2月7日に講師をした「高齢者福祉スタッフ情報交換&交流会」(大阪ボランティア協会)で主催者が実施したアンケートが山本孝史事務所に送られてきましたので紹介します。37名の方のアンケートです。

1.再来年から大きく変わる、介護保険制度の見直しについては、どの程度ご存知ですか?

変わること自体知らなかった 1
変わることは知っているが議論の中身はほとんど知らない 23
中身も大体知っていた 12
回答なし 1

※再来年から介護保険が変わることは知っていても、中身は知らないと言う参加者が大半です。厚労省は情報公開に努めるべきですし、関係者も、どのように変えるべきかの議論を進める必要があると感じています。

2.介護保険の見直しの、いくつかのポイントについてどう思われますか?

障害福祉サービスとの統合 賛成 11 反対 25 無回答 1
20歳からなど、現行40歳からの保険料徴収年齢の引き下げ 賛成 9 反対 27 無回答 1
要支援や要介護1などの低い介護度へのサービスの制限 賛成 9 反対 25 無回答 2 どちらともいえない 1
特養など施設入所できる対象を、介護が重度の方だけにする 賛成 14 反対 21 無回答 1 どちらともいえない 1

※大半の参加者が、保険料負担者の年齢対象の拡大、障害福祉サービスとの統合に反対か慎重な姿勢でした。もっともだと思います。特養の入所者の見直しについては、限られた資源を有効に活用する道筋を見出そうとの姿勢を感じます。議論を深めたいポイントです。

3.介護サービスを受けるなどの「給付」と、保険料を払う・税金を多く投入するなどの「負担」について、あなたは以下のどの考えが近いですか?

保険料や税金の負担は現在より増えてもいいから、福祉サービスがより充実しているほうがいい 27
保険料や税金の負担はこれぐらいでいいので、福祉サービスも現在程度以上は望まない 6
保険料や税金の負担がより減ってほしいので、福祉サービスが縮小されても仕方がない 0
無回答 4

※福祉サービスの充実は必要で、そのためには負担増もやむを得ないというのが参加者の意見です。サービス内容の充実と、見直しが不可欠でしょう。年金制度に見られるような、保険料の流用と似通った問題がないのか、チェックが求められます。現場からの、良い意味での合理化提案が待たれます。

4.本日の講師:山本孝史さんのお話を聞いての感想や、山本さんへのご意見・届けたい声があればお聞かせください。


  • 山本さんのように福祉について詳しく知っており、現場の声を聴く国会議員がいらっしゃることは非常に頼もしいと思います。
  • 貴重なお話ありがとうございました。恥ずかしながら今回初めて先生を知りましたが、このような場に来て現場の声を聞いてくださる姿勢に感銘致しました。今後とも応援させて頂きます。
  • お忙しい中ありがとうございました。様々な考え、意見がきけてよかったです。
  • 新しい情報が聞けてよかった。統合結果を聞きたいです。
  • 介護保険制度の状況がより深く理解できた。山本先生の主観をよく知りたいので、いくつかの著書を読もうと思います。
  • 制度が変わる!変わる!という話は、よく聞いたり、話によく出てきたりして、でも何がどう変わるのか全然わかっていなかったので、話が聞けたのがよかったです。
  • 介護保険をとりまく状況に関して良く理解できました。
  • よくわからなかった介護保険制度見直しの内容がわかりよかったです。
  • 介護保険をとりまく状況が大変わかりやすかった。資料が読みやすかった。
  • 私自身、介護保険の知識は全くなかったのですがわかりやすい説明をいただきよく分かりました。何より、山本さんの人柄がお話のすべてに伝わってきてよかったです。とても勉強になりました。
  • 現状についてよくわかりました。統合問題について、財政部分だけ一本化することはムリなのでしょうか?
  • こういった現場の声を聞く機会にこれからも足を運んでください。
  • 生まれて初めて議員さんとお話させていただきました。来るまでは恐かったのですが、司会の方の「一緒によりよい制度作りをしていきましょう」との言葉で、先生がとても身近に感じました。誠実に質問に答えて下さる姿勢にいっぺんに先生のファンになっちゃいました。これからもがんばってください!
  • 本日は、大変勉強になる話、ありがとうございました。やっぱり利用者が楽しく安心して過ごせるようなサービスを行っていくために、どんどんおかしなことには声を大にして発言していきたいと思います。頑張るぞ!
  • 規制緩和をもっと進めるべきだと思います。民間の力を利用すべきだと思います。
  • 北欧並みの高負担、高福祉がすぐに実現するとは考えられないが、介護保険制度を充実させて日本の高齢化社会をよくするには、現場の声(利用者、働く者、事業者)の声がもっと反映されないとダメで、是非、こういう場を厚生省の役人や議員にきちんと知らせてほしい。
  • 介護保険の指定事業所は、法の改正によってすごく左右されます。対応を早めにしていかなければならない中で、勉強になりました。
  • 武蔵野市提案の累進性保険料の負担は良い案だと思う。介護保険料の額が公平なのではなく、制度の公平さを考えてもらいたい。
  • 介護現場で働いていますが、制度的なものはよくわからないので、良い勉強になりました。介護職員の給料はあまりにも安いですね。やはり、もう少し、魅力のある仕事にしていきたいですねえ。
  • 障害当事者なので、また、障害無年金なので統合による一部負担は困難。障害者であっても、障害者サービスは受けられない。誰もが安心して暮らせる福祉制度を求む。
  • 軽度の介護状態の方が介護保険を使ってフィットネスクラブ(特にプール)が使えるようになれば、筋トレよりももっと効果をあげることができると思います。
  • 介護予防にもっと力を入れていってほしい。田舎に元気老人が多いのは田んぼや畑で高齢になっても働いているから。
  • 厚生省は、昨年ごろから突然リハビリ重視の方針を打ち出しましたが、私がケアマネとして働く豊中市には、訪問リハ事業所が一箇所しかありません。外出支援をリハビリとして位置づけようにも、車椅子介助、歩行介助を安心して任せられるヘルパーやボランティアが少ないのです。PTの養成、テクニック的にも優れたヘルパーやボランティア研修について国はどう考えているのでしょう。
  • 介護認定ソフトの欠陥(いわゆる逆転現象)についての事例を公開させるべきだと思います。ひょっとすると制度の根本的な欠陥かもしれないと思います。
  • 議論の中で、痴呆の方が要介護度1というのは不思議とおっしゃっていましたが、介護保険がスタートしたときの介護認定ソフトが、身体介護中心だったために、動くことのできる痴呆の人は介護度が低く見積もられていました。昨年の4月から痴呆の方の介護度が高くなるようになりましたが、十分反映されたソフトではないと思います。今も24時間見守りが必要な軽度痴呆の方の介護度が高くないのが現状です。
  • いろいろ考えて制度は決まっているようですが、今、出てきている問題、きっとわかっていただろうと感じます。わかっていなかったら、国政をまかせている意味がありません。
  • 特養老人ホーム申込者(在宅)の入所緊急性の問題で、家族の要望が優先され、数字が多くなっているのはおかしい。スタッフの入所勧奨にしぼると、待機人員の消化につながるように思える。
  • 利用しないと損、「楽な方へ」とのことだが、今や、事業者にとって客は利用者の家族であり、何と言うか、便利屋というのか、そのような利用への流れは当然であると思われる。
  • 1.ケアマネの仕事の評価が低すぎる。報酬が低いうえに大変なケースも楽なケースも一律同じ値段だというのはおかしい。ケースごとの手の係り具合や個別的事情を加味した報酬になるように考えてほしい。また、真に公正中立の立場でやっていけるような体系作りも。2.ケアマネの質がバラバラ。経験と勘はある程度大事だがそれを一方的に押し付けるオバハンケアマネが多すぎ。現任研修は形式的で空虚な中身である。もっと質の向上が図れるように自分たちも気をつけたいが、行政も考えてほしい。 3.利用する側の意識もいささか問題。ケアマネにお任せの人が多すぎ。

※現場からの声を大にしての発言、その声をしっかり聞く厚労省・審議会委員・国会議員の組み合わせが重要と再認識しました。ヘルパーなどの処遇改善と質的向上、介護予防の仕組み、制度の鍵を握るケアマネの質的向上、そして、国民(利用者)の制度への正しい理解など、多くの課題を示していただきました。今後とも、一緒に、より良い介護保険制度に向けて頑張ってまいりましょう。ありがとうございました。

5.介護保険制度見直しや、これからの福祉・社会保障について、なんでも結構です。ご自由にお書きください。


  • 急ぐことなくマクロとミクロ両面からの活発な意見交換が必要。
  • よい講師を選んでいただいた会の事務局の方、ありがとうございました。私たち、介護現場と国会議員さんとをつないで一緒によくしていこうという進行が伝わりました。
  • もっと長期間の議論が必要と思う。社会資源も少ない、モデルもない。当事者の意見を聞くほうが良い。
  • ケアの充実とサービスの質の向上をどうすべきか。サービスシステムのあり方に関心があります。
  • 介護保険制度見直し等の情報を早く伝えてほしい。
  • ホームヘルパーとして私は一日3軒行ったらへとへとです。
  • これから負担も含めて十分な議論が必要なので私自身勉強をしないとと思いました。
  • 痴呆Ⅲ以上の方でも、介護の方が多くおられ、ケアマネ面接時にはしっかりされています。そのせいで、介護度が低い。介護度が低いからと言って、サービス縮小はどうか。
  • いろいろな職場の方から意見が聞けてよかったです。
  • 支援費も含め、現在出される施策は次から次へと財政面にのみ主眼が置かれているのがよくわかる。もっと、現場に目をむけてほしい。
  • 団塊の世代が高齢者になる20年後ぐらいから地域で支えないと、制度だけでは絶対ムリ。開かれたグループホームのようなものが、いっぱいできていけばいいと思う。
  • 異業種が介護産業に参入する中、経営者やCMやヘルパー、コーディネーターは福祉を専門的に学んだ人が少なすぎます!
  • 初めて参加させていただきましたが、一つ一つの思いや考えに共感を覚えました。制度を変えるということや行政を動かすことは、時間がかかることだと思いますが、やはり現場の声を形にしてあげていかねばならないのでしょう。またの機会があれば参加します。
  • 無年金高齢者の援助など介護保険が入ってから不都合になったことも多いです。少しずつでも改正していってほしい。
  • すべての人が納得して満足できる制度は難しいと思うので、どこで折り合うかということでしょう。そこに、利益をめぐる食い合いがでてくるのが残念。
  • パートの年金云々については議論がなされたようですが、サラリーマンの妻が今までどおり保険料を払わないのでいいのかについてはどうなったのでしょう。どうして、サラリーマンの妻から徴収しないのか理解できません。
  • ケアする者、ケアされる者の現場の声を大きくしていこうと思った(制度改正のため)
  • 介護サービスの内容そのものに課題があると思います。当事者を中心としたサービスと向き合ってからでないと支援費との統合は難しいと思います。複数の介護サービスを受けている人にとって、その人の生活を細切れにしたもののようにも思えます。精神障害者のホームヘルプサービスが高齢者のヘルパーさんが3日間の研修でその任に当たれるという・・・
  • 直接関係ないが、社協の貸付を兼任で担当している。今、何のためにやっているのかわからなくなってきている。福祉で貸すことは良いが、本気で返してもらおうとは絶対に思っていないような体制・運営の状況である。療養介護資金貸付、離職者支援資金貸付やってますよという形は現場で矛盾が大きく負担がしんどい。

※今後とも、一緒に、より良い介護保険制度に向けて頑張ってまいりましょう。ありがとうございました。

アンケートに答えてくれた参加者(37名様)


性別 年代 身内の介護経験の有無 仕事
男性 20代 なし 地方自治体職員
無記入 50代 あり 介護施設長
女性 40代 なし 無記入
男性 40代 なし 障害者支援センター
女性 20代 なし 施設職員
男性 50代 あり 障害者施設勤務
男性 30代 あり 特別養護老人ホーム介護スタッフ
男性 20代 なし フィットネスクラブ
男性 30代 なし 施設職員
女性 50代 なし 在宅のケアマネージャー
女性 30代 なし 特養の看護師
女性 40代 なし 介護職
女性 20代 なし 在宅事務所社員
男性 30代 あり 介護職員
女性 40代 なし ケアマネージャー
女性 20代 無記入 介護福祉士
女性 30代 なし ケアマネージャー・社会福祉士
女性 70代 あり 介護福祉士
男性 50代 なし NPO長寿社会システム研究機構
女性 50代 あり 登録ヘルパー
女性 無記入 なし 在宅登録ヘルパー
男性 30代 なし 市社協
男性 50代 なし 介護サービス
男性 40代 あり 施設ケアマネージャー
女性 20代 なし 会社員
女性 30代 なし ホームヘルパー
女性 20代 なし 無記入
無記入 20代 なし ケアマネージャー
女性 30代 なし 老健ケアリーダー
女性 無記入 無記入 高齢福祉課職員
女性 20代 あり 無記入
女性 20代 なし 社協職員
女性 30代 なし 歯科衛生士
女性 30代 なし リフト作業員
女性 40代 なし 前特養介護職
女性 20代 あり 介護職
女性 30代 なし NPO法人デイサービス 看護師

※37名のアンケートを提出してくださった方々は、20歳代、30歳代、40歳以上が、それぞれ3分の1ずつの構成でした。身内の介護経験があるという参加者は9名。40歳代以上に多く見られましたが、30歳代、20歳代のなかにも介護経験があると答えた人がいます。介護は世代を超えての社会的、政策的課題になることは間違いのないこと。国民全体での議論が必要です。介護現場で働いている参加者が多かったようですが、そうした人たちの間での意見交換の機会が少ないように感じられたのが気掛かりです。