死体腎移植の術前措置は法の予定行為

衆議院

1998年8月28日 政府答弁書

死体腎移植で、腎臓提供者本人の承諾なしに心停止以前のカテーテル(管)挿入など摘出準備処置を行うことが違法かどうかについて、政府は28日「(管挿入は)移植を医学的に適正に実施する上で必要と認められるもので、脳死状態と診断された後に家族の承諾に基づいて行うことは、臓器移植法と旧角膜腎臓移植法が予定している行為である」とする答弁書をまとめた。

山本が提出していた質問主意書に対する回答。政府は昨年6月にも「医学的に必要な処置」との見解を示しており、答弁書はこれを再確認。しかし、大阪地裁は今年5月、関西医大腎移植訴訟の判決で、提供者本人の承諾がない心停止以前の挿入は違法との判断を示しており、答弁書はこれとは対立する内容となった。

心停止以前のカテーテル挿入は、心停止後に速やかに冷却した潅流(かんりゅう)液を腎臓に注入し、腎機能の劣化を防ぐのが目的。このため、判決に対する移植医らの反発は強く、判決直後に日本移植学会が「承服し難い」と不満を表明するなど波紋が広がった。