国立がんセンターの機能・役割(議事録)
参議院
2006年11月28日 厚生労働委員会で質問
参院厚労委での感染症予防法改正案の審議に関連して、HIV感染者、エイズ患者の増加に対する対応策を充実するよう求めました。
先進国のなかで日本だけが、HIV感染者、エイズ患者ともに増えています。
無料検査体制の充実、正しい知識の普及啓発、治療態勢の整備などを求めました。
また、平成22年度に予定されている「国立高度医療センター」の独立行政法人化後に、がんセンターや循環器病センターなど、全国に6つあるセンターの研究所や病院が、どのような機能、役割を果たすのかを早期に明確にするよう求めました。
議事録
山本孝史君
民主党・新緑風会の山本孝史でございます。よろしくお願いします。
間もなく十二月一日になります。御承知のように、国連が提唱する世界エイズデーでございます。それに先立って、本日、厚労省とエイズ予防財団が、渋谷で夕方からレッドリボンライブ二〇〇六を開催されて、主に若者世代にHIV、エイズの予防啓発を呼び掛けられる、ちょっとお天気が悪いのが残念ですけれども、そういう行事が今日はございます。
今日は感染症予防法の質疑でございますけれども、時間の前半をこのHIV、エイズの問題について、後半は国立高度医療センターの問題について関連して御質問させていただきたいというふうに思います。
御承知のとおりに、欧米などにおきましてはHIVの感染者は横ばい状態でして、早期発見、早期治療の効果でエイズ患者数は減ってきております。しかしながら、先進国で我が国だけが増え続けておりまして、HIV感染者もエイズの患者さんもともに増えているのは日本だけという状態です。アジアで今大流行をしております。そんなことを考えますと、この日本の国における予防啓発やあるいは検査体制の充実を急がなければならないという問題意識を持っております。
大臣に冒頭お伺いをさせていただきたいと思いますけれども、行政の積極的な取組がかぎだというふうに思っております。ところが、厚労省が今年八月に、全国のHIV感染者、エイズ患者の六割を占めます東京都、神奈川県、千葉県、愛知県、大阪府の五つの都府県のエイズ対策関連予算を調べましたところ、今年度の合計は約四億二百万円、統計を取り始めました九五年度の合計十二億四千百万円に比べて約七割も減少をしております。
地方のエイズ対策費が大変に少なくなってきている。なぜ減ってきているのかということについて、その背景、どのようにとらまえておられるのか、まず大臣の御見解をお願いいたします。
国務大臣(柳澤伯夫君)
都道府県のエイズ対策予算の減少の背景についてお尋ねがございました。
やはりこの背景には、この十年間、厳しい財政が続く中で、普及啓発等の経費を中心に地方公共団体のエイズ対策予算が減少しているということだと考えております。
ただ、今この普及啓発の施策ということの予算ということになりますと、限られた財源の中でいろいろな創意工夫を凝らす余地があるのではないかと、このように考えるわけでありまして、そういう創意工夫を是非とも期待をしたいというふうに考えるわけでございます。
とにかく、今御指摘のように、先進国の中で我が国だけがエイズの感染者が増加しているということは、私どもも大変重く受け止めております。
山本孝史君
今お触れになったように、地方財政が大変今苦しいので、国庫補助二分の一という状態の中でいきますと、地方としては普及啓発というようなすぐに効果の見えないような事業ですとかは余りやりたくないと、ほかの方にお金を回したいということで回っていってしまう。
で、この前も大臣にお話をしましたが、国庫補助があって、地方がその財政が付いてこれないものだから、国がいろんな補助事業を用意しても地方が手を挙げない、むしろ減らしてほしいという声がちらほら聞こえるんですね。特定疾患の事業なんかもそうですし、がんの診療連携拠点病院をつくるにも、国はこれだけのお金、予算用意しましたというと、同額を予算用意しなければいけない。大きくなればなるほど地方の方は実は苦しくて、手を挙げたくても挙げられないというような状況があって、やはり一つには地方財政がちゃんとしてこないと、地方自治体付いていくだけの余力がない。と同時に、私はやはり国の方の姿勢が後退をしてしまうと、地方の方もそれに応じてやっぱり後退していくのじゃないかなという気がしています。
もう一つの御質問として、今お配りをさせていただいております資料ごらんいただきますと分かるように、厚生労働省が今年同じ八月に、重点都道府県、政令指定都市というのが十六ございまして、これはHIV感染者あるいはエイズ患者の多いところ、自治体を指定しているわけですけれども、そこで国が思っておりますようなエイズ対策推進協議会が設置されていないというのが二つの県市。設置されていても開催されていない、あるいは一度だけ開催というのがほとんどの状況になっております。エイズ対策計画も、策定は四自治体にとどまっておる。都道府県中核拠点病院、後ほど御質問させていただきますが、この設置予定も明確ではない。
先ほどは、普及啓発事業に大変消極的になってきているということを申し上げたわけですけれども、こうした国がエイズ対策を進めていこうとしている各施策においても、各自治体は極めて消極的な姿勢を示しているわけであります。
今後、厚生労働省としてどのようにこの地方自治体に対応していこうとするのか。先ほどは、少ない、お金は上げないよ、でも創意工夫で何でもやってねと、こういうのが先ほどの大臣の御答弁でございましたけれども、そういうことで本当にうまくいくのかどうか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
国務大臣(柳澤伯夫君)
エイズ対策につきましては、本年四月に改正されましたエイズ予防指針というものにおきまして、国と地方との、都道府県等との役割分担を明確化するということを行いました。そういうことで、我々としては都道府県の中心となった取組が強化されることを願っているわけでございます。こういう中で、例えば相談業務というか、あるいは検査事業というか、そういったものについては、利用者の利便性に配慮した体制の整備というようなことについては一定の成果が見られると我々は思っております。
しかし、今、山本委員が御指摘になられたエイズ対策推進協議会であるとか、あるいはエイズ対策計画というようなことにつきましては、これは非常に不十分ということも事実であろうと、このように見ているわけでございます。
我々といたしましては、こういう状況を踏まえまして、特に重点都道府県を始めとする各自治体において予防指針に沿ったエイズ対策が実現されますように、エイズ施策評価検討会というものを本年度において設置をいたしまして、この国の検討会を通じましてモニタリングを行い、都道府県等における取組についてしっかり監視をし、必要であればいろいろな勧奨を、勧奨というか勧めをいたしてまいりたいと、こういうようにモニタリングを通じた体制の整備というものを促進してまいりたいと、このように考えております。