vol.35 2007年11月~12月
11月5日(月)号
食品の偽装問題が連発しています。比内の地鶏は「ゴゲゴッゴー」となまって鳴くと秋田県出身の妻。比内でない普通の鶏たちもブランド・比内鶏と同じように鳴けるように練習しているそうです。
自民党と民主党の大連立なんてありえない!
自民・民主との党首会談で、福田総理から「大連立」の話が持ちかけられました。聞くところによると、マスコミ界のドンと呼ばれている人が、福田総理から持ちかけるように言ったそうです。
小沢代表は、一旦話を持ち帰り、執行部で協議した結果として、「拒否」の回答を示しました。
この一連のうごきを、私は、とても不自然に感じます。そもそも、今の政局で与野党それぞれの第一党である自民と民主が大連立を組むはずがないと誰もが思っています。そんなことをしたら、参議院選挙で、野党である民主党に投票した人たちを裏切ることになりますし、国会から野党がほぼいなくなるという状況は極めて不健全な政治状況になることも国民が知っているからです。
それでもなぜ、大連立の話が出たのか。国会に出た法律がすべて成立しないという状況を打開するための一つの方策との解説がありますが、この流れは福田総理の人気を一段下げるような気がします。
と、思っていたら、小沢代表は「自民・民主連立政権」構想を提案したのに、民主党内から反対されたことを理由に、代表の辞意を表明しました。政治の世界は「一寸先は闇」といわれますが、本当にその通りですね。
金大中拉致事件に対する日韓の差は、なぜなのか。
先日、韓国政府は、金大中氏が日本国内から拉致され韓国内で解放された事件の経緯について、調査報告書を発表しました。そこには、当時の韓国政府の関わりが明確に記されており、韓国政府はあわせて謝罪の意も表しました。
当時私は、なぜ日本政府が韓国政府に抗議し、金大中氏を日本国内に返すという措置をとらなかったのか。日本国内から一人の人間が連れ去られたことについて、なぜ、抗議をしないのかという憤りにも近い思いを抱いていました。
日本政府は、命や人権について非常に感覚が鈍いのではないかと感じます。この事件は両政府間の政治決着で一旦おさまった形になっていますが、韓国政府が自らの関わりを認め謝罪した段階を迎えて、今一度日本政府の人権感覚を問い直さなければならないのではないかと思います。
フランスは三色旗が「自由、平等、博愛」を国是として表していますが、まさか、日本政府の国是が「美しい国」ではないでしょう。国家の礎に大差があるわけではなく、その国の歴史の中から生まれてくるものでもあるので、日本も「自由、人権、平和」といった社会や政治の大本となるものをしっかり議論することから始めなければならないのではないでしょうか。日本が、日本国民が目指すもの、判断基準とする価値が何なのかを議論するのです。憲法調査会は、まず、そういったことを議論すべきではないのか、金大中事件の韓国側の総括をみて強く感じました、
原油高騰で、一番の被害者は経済的弱者
寒い北海道や東北、信州地域では灯油は「命の綱」。灯油の値上がりで、何枚も服を着込み、わずかな食事を摂り、風呂も入らず、薄暗い部屋で、じっと寒さに耐えている独居の高齢者の姿が目に浮かびます。「いのちを守る」、人権を守る、すなわち普通の生活ができるよう、政府の早急な対応を求めます。
在外被爆者に国家賠償の決定 厚労省は反省せよ
在外被爆者に対する各種手当の支給を厚労省は、法律に従っての措置だと言ってきましたが、最高裁は、「厚労省は法律を間違って解釈運用している」と違憲判決を下しました。
同様の判決が高裁で出たときに、当時の柳澤厚労省大臣は、私の国会質問に対して「職員は、法律に従って運用している」と強弁し、自分たちの行政の誤りを認めませんでした。最高裁での判決を受けて今度は、在外被爆者にまず謝罪をして未払いの手当を至急、支払う手続きをとるべきです。
今週の「がんちゃん日誌」から
10月29日、未承認薬使用問題検討会議が開催されました。そこから3つの報告をします。
(1)進行性腎細胞がんの治療薬ネキサバール(ソラフェニル)について、来年1月中に承認の予定だという情報に接しました。
(2)私が、先に国会で早期承認を求めた、世界で広く試用されているがん性疼痛鎮痛薬メサドンについて、ワーキンググループから、次のような検討結果が示されました。
「メサドンは、他のオピオイドと同等の効果および副作用を有すると考えられ、腎機能障害患者においても安全に使用できる可能性が示唆されている。また、メサドンは他のオピオイドで耐性を生じた場合にも有効であることが示唆され、がん疼痛治療において必要性が高い薬であると考えられる。さらに、低価格であることから患者への経済的負担も軽減できると考えられる。しかしながら、FDAよる平成18年11月、メサドンの過剰投与、薬物相互作用、心毒性(QT延長)から生じると考えられる副作用として、呼吸抑制障害、不整脈が生じ、死亡する例もあることが注意喚起されている。以上を踏まえ、本剤の国内開発が早急に行なわれるよう検討すべきと考える。
(3)オキシコドン注射剤にも早急な検討を示唆しました。
「現在、我が国で承認されているオピオイド注射薬はモルヒネ注のみである。がん疼痛治療の対象となる患者は、経口摂取不能な場合が多い。このため、注射剤である本剤はがん疼痛治療の上で不可欠の薬剤と考えられ、本剤の国内開発が早急に行なわれるよう検討すべきと考える」
11月11日(日)号
福田総理が民主党の小沢代表に「大連立」をもちかけ、小沢代表が断った時は、福田総理はかなり部が悪くなったと思いました。ところが、小沢代表が、大連立構想を党内で否定されたとして党首の辞意を表明、その後、撤回するという経緯に至りました。今の時点では、民主党が受けたダメージの方が大きいと思います。
衆参のねじれ国会の中で、民主党は、参議院で、かねてからの主張を盛り込んだ法案を提出し、大いに議論して、政府の経済優先、弱者切り捨ての政策を改めさせる機会を活かさなければなりません。それが、民主党への国民の信頼を取り戻す道だと思います。
テレビでの自民党幹部の発言を聞いていると、参議院で多数を占めた民主党が、すべて法案に反対し、その結果、人々の生活や国益を損ねていると攻撃しています。それに対し、民主党は防衛省の武器調達にかかわる疑惑解明を訴えています。生活を優先する国民からすれば、民主党は期待はずれだと思う人が増えているのではないでしょうか。
国会の動きを止めているのがテロ特措法であれば、私は、日本が提供した重油の提供先やその利用内容について公表し、日本の‘国際貢献’がいかほどの成果をあげたかを国民に示すべきだと思います。まさか日本政府は、無計画に原油を提供したのではないでしょう。まず、この問題に優先的に取り組んで、国民を納得させる必要があるのではないでしょうか。日本が拠出しているお金が、原油だけでなく、それを提供する人員や装備などにも使われていると思いますが、その数字も明らかにしてほしいと思います。
今週の「がんちゃん日誌」から
先日、混合診療禁止は法的根拠がないとの判決がありました。原告はがん患者で、弁護士なしに一人で国を相手に戦ってきたということに驚きました。
これに対し、舛添厚生労働大臣は、安全性が確認されていない薬や医療技術が使われる恐れがあるなどとして、厚労省のこれまでの言い分と同様の理由で反対を表明し、控訴しました。
確かに、薬や治療法には、使い方を誤ると死に至るような危険性をはらんでいることは事実です。しかし、患者が、薬や治療法のメリットとデメリットを熟知した上で試したいと言っているのに、それを混合診療だとして、試すことすら許さないとするのは行き過ぎだと思います。
医療水準を向上させるためには、たくさんの症例を集めて分析する必要があります。混合診療を解禁し、いろいろな症例を集め、患者のメリットがあると分かった場合は、保険適用とするということが、患者にとってメリットの大きいことのように感じます。保険適用の是非を巡っての審査が長年続いている間に、せっかくの治療法を試すこともなく亡くなってしまう患者の多いことに、是非、心を及ぼしてほしいと願います。
11月19日(月)号
在外被爆者が、各種手当の前提となる健康管理手帳を取得するには来日することが必要とされていることについて、この要件を撤廃する方針を自民党内で決定したという。私も、高齢で病弱な在外被爆者に来日を求めることはおかしいと考え、数回にわたって、参議院に同様の趣旨での来日要件の撤廃を盛り込んだ改正法案を提出しが、審議に至らなかった。
自民党案では、広島、長崎県が申請書類を在外公館に郵送で提出できるとしているが、私たちの案では、現行法に従って、厚労大臣に提出することができ、その際、在外公館で本人の身元確認などを行なって、書類を受け付けるということを考えた。自民党案では、書類提出を広島や長崎の職員が現地に出向いて被爆状況などを確認するとなっている。
私たちも、この作業は必要だと思うので、職員を派遣するための増員や旅費等の財政的裏打ちも必ず行なうべきだと指摘しておきたい。そうでなければ、法律を改正しても実のあるものにはならないであろう。
今年9月、大阪府堺市の病院職員が糖尿病で入院していた全盲の男性患者を連れ出して、大阪市内の公園に置き去りにするという事件が起きた。男性は、職員の119番通報で救急車で病院に搬送されたという。この病院では同様な事件もあったこと報じられている。治療のしようがなくなった入院患者を引き受ける障害者施設や療養病床などの不足がこれらの事件の背景となる最大の原因だ。国もこの病院同様に患者の追い出し政策を展開しているので事態の改善は望めない。
来年度の診療報酬改定も本体部分は引き下げることを財政審が意見書に盛り込んだ。また、厚労省は療養病床の削減に伴い、医療法人による特養設置を受け皿の一つとすると国会で約束していたが、その方針を社会福祉法人などの関係団体の反対が強く、断念することになった。病気のお年よりはますます行き場がなくなることになる。こんな人権や尊厳を守らないような国であっていいのか。一緒に考えてほしい。
12月9日(月)号
冬を迎え、必需品であるガソリンや灯油価格の上昇、麺やパンなどの小麦粉製品を始めとした食料品の値上げなど、私たちの日常生活への影響が広がっています。今まで以上に生活を切りつめなくてはならない人たちが増えると心配していた矢先の先月30日に、厚労省の「生活扶助基準に関する検討会(座長:樋口美雄慶応大教授)」が生活保護の支給基準見直しについての最終報告書をまとめました。
報告書は「低所得者の消費支出に比べ、生活保護世帯の生活扶助額が高くなっている」と指摘、舛添厚労大臣も「国民的議論が必要」と基準引き下げを検討する旨の発言をしています。生活保護の基準引き下げは、受給の打ち切りや、最低賃金の底上げに逆行します。さらに、08年度の社会保障費圧縮のためには、声を上げにくい人、一番困っている人をねらい打ちにし切り捨てても良いとする姿勢を如実に現しています。
その一方で、防衛装備品水増し請求は2億円を超えるそうです。かつて政治家や役所のやることは「お上がやることだから間違いはない」という暗黙の了解があったように思います。多くの政治家や公務員は一生懸命仕事をされていますが、一部の不心得者が特権の上にあぐらをかいて甘い生活を享受し、巡り巡って弱者が切り捨てられるような政策がとられる構図には許し難いものを感じます。
この報告書の出る前々日の先月28日に「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律」が成立しました。この法律は、1993年9月の残留婦人の強行帰国から94年3月の法律成立まで私が日本新党を代表して協議を行い、2001年参議院議員になってからも改正案を法制局と検討した法律です。昨年の12月4日には決算委員会で当時の安倍首相に、「本当に日本に帰ってきて良かったと思える施策をおこなってほしい」と質問を行いました。(詳しくは2006年12月17日号のメルマガ参照)法律を作った当事者として、法を作るのも、法を活かすのも国会議員の活動にかかっていると、その責務の重さを今あらためて痛感しています。
12月4日、筆頭発議者となって、被爆者援護法の改正案を参議院に提出しました。この法案は2005年7月以来3回目の提出(2回は審議未了)ですが、今回は与党も、来日しなくても海外からの被爆者健康手帳の申請を認める内容での法案提出を検討中とのことですので、両案が歩み寄って、一日も早く法律が成立することを願っています。
2つの法律はいずれも当事者と支援者の皆さんが裁判を通じて訴え続けてきたことです。高齢で、病気がち、長い年月異国で苦労された皆さんが裁判を起こさなければ、国は動こうとしなかったのです。国の政策はあまりにも冷たい。ここでも弱者切り捨ての姿勢を感じます。