したか確認を行なったうえで、業務担当課長が処理結果の妥当性の確認を行なっている。
実に脆弱なシステムだとお判りいただけたと思います。でも、これが電算処理の実態だと思います。過去の手作業時代の経緯も引きずっている今の年金システムには、どうしても補正作業が不可欠なのです。そこに不正の起こる余地もあるのです。そんなことはないと私は信じていますが、システム上でのチェックはできないのです。
お任せ主義からの脱却を
テレビ朝日のニュースステーションでは古館キャスターが、連日、社保庁を責めています。
年金手帳を13冊も持っていた人がいるそうですが、それだけ転職したのでしょうか。あるいは転居したのでしょうか。 会社なり役所の担当者の怠慢も見過せないと私は思います。
支払われないままになっている年金番号がいっぱいあるそうですが、既に死亡しているかも知れないし、申請できない状況にあるのかも知れません。いずれにしても、現に年金を受けている人は、その年金額の計算のもととなっている納付記録が正しいと受け止めて、年金を受け取っているのだと思います。疑問があれば、保険料納付記録を社会保険事務所で自ら確認すべきです。早目に全員が行なうことが大切です。これは、国会議員の年金未納が問題となったときの、国民全員への教訓でした。
正しい納付情報を持っているのは被保険者本人です。社保庁に「お任せ」するのではなく、社保庁に「完全」を求めるのではなく、自らの年金は自らが管理する。社保庁はそのために、毎年、過去分も含めて納付状況を加入者に知らせる。こうした仕組みこそ、必要ではないでしょうか。責め立てるだけでは問題は解決しないと考えます。
7月30日(日)号
がん診療連携拠点病院の指定 病院機能のチェックを
7月28日、第1回がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会が開催され、新たに42病院が指定されました。これまでの135病院とあわせて177病院となります。がん診療水準の向上を目指し、がん患者会として病院機能やがん診療実績などの公開を都道府県に求めましょう。詳しくは、私のホームページの「がん対策・活動レポート」に掲載しました。
4年間も更新されない、がんセンターの医療情報
国立がんセンターの「医療従事者向けがん情報」の内容が、4年以上も更新されていないことが判りました。驚きです。怒りのレポート第2弾「更新されない『がん情報』 それでも“国立がんセンター”か?」を、私のホームページの「がん対策・活動レポート」に掲載しました。
国民や医療従事者向けの情報提供において完全に出遅れてしまった国立がんセンター。その原因の解明こそが、国立がんセンターが取り組むべき最優先課題だと思います。そして、平成22年度の独立行政法人化に向けて、「国立がんセンター」の病院ならびに研究部門について、その役割を再検討することが求められています。
がん対策情報センター(仮称)予算、15億円の行方
10月に国立がんセンターに設置される「がん対策情報センター」は、患者の期待を大きく裏切るものとなりそうです。怒りのレポート「がん対策情報センター予算、15億円の行方」を私のホームページの「がん対策・活動レポート」に掲載しました。
同情報センターは、昨年5月のがん患者大集会での決議や、その後の政府検討会の「患者に有益な情報発信の一層の強化が求められている。地域がん診療拠点病院の医療機能情報の収集、分析、発信の役割も担うがん情報センター(仮称)の設置の検討も必要である」との指摘を受けて設置されるものです。なぜ、当初の構想から外れたものになったのでしょうか。
国立がんセンターの「図書館」を覗いてみれば
全国に整備されるがん診療連携拠点病院には、がん患者相談支援センターが設置されます。国立がんセンターには「患者・家族相談室」がありますが、主に金銭面での生活相談が中心のようで、治療面も含めた「よろず相談」ではない様に感じます(院内のチラシからの印象ですが)。
1階の会計コーナーに隣接して「図書館」があります(したがって、静かとは言えません)。がんの部位別の診療ガイドラインや、関連図書が並んでいます。しかし、抗がん剤治療の問題点を指摘した図書や、免疫療法などの図書は見当たりません。闘病記も少ないように感じました。担当者が配置されていないので、黙って図書を持ち去る人もいるだろうからと、あまり整備に乗り気でないのかもしれませんね。ナショナルセンターとしての国立がんセンターの「がん患者相談支援センター」がどうなるのか。注目しましょう。
国立がんセンターの批判ばかりと受け止められるかもしれませんが、私は、同センターが、ナショナルセンターの名に恥じない、名実ともに日本のがん医療の最高峰になることを期待している一人です。
今週の「なんでやねん?!」
*福田さんが自民党総裁選に出馬しないと発表。総裁選は事実上、日本の総理を選ぶ選挙だから、不出馬は極めて残念。70歳は自明のことで理由にならない。靖国で国論を二分したくないとの理由だが、なぜ論争を避けるのか。日本の堕落は、戦争責任を自ら断じなかったことが最大の理由だ。人口10数億人の中国が強国になるのは時間の問題。そのうち日本は相手にされなくなるだろう。中国は大陸にあり、東南アジア経済は華僑が握る。海洋国家日本は、どんな国をめざすのか。幼いながらも戦争を体験した福田さんが出馬しないのは、残念至極。日本を背負って立とうという気概ある政治家は自民党にはいないのか。もし「小泉人気が依然高い」ことが理由なら、大衆迎合主義であり、「いつか来た道」とならないか。政治家は世論の動向を見るのも大切だが、世論を説得することも大切だ。
*韓国政府は、金大中氏の政府機関による拉致を認めた。日本政府はどう対応するのか。事件は犯人の国外逃亡で時効が中断していると思う。韓国政府による拉致事件に毅然と対応しなかった日本政府の姿勢が、北朝鮮の拉致事件の解決が遅れていることにもつながっているのではないか。
8月6日(日)号
8月2日、なんば花月で「がん患者ネット」主催のチャリテイ会が開催されました。
特別ゲストは、肺がんを克服し、趣味の落語に磨きをかけて全国で公演を続ける樋口強さん。落語「病院日記」の中の「がんと闘っている人は、みんな金メダル」の言葉が胸に響きました。
吉本の舞台でも、宮川大助・花子さんが登場。結婚12年目に、花子さんが胃がんの手術を受けた。その時のお二人の気持ちを笑いに包んでのトーク。それから18年も経つと聞いて驚きました。会場を埋めた患者や家族が大いに励まされた時間でした。
大阪府担当者を交えて患者会の懇談会開催
チャリテイ会に多くの患者の団体が集まる機会を生かそうと、患者会の懇談会も開催されました。初めての試みでしたが、16団体から30名もの参加がありました。
大阪府からも、府健康福祉部地域保健福祉室 健康づくり感染症課 がん・生活習慣病グループの佐藤敏彦課長補佐も出席してくださいました。
大阪府内で指定された11のがん診療拠点病院で作る協議会に府内の5大学病院もオブザーバーとして参加し、意見交換を続けていることや、がん登録に積極的に取り組んでいるなど、大阪府のがん対策は、他府県に比べて先行している部分もあります。
一方、がん検診は平成10年に一般財源化されましたが、それ以降も受診率は落ちなかったそうです。しかし、全国的にはがん検診受診率は低位。その向上が課題だと佐藤補佐。
平成20年4月から、医療計画・健康増進計画・医療費適正化計画が同時にスタートします。今後、がん医療の水準向上にとどまらず、医療提供体制の大幅な見直しが都道府県段階で進められます。患者会も、大いに意見を述べ、政策に反映させていく必要があります。
佐藤補佐も、「がん対策基本法で、患者や家族の意見を聞くことが制度化されているので、大阪府の段階でも、同じ考え方をしています」と語り、今後も患者会との意見交換は続けたいとの積極的な姿勢を示してくださいました。今回の懇談会が、患者会の連携を深める第一歩になればと願っています。
今週の「なんでやねん?!」
* ハリポタの翻訳者が海外生活をして税金を逃れていた話。節税ということなのでしょうか。企業経営者のなかにも、国外に居住地を定めている人が少なくないとの新聞報道もありました。自分のことだけ考えずに、日本での企業活動で得た利益は、日本に還元する。そんな思いはないのでしょうか。
* 税金で取られたら、何に使われるか判らないと思っている人も多いでしょう。やはり寄付制度を拡充して、寄付者の功績も顕彰するような仕組みがないと、多額の累積債務を抱える日本では、社会基盤の整備は進まないように感じます。
* 節税に励む人がいる一方で、所得の少ない層への税金や社会保険料の負担は増える一方。企業は最高の利益を出しても、累積赤字との清算で納税はなし。「消費税の引き上げは必要だと判っていても、給料日に、手元に残る現金がどんどん少なくなると、今後暮らしていけるのかと不安」と嘆く友人。30歳~40歳前後の男性社員も、低賃金に耐えられず離職していくそうです。離婚し、実家を頼って郷里に戻ってくるので、地元の小学校では母子家庭の子どもが増えているとか。日本社会が崩壊する音が聞こえるようです。
* 閑話休題。病院での治療に採血は不可欠。幸い(?)「二度刺し御免」は、一度しか経験していません。私の血管は採血しやすいのだそうです。ところが、注射針を抜いた後の話です。看護師さんが注射針の跡に脱脂綿を当て、「しばらく抑えていてください」。その通りにしていたのに、内出血。抑える場所が違ったのです。看護師さんに話したら「山本さんの腕は、ホクロが多いから、判りにくいのよね」と一言。「ホクロは黒いけど、注射針の跡は血が滲んで赤いで!」と、心の中で叫んだのでした。
8月13日(日)号
私のホームページに、「これでいいのか、日本のがん医療!」のコーナーを設けました。治療法についてのご相談に応じる能力はありませんが、がん医療への不満や意見をお寄せいただき、それに回答をさせていただくというものです。がんという病いを抱え、悩み苦しんでおられる患者・家族の方たちと一緒になって、がん医療水準向上の国民運動を展開しようという大構想です。焦らず、着実に各方面に働きかけていきます。ご支援ご協力をお願いいたします。
「がん患者のイメージを変えたいね」
10日にがん患者や医療者向け月刊誌『がんサポート』(株式会社エビデンス社)の編集・発行人、深見輝明さんと、ジャーナリスト埴岡健一さんの取材を受けました。思いがけずに一致したのは「がん患者のイメージを変えたいね」ということでした。
「がん=不治の病、死の病」という思い込み。「末期」とか「延命」という言葉の響き。「そうじゃないよね、充実した日々を重ねるために治療があるんだよね」と、すっかり意気投合したのでした。
再発がん、進行がんの患者でも普通の生活が送れる。抵抗なくカミングアウトできて、職場でも近所でも話題にできるような環境づくり。その目標に向かって、私も、力いっぱい仕事をして、趣味の世界も楽しもう。そんな姿を見てもらうことで、がん患者のイメージを変えたい。また一つ、仕事が増えました。
がん患者ネット「大阪懇談会」報告
8月2日に開催された、がん患者会主催の「大阪懇談会」の概要をホームページにアップしました。大阪府の担当者も交えて、患者会の活動展開にも示唆に富んだ会合でした。
今週の「なんでやねん?!」
* 社保庁の不正免除問題で担当者から経過報告を受ける。保険料が払えない人は、国が代わって払ってあげるべきだ。不正免除という手段ではなく、法改正が必要なのだ。そもそも、国家公務員共済年金で守られている公務員に、国民年金保険料の負担がいかに重いか、想像すらできないのではないか。先週の「何でやねん?!」で紹介した、若い人たちの生活ぶりを話し、「実際に声を聞きに行かれたら」とお勧めした。
* 「消えた年金」を取り上げるマスコミは、無責任にも若い人に向かって「君の保険料も消えてるかも」と煽る。国民年金制度発足後しばらくは、納付記録は手作業だった。その後、電算化される過程で、納付記録が正しく転記されなかった可能性はゼロではない。納付の証明書類を求める社保庁と、払ったはずだと主張する被保険者の溝を埋めるのは困難だと思う。それよりも、若い人たちに「あなたの年金保険料はきちんと記録されている」ことを伝えることが重要だ。社保庁職員は「社会保険事務所に確認に来てください」と言う。唖然とした。「あなたの預金額が正しいか確かめに来てください」という銀行が、どこにあるのか。銀行に通帳があるように、社保庁は、年間納付額、納付すべき総月数と納付された総月数を、毎年、通知すべきなのだ(これが、オランダで言う「オレンジレター」)。
* 国民健康保険は徴収しないと一般会計からの持ち出しが増えるから、市役所職員全員で保険料を集めに回る。一方、国民年金保険料の場合は、「納めないのは、本人の責任。その分だけ受け取る年金が少なくなるだけですから」と開き直り、納付の時効の2年間が過ぎれば「後は知らない」となる。集める側も支払う側も、ともに徴収や納付に意欲の湧かない制度は、正すべき点があることの証ではないか。
* イスラエルの武力行使に抗議します! 武器をもってして何ら問題は解決しません。
8月20日(日)号
「これでいいのか、日本のがん医療」に、未承認薬の使用や新治療法に関するご意見をいただきました。
がん難民が生まれる構造の転換を
「外国で承認された抗がん剤等を、今すぐ使いたい」。三浦捷一医師や佐藤均さんらが、がん患者大集会や、NHKの特別番組などで訴えてこられました。厚労省は、治験制度の改善によって、承認までの期間の短縮を図ったというのですが、がん患者の願いに応える措置ではありません。
医薬品を厚労省が認可した適用の範囲外で使うと、保険者から「不当請求」と指摘されて、その費用は請求した医療機関が負担しなければなりません。例外は、そのような適用拡大について、その病院において治験が行われている場合だけですが、そのような幸運に巡りあうことは極めて稀です。そもそも、国立がんセンターをはじめとする国公立病院が、違法行為をすることはできません。
未承認薬も同様で、国立がんセンターを含めて、どこの病院も使えません。例外は「治験」が行われている場合ですが、それへの参加のチャンスは限定されています。残された道は個人輸入です。
こうして、がん難民が生まれていくのです。もう一度、三浦医師らの「がん患者が自己責任で使用することを認めてほしい」という主張を展開し、国民世論とする努力が求められていると感じています。
国立がんセンターの図書室 若干充実!
10月1日の「がん対策情報センター」の開設や、がん診療連携拠点病院の指定拡大を受けて、がん患者相談・支援機能の強化が求められます。ところが、「よろず相談室」で有名になった県立静岡がんセンターには、「がん患者相談・支援室」のイメージがつかみきれない各地の病院などからの見学者が絶えないようです。
9月20日に厚労省は、拠点病院の相談・支援担当者を集めて、具体的な運営方法について伝授するシンポジウムを開催するようですが、手探り状態が続いています。
ところで、過日、国立がんセンターの患者図書室を訪ねたら、書棚の書籍が増えていました。ボランティアの女性係員もおりました。ちょっと前進しましたが、患者への情報提供について、国立がんセンターも手探り状態が続いているようです。
今週の「がんちゃん日誌」から
* 抗がん剤の副作用が徐々に薄れてきて、髪の毛が生えてきました。髪に触れると、中学入学の時に丸刈りにした時の感触と同じで、ベルベットタッチです。妻からは、「マルコメちゃん」と呼ばれています。
今週の「なんでやねん?!」
* 8月15日、小泉総理は靖国神社に参拝しました。千鳥ケ淵の戦没者墓苑で献花。そして、日本武道館での全国戦没者追悼式へ。私は、先の大戦で亡くなった日本軍人や軍属だけでなく、日本やアジアの各地で尊い命を失ったすべての人々の鎮魂を祈る日としたいと思います。そして、二度と問題解決のために武力を使わないと誓える式典を政府主催で開催するなり、国立の追悼施設を作るべきだと考えます。団塊の世代は、まだ戦争を感じた世代でした。戦争責任を自らの手で結着をつけずに、戦争を知らない世代が人口の大半を占めるようになると、日本の混乱はさらに深まると危惧しています。
ホームページ掲載の「プロフィール」を全面更新しました。よろしければ見てください。
8月27日(日)号
この1週間の活動の一端をお知らせします。「なんでやねん!?」と思うことの多い1週間でもありました。
中1生、いじめが原因で自殺
自殺予防に取り組む「ライフ・リンク」の清水代表が来室。「自殺は社会問題。うつ病対策だけではなく、その背景にある要因の分析が必要だ」と語り合った日の夕刊に、「中1生、いじめが原因で自殺」とのニュースが、遺書とともに載りました。
少子化で1学年1クラス。6年間、さらには中学校の3年間を、ずっと同じ級友と過ごす環境は、いったんいじめの対象となると逃れられない期間がずっと続くことを意味します。
清水さんは「いじめの対象とならないよう、手を上げて先生の質問に答えることはしない。間違っていたら、あいつは馬鹿だといじめが始まりかねない。子供たちは萎縮し、自己防衛機能を働かせている」と指摘します。
新任の先生が相次いで自殺した教育委員会からの相談もあったとか。保護者からの苦情処理がうまくできなかったようです。校長らは「良くあること。見守っていこう」との方針を立てていたそうですが、守れなかった。自殺した先生は、とても成績が優秀だったそうです。
自殺対策基本法が成立して、予算も大幅に増えそうですが、自殺に追い込まれる社会的な状況の分析を進めるため、警察庁の協力を得ながら、数多くの実態調査を行うことが優先課題に据えられるべきです。
今週の「がんちゃん日誌」から
* 抗がん剤の副作用が薄れて、髪の毛が生え揃ってきました。かつらをかぶったり、バンダナを巻いたりしていた姿を知る人は、「こんにちは」と挨拶を交わした後、視線を私の頭にやります。障害者の方も、同じような視線を受けておられるのだろうなと思いました。また、週に数回、採血や点滴で腕に注射針を刺しますが、人工透析の患者さんのつらい思いも少しは感じられるようになりました。人間、その立場に置かれないと、本当のところは判らないものなのですね。反省しています。
* 検査数値の変動や体調の変化によって、気分が落ち込む時があります。主治医は「気分が楽しくなる薬もある」とか、「腫瘍精神科医の言葉は薬より効き目がある」とか言ってくださいますが、私は、何とか仕事に向かうことで、気分転換を図っています。また、患者会の方との会話も元気の源になっています。患者に治療と向き合わせる活力を与えるサポート体制も、がん医療の重要な課題だと思います。
* 8月26日、故今井澄参議院議員のご命日を前に、お墓参りをしました。昨今の医療改革の状況を報告し、今井先生と同じ病を得たことをお話ししました。「理想の医療を語れますか」と問われた先生への回答はまだできていません。先生のご冥福をお祈りしつつ、「もう少し、この世で活動させてください」とお願いしました。
* 8月23日、「がん治療の前進をめざす民主党議員懇談会」の役員会を開催しました。がん検診のあり方、相談支援体制の整備、拠点病院への交付金の増額、ガイドラインの作成支援など、予算の重点配分項目について意見交換をしました。
* 8月25日、生と死を考える会の機関紙の取材を受けました。実は、私自身、古くからの会員でもあります。交通事故によって突然に命が断ち切られることの寂しさや恐ろしさを考え始めたこと、アメリカ留学で「死の教育」を学んだことなどから、「いのち」を巡る社会的テーマに取り組んできた経緯をお話ししました。話し出したら止まらなくなって、文章にまとめるのが大変ではないかと心配しています。ごめんなさい。
今週の「なんでやねん?!」
* 東京・日本橋の上を走る高速道路を地下化するとか。どうしても実現させるというなら、他府県の国民の税金は使わないで、東京都民の負担でやってください。オリンピックも同様です。ワールドカップでスポーツ文化の低さが証明された日本だし、今この時点で、日本が開催しなければならない理屈が判りません。経済効果といっても開催都市に偏った話しです。財政の厳しい日本では、少子化対策や医療水準の向上がオリンピックより優先すべき課題です。
* ところで、世田谷区では中学卒業まで医療費は無料だそうです。豊かな東京都の財政の一部を地方に回して、全国民が同レベルの行政サービスをうけられる方向を目指すべきです。
* 精密測定機器メーカーが、核開発につながる機器を不正に輸出していたことが判明。核廃絶をめざす日本として残念なことですし、世界的な緊張を高めることに手を貸したことは極めて不名誉なことです。日本のイメージがまた悪化しました。自分の利益しか考えていない醜い企業姿勢です。再発防止のためにも、厳罰を望みます。
* 福岡市で、飲酒運転の車に追突されて海中に転落し、幼児3人が死亡する事故がありました。車止めにならない欄干を認めていた国交省に猛省を求めます。また、酒類を提供する飲食店では、「お車ではないですね」と確認しなかった時は、営業を停止するような法的措置が必要です。