vol.33 2007年3月〜6月

3月13日(火)号

 秋田の義父母宅を訪ねていたことなどで、メルマガ発行が不定期になっています。お詫びします。

 さて、今週一番面白かったニュースは、松岡農水相の「なんとか還元水」発言でした。

 片山参院幹事長は、「最初の答弁が悪かったわね」と発言されていましたが、そういう問題ではありません。「適切に」と、表情も変えずに繰り返す松岡大臣。誰が考えてもおかしい話なのに、このまま国会の閉会まで、説明しないままで押し通すのでしょうか。

 議員会館は、国会法第百三十二条の二において、「議員の職務の遂行の便に供するため、議員会館を設け、各議員に事務室を提供する」とされています。 吉幾三さんの歌のように「電気もない、水道もない」では、仕事になりません。事務用の机や応接セットも備え付けです。

 冷蔵庫やコピー機は議員の持ち込みですが、こうした発熱体が増えて、事務所内の室温は上昇傾向。冷暖房完備ですが、追いつかないので扇風機などを使っている事務所が目立ちます。でも、暖房装置を自前で付けている部屋はないでしょう。

 毎年400~800万円に上る松岡事務所の光熱水費。一体何に使われているのでしょうね。

 松岡農水大臣の答弁や姿勢は、国会軽視、すなわち、国民軽視以外のなにものでもありません。それでも辞めない、辞めさせないという状況に、安倍総理は「何をやっても大丈夫」と自信を深めているのでしょう。

今週の「がんちゃん日誌」から
3月11日放送 NHK教育テレビ「患者と医者のコミュニケーション」

番組に登場された自治医科大学の医師は、緊急手術が入って3時間しか眠れなかったという当直明けで、20人の外来患者を診察し、午後は手術という勤務体制。外来患者のなかに、検査に同意するまでに1時間も要した人がいて、診察時間が押して大変そうでした。医療メディエーターや患者会の活用も必要ですが、何と言っても医師の数が絶対的に少ないのではないかと思います。番組の趣旨とは違うということなのでしょうが、司会者から、医師の数が少ないことに触れた発言がなされなかったのは残念でした。

医療用麻薬メサドンについて

メサドン(Methadone)という医療用麻薬があることを知りました。 WHOは「必須医薬品リスト」に追加掲載し、2005年発行の『Cancer Pain Release Vol.18, No.1』でも、メサドンをがんの疼痛に対する必須の鎮痛剤として推奨しました。このように世界各国で広く使用されているメサドンですが、日本では未承認となっています。10分の1という低価格が障壁のひとつになっています。(詳細はこちらです)

今週の「なんでやねん?!」
衛藤さんの自民党復党劇にひとこと

 自民党に復党させてあげないと、政党選挙になっている参院選比例区に出馬できないという事情から、衛藤晟一さんの復党が認められました。藤井孝男さんは、岐阜選挙区で無所属のまま戦いますが、自民党の推薦が出ています。これも実質上の復党です。ところが、どこにも出馬できる選挙区がないがために、八代英太さんの復党は、どんなに忠誠を誓っても認められないでしょう。「選挙出馬」と「復党」が一体化していることが、そもそもおかしいのです。

 衛藤さんは福祉施設の理事長で、自民党内の反対を押し切って薬害エイズ事件を取り上げることに賛成してくれました。八代さんのお陰で、参議院だけ、階段にスロープやエレベーターが設置されました。

 安倍総理の「お友達」であることを装うことが最大の保身策。それでは、やりたい放題です。武田晴信のように、誰か追放劇を演じてくれる人はいないでしょうか? 民主党の役割だ! ごもっともです。

NHKの世論調査にひとこと

 日朝交渉も不発、松岡農水相の光熱水費疑惑など「?」がいっぱいあっても、上がっていく内閣支持率。不思議です。

 NHKさん、「人柄が信頼できるから」などという選択枝は、見直しませんか。不支持の理由の選択肢を逆にして、「政策に期待が持てるから」、「実行力があるから」と尋ねるのが、正しい調査のやり方ではないでしょうか。

 景気が回復して、何もしなくても支持率が回復する。安倍総理は強運の持ち主のようです。

3月18日(日)号

 今週のランキング第1位は、「ボンバルディア機、堂々のランディング」でした。もっとも、ボルトの脱落が全日空側のミスだったとしたら、トホホになりますが。

 私も同機を、大阪空港-高知龍馬空港、大阪空港-コウノトリ但馬空港間で利用しました。どちらも、短距離ということで、上空に上がると、すぐに着陸態勢に入ります。電車やバスに比べれば、便利さは格段。しかも、大阪空港では、本滑走路と並行している短い滑走路を利用しますので、大型機の発着を邪魔しないという利点があり、優秀な飛行機だと思います。

 もっとも、但馬線は利用者が少ないので(城崎温泉の観光客か、大阪に運ぶ但馬の農産品が一番のお客)、但馬空港発着の利用者(但馬地域居住者)には、地元自治体により運賃の半額が補助されています。

 ボンバルディア機は、YS-11機の後継機として輸入されました。航空機の開発製造は多額の資金を要するとして、国産旅客機の製造は中断されたままですが、安倍総理、イノベーションというなら、旅客機製造が最適です。海外からの需要も期待できますし、何と言っても、国威発揚に一番効果的です。

今週の「がんちゃん日誌」から
がん患者会合同勉強会「がん登録について」

 17日、国立がんセンター対策情報センターの祖父江友孝さんを講師に迎え、標記の会合が開かれました。がん罹患者を洩れなく、また重複なく把握して「がん罹患率」を知ること。それらの患者さんの5年後の生死情報を重ね合わせて、「5年生存率」を知ることは、がん対策の効果測定や方向性を定めるうえで不可欠の事業です。

 がん診療連携拠点病院での「院内がん登録」の精度の高い実施を支援するともに、地域がん登録の全国での実施を進めて都道府県単位で各種データが比較できれば、がん医療の水準向上に大きく寄与することは、先行する欧米の例からも確実です。また、がん登録の情報と、病院内における治療記録を重ねあわせれば、各病院における治療成績の向上にもつながります。

 問題は、把握洩れ(登録洩れ)をなくす対応が必要だということです。がん対策基本法には、「がん登録」との文言は盛り込めませんでしたが、参議院厚労委での附帯決議で「がん登録は不可欠の制度。院内がん登録、地域がん登録制度の更なる推進と登録精度の向上並びに個人情報の保護を徹底するための措置について、本法成立後、検討を行い、所要の措置を講ずること」を政府に求めています。

 センシティブな情報を扱いますので、がん登録制度の必要性に関する国民の理解と協力がないと実施できません。がん登録が国民の健康と生命を守るために絶対必要な制度であることを、がん患者会が先ずもって良く理解しておくことが現時点では一番求められていることです。

今週の「なんでやねん?!」
やっぱり飛んできた、ブーメラン

 松岡農相の奇妙な答弁が続いています。政治資金の使途報告は難しい仕事のように思われるかもしれませんが、実態は、家庭で家計簿をつけるのと同じです。光熱水費などは、文字通り、電気代、ガス代、水道代などで、迷いようがありません。

 難しいのは、「経常経費の事務所費」と「政治活動費」の区分けです。事務所費は、事務所の維持運営に通常必要とする費用ですので、特定の政治活動のために多額の支出をした場合(例えば、特定の郵便物を大量に発送した際の切手代など)は、政治活動費に区分されます。

 自分たちが作った法律で、自分たちの活動への理解を促す制度ですから、政治家自身の勉強が必要だと思います。わが党も同じです。

春闘 大手回答出揃う

 大手春闘。大企業と中小企業との賃金格差さらに拡大。「寄らば大樹の陰」が正解だったのか/トヨタ、一時金258万円の満額回答。ホンダは一時金6・6ヶ月で決着。一生懸命働いても、この金額に届かないパートやフリーターも多い/今春、高校に進学し、あしなが育英会の奨学金を希望する遺児家庭の母親の平均勤労所得は年額129万円だそうだ(同会調査による)/格差是正は、持てる者が「譲る」ことを思い出さないと達成されない。

まとめて、ぶちまけます

 「いったい俺はいつ咲けばよいのだ」と怒っている桜/高校卒業時から裏金を渡していた西武球団。WBC王者が泣くぞ/終末期医療を巡る議論が始まってもいないのに、「終わらない『終末期議論』」との見出しを掲げた朝日新聞/3月14日、銀婚式を迎えた。私は「家族の絆」と題した取材を受け、つれあいは友人とおでんを味わっていた。

4月1日(日)号

 あしなが育英会(玉井義臣会長)が東京都日野市で運営する「あしなが心塾」の第3回入塾式に参加しました。実は、初訪問です。

 施設は想像を超えて立派でしたが、それ以上に、塾生の顔が輝いていて、自信に溢れた話しぶりに驚きました。

 「学生が切磋琢磨して成長しあう場」を東京にも持ちたい。玉井先生や職員の皆さん、そして、その思いを支えてくださった多くのあしながさんの心に思いを馳せつつ挨拶のマイクを持つと、感動で胸が熱くなり、思わず涙してしまいました。

 安倍総理の昭恵夫人がゲストで出席してくださり、大人気でした。

 女子学生の、「どうしたら、ファースト・レディになれますか」との質問に、「これからは、女性も総理を目指す時代じゃない」と、絶妙のお返事。さて、質問した女子学生の将来や如何に。出席者全員にとって、忘れられない入塾式となりました。

 ありがとうございました。

今週の「がんちゃん日誌」から

 今日4月1日、がん対策基本法が施行されました。この5日には、第1回のがん対策推進協議会が開かれます。がん医療の格段の進歩、そして日本の医療全体の向上をめざして、私も新たな気持ちで頑張ります。

4月22日(日)号

 日本のがん対策は、池田勇人首相が咽頭がんで亡くなったこと、1981年に、がんが日本人の死因の一位になったこと、そして、この数年の、がん患者が先頭に立っての「当事者活動」などを節目として、進展してきました。

 がん診療連携拠点病院の整備、相談支援センターの設置、国立がんセンターの「がん対策情報センター」の開設、政策決定場面へのがん患者当事者の参加などは、いずれも、がん患者が国に要望し、実現してきたことです。

 そして、この4月1日、がん対策基本法が施行されました。法律に定められた「がん対策推進協議会」も、5日、17日と連続して開催されています。私も、法律制定に係わった者の一人として、法律の行方を見定めるのも重要な職務と考えていますので、協議会を傍聴しています。私のホームページに傍聴記を掲載しています。よろしければご覧ください。

 協議会は18名の委員で構成されています。4名の患者側委員が参加して、活発な発言を続けています。

 これまでの審議会は、軒並み当事者不在のなかで、医師や関係団体の代表者だけで決められてきました。自らの疾患に関する政策が協議され、方向性が定められる場に、その当事者がいないのは不思議なことです。今回、患者・家族が参加することでがん対策推進協議会がどのような成果を生み出すのか。これは、今後の政策決定過程に大きな影響を与えます。そのような観点からも、私は国会議員として、また、がん患者の一人として、注視しています。

 私は、会合を傍聴して、学会や業界団体、患者会などが、それぞれの「守備範囲」に立って発言をされている限り、最善の「がん対策推進基本計画」はできないとの印象を持ちました。もっと個別利益を超えての発言が欲しいと感じます。

 また、患者会には厳しい言葉ですが、窮状を訴えるだけではなく、どのようにしたら自らが望むような環境を整備できるのか、どんな政策があれば良いのかを提言する能力を持つことが不可欠です。そのような体制を今後とも組織的に整えていかなければなりません。

 今回の協議会を担当する厚労省健康局には、文部科学省など、がん医療に関係する他省庁への遠慮があります。いわゆる「省庁の壁」を超えられるかが問題ですが、それ以前に、省内での、医政局、保険局、医薬食品局などとの調整すら難しいのかなという印象があります。

 医療費抑制政策の転換、たばこ対策の推進などが、がん対策の推進には不可欠です。協議会事務局を担当する「厚労省健康局がん対策推進室」には、がん対策推進協議会を後ろ盾に、粘ってほしいと心より願います。

 がん患者会も、みんなで応援して、世界に誇れる「がん対策推進計画」を目指して頑張りましょう。私も全力で頑張ります。

5月20日(日)号

 与野党の同僚議員が協議してくださって、5月10日の参院厚生労働委員会で質問の機会をいただきました。それだけでもプレッシャーだったのですが、私のこの質問で、日本の「がん対策」を前進させなければならない。そんな重責を感じて、国会活動13年間の中で、いちばんプレッシャーのかかった質問になりました。

 つまらない質疑になると、先輩患者に怒られるし、今一緒にやっている仲間からも、「もうちょっとまともな質問はできないのか」と言われるのではと悩み、翌日、質問を終えるといつものことながら、「ああ聞けばよかった、こう聞けばよかった」と反省して、身体には良くなかったなぁと、贅沢を言っています。

 がん患者・団体の活動年表を作っています。患者が動く、厚生労働省がそれに対して何らかの対応をする。それではダメだというので、また患者が動くということの繰り返しです。失礼ながら、厚労省が自ら動いたことは少ないのではないでしょうか。がん対策として、いろんな戦略・プラン・計画が立てられてきましたが、そこで採り上げられていることを、患者の視点で検証すると、ほとんど実現していないといっても過言ではありません。

 がん対策基本法ができて、がん対策推進基本計画を策定する今度こそ、実効性のある「がん対策」を確立したいと思い、取り組みを続けています。

 質問前日、9日の夜、厚労省職員が、「明日どういうことを質問されますか」と尋ねるために、私の部屋に大勢で来られました。「がん難民が、なぜたくさん生まれるのか。私が体験から感じたことを話すので、大臣に、その感想を聞きたい」と言いました。

 すると担当者は、「大臣用の答弁書を書かないといけないので、先生は、どういうご趣旨で、ご質問されるのですか?」と聞きます。「いや、ただ感想を聞きたいだけです」と、押し問答になりました。

 ほんとうに聞きたいことは、がん難民は、診療報酬制度や今の医療保険制度の中で生まれていることに言及した答弁です。医療費抑制政策の中で、腫瘍マーカーの検査回数は月1回に限られていますが、今後はさらに、この薬しか使えないとか、高い薬が出てくるとそれはだめですよとか、そんな方向に行きそうです。

 がん難民を生み続ける今の医療制度で良いのだろうか。そこを聞いているのですが、大臣答弁書を用意する担当者が、「国の医療費抑制策が、がん難民を生み出している」などという答弁書を用意するはずがない。まして、財務省所属の厚労大臣ですし、参院選後は、別の大臣に代わっているでしょう。そう思った途端、まともな聞き方ではダメだと思い、質問の仕方に、ない智恵を絞っていたら、朝になっていました。

 国会で、いろんな政策課題の仕事が自分にまわってくるのは、自分がそうしているのではなくて、何か見えない力で、「これはお前の仕事だ」とまわってきているような気がしています。それを素直に受け止めて、チャンスというのも変ですが、できることがあるのに、それを自分から捨てるのは、これまでの自然な流れや、生き方に反しているようにも思います。

 進行がんと判って1年半が過ぎました。この間も、いろいろな仕事をさせていただきました。私のような進行がん患者でも、まだまだ仕事が出来るのです。夏の参院選挙に出馬したいという思いはあっても、自分の身体のこともあって迷い続けていました。「先生は希望の星です」と言ってくださる患者さんもいると、自分の意思ではやめられません。

 今は、やれるところまでやろうと思います。いのちを見つめる、大切にするという仕事。それが政治家の一番の役割と考えて、国会議員となり、国会活動に取り組んできた13年間です。その仕事を続けられる機会があるのなら、自分から捨てると、怒られそうな気がするのです。進行がん患者に対するイメージを変える、それが、がん対策推進の基礎となるとも感じていますので、その機会が与えられているとも思います。

 億単位のお金が必要と噂される比例区選挙ですが、原点に戻って、お金をかけない選挙の中で自分の思いを伝えたいと思います。「救えるいのちがいっぱいあるのに、次々と失われている」、そんな社会を変えたい、「いのち」を守ろうと思いの皆さんと一緒になって、いのちのメッセージが伝えられたらいいなと思っています。無理はしません。流れに沿ってやっていきます。ご安心ください。

 幸い、民主党本部も私の願いを受け止めてくださって、5月15日、比例区での公認内定をいただきました。精一杯、頑張ります。

 長いメルマガになりました。最後まで読んでいただいて感謝します。

6月4日(月)号

 夏の参院選の争点は、憲法か生活格差かと騒いでいたら、3年前と同じ「年金」のようです。安倍総理は週末、各地で街頭演説を行い、「1年以内に決着をつける」とか「今月中に、第三者機関を設置します」と、手形を「乱発」しています。3年前の年金国会で、小泉総理ら与党側は「これで年金は100年安心です」と宣伝しました。どこが、「安心」なのでしょうか?

今週の「なんでやねん?!」

 今日6月4日の参院本会議から、参院での社保庁解体法案と、年金救済法案の審議が始まります。

 私は国会議員になって、それまでの厚生年金から、国民年金に変わりました。すると、国民年金の納付事務は、実にムダが多いと判りました。

 例えば、保険料は口座振替で納めていますが、毎月、「振り替えました」と知らせてくるのです。それよりも、年間の納付実績を通知してもらって、その通知書を税金申告の際に添付する方が、納付実績の確認もできるし、収めていない社会保険料での税金控除もなくなるし、通知はがきの印刷・郵送料が大幅に削減できます。そもそも、国家公務員で国民年金の保険料を払っている人はいないから、こうした事務の改善は行なわれないのだろうと思います。

 私は厚労委員会で村瀬社保庁長官に、「こうした事務合理化策があるよ」とお知らせしましたが、いまは、私の提案に沿った業務内容になっています。

 ある全国紙によると、「民主党の参議院には、衆議院の長妻代議士のような『社保庁問題のエース』がいない」そうです。

 森の石松ではありませんが、私も、かつては民主党年金改革プロジェクトチームの座長を務め、3年前の参院選での民主党躍進に、微力ながら貢献したと自負しています。会期末まで1か月を切った国会ですが、参議院での「年金」論議に一枚加わりたいと思います。

今週の「がんちゃん日誌」から

 がん対策基本法にもとづく「がん対策推進基本計画」を協議している「がん対策推進協議会」が5月30日に開かれ、「基本計画」を概ね了承しました。

 今後、国を挙げて推進する「がん対策」を総合的、体系的に整備したことや、がん患者や家族並びに遺族の代表が参加して「医療政策」を議論したことは、おおいに評価できます。

 一方、全体目標が、死亡率の20%削減(75歳以下。年齢調整死亡率)と、緩和ケアの充実の2つだけになったことで、進行がんや再発・転移のがん患者は、「標準治療」が終われば、あとは緩和ケアにという、まるでベルトコンベアーに乗せられたような流れができてしまう恐れがあります。

 いままでであれば、こうした施策は、政府・厚労省等が、世間に判らないようにそっと実施していました。しかし、今回の協議会での議論で、そうした隠された意図も明らかになりました。

 今後、協議会を活発に開いて、積み残された、(1)がん医療の成果などを測るための指標(個別目標)の設定、(2)医師の必要数などの検討、(3)診療報酬の引上げや、たばこ税による医療財源の確保など、懸案事項への取り組みなどを進めることが求められます。

 残念ながら、これらの課題は「がん対策推進協議会委員からの意見」に掲げられ、基本計画には盛り込まれていません。厚労省は、「都道府県には、委員から、このような意見があった」と付して配布するそうですが、本体の「基本計画」に盛り込まれていない事項(このような「意見集」など)については、都道府県の受け止め方が軽いものになるのは必然です。

 協議会には専門委員を交えての作業チームの設置ができるとなっています(政令事項)。今後、国会閉会後とはなりますが、都道府県における「がん対策推進計画」の策定状況や、来年度予算編成の進展状況などを勘案して、協議会の開催を求めて、ワーキングチームを設置し、議論を続けることが重要です。患者側代表委員の皆さん、昨年以来、ほんとうにご苦労様でした。その労をねぎらいつつ、厳しいようですが、「まだまだ仕事は残っています」と申し上げます。これからも頑張って取り組んでいきましょうね。私も頑張ります。

 国会閉会まで、あと一ヶ月ありません。何か、昨年と似たような状況です。私も選挙がありますが、その前の国会開会中にできることは、ちゃんと仕事をしておかなければいけない、国会議員としての責務を果たさなければいけないと思っています。

 がん患者会の皆さんには、がん対策の推進のため、今後ともご指導ご教示のほどお願いいたします。

6月17日(日)号

今週の「がんちゃん日誌」から(パート1)

 医療用麻薬メサドンの日本での早期承認と販売について、6月12日の参院厚労委で質問しました。

 この問題については、これまで文献調査や疼痛緩和にかかわっておられる医師のご意見を伺うなど、リサーチを進めてきました。その内容については私のホームページの「がん対策レポート」をご覧ください。WHOの基礎的医薬品リストに掲載され、同「疼痛緩和レポート」でも、使用が広く推奨されている医療用麻薬です。

 高橋直人厚労省医薬食品局長は、早期承認を求める私の質問に、次のように答弁しました。

 「がん等の患者の方々の疼痛緩和医療を推進する観点から、有効な医療用麻薬の選択肢が増えるということは、これはもちろん望ましいことでございまして、その医療用の麻薬の価格が、これは安価であるということであれば、基本的には本当にこれは望ましいことであるわけでございます。お話しの医療用の麻薬、メサドンにつきましては、現在のところ企業からの承認申請というものはこれまでにないわけでございますけれども、もちろん私ども国として、疼痛緩和医療の推進という観点から、私どもとしてもその調査あるいは検討というものを進めてまいりたいと、かように考えております」

 答弁での、次の2箇所がポイントです。
 1)有効な医療用麻薬の選択肢が増えるということは、これはもちろん望ましい。
 2)医療用の麻薬の価格が安価であるということであれば、本当にこれは望ましい。

 委員会終了後、武見敬三厚労副大臣から電話をいただきました。武見副大臣によれば、厚労省は7月の「未承認薬等使用問題検討会議」への提案を検討し、承認・販売に向けて積極的に取り組む姿勢を示しているそうです。

 早期承認を期待しています。

今週の「がんちゃん日誌」から(パート2)

 がん対策推進基本計画が5月30日の「がん対策推進協議会」で概ね了承されたことを受けて、6月12日の参院厚労委で、同協議会について柳澤大臣に質問しました。

 がん患者・家族・遺族等の代表者が加わった「がん対策推進協議会」は、がん対策基本法一本化に向けての与野党提案者会議で、私が提案した結果、法律に盛り込まれたものです。私自身も、厚労省がどのように評価しているのか非常に気がかりでした。また、今回のような当事者の審議会委員等への任命を、今後とも拡充する方向で取り組んで欲しいと願っていますが、そのモデルケースでもあったわけです。

 柳澤大臣は、「これまで開催された本協議会の議論におきましては、当事者である患者等の委員の方から、従来、医療提供者側の視点だけでは分からない発想など貴重な御意見をいただいたものと考えております。こうした基本計画策定における成果を踏まえながら、それぞれの行政分野において最も効果的な御審議をいただけるよう、審議会の在り方、人選等については引き続き検討してまいりたい。今回のことは重要な参考事例と考えております」と答弁しました。

 大臣答弁のポイントは、
1)従来、医療提供者側の視点だけでは分からない発想など「貴重なご意見」をいただいたとしていること、
2)「こうした基本計画策定における成果を踏まえながら」と、「成果」と評価していること、です。

 また、協議会の定期開催についても、私は次のように求めました。
 「基本計画の進捗状況を検証する、計画の見直しにつなげるようなデータを収集しそれを検討する、がん対策予算の確保、関連する検討会からの報告を受けて協議をするといった作業を行って、(がん対策が)どの方向に今進もうとしているのかということを見定めることが極めて大切だ。また、政令で定めた専門委員会も動かさなければいけないので、がん対策推進協議会を年に少なくとも三回あるいは四回は開いていただきたい」

 柳澤大臣からは、「基本計画の進捗状況を踏まえながら、年に何回かは開催することを考えてまいりたい」との答弁だったので、「やはり三回程度は、あるいは四回程度開いていかないといけない」とたたみかけ、大臣からは、「ここ(基本計画)に明確にがん対策の進捗状況を適宜把握するということと、施策の推進に資するように必要な提言を行うということでございますので、この目的に一番ふさわしい機会は必ず私どもとして設けてまいりたい」との答弁がありました。

 がん対策基本法は、全会一致で可決された議員立法です。提案者や、成立に深くかかわった議員の発言、並びに当該議員への大臣答弁は、ひときわ重いものです。厚労省はもちろん、政府として、立法の趣旨を踏まえて法律を運用し、参院厚労委で可決された19項目の附帯決議の実現に当たらなければならないことを、あえて強調させていただきます。

 協議会委員の皆さんの真摯なお取り組みに、改めて敬意を表します。今後とも、よろしくお願いいたします。